北の大地にて 3


2日目、ついに念願の40センチオーバーが出た!



北の大地にて 3                             


7月7日朝2時半、鵜住居さんと西別川さんがホテルを出た。二人は昨日私とひろ
しさんが釣ったところに入ると言って行った。私とsinnyaさんとひろしさんがそれ
に続く。今日は土曜日なので早く行かないと先行されてしまうかもしれないのだ。
二日続けてこの時間に出撃なので、寝不足の感は否めない。でも、昨日良い釣りが
出来たので、今日もきっと良い釣りが出来るような気がしている。       

晴れているが何とも風の強い朝だ。木の枝が引きちぎられて飛んでいる。トンビも
カラスも横殴りに飛び去っていく。気温が低く寒い。今日は3人で7時間コースを
下るのだ。国道の立体交差にデポ車を置き、入渓点に移動する。牧場横の林道脇に
車を停め、外に出て着替える。風が体温をあっという間に奪って震えが走る。ラフ
ティングジャケットを着て、やっと風の猛攻を遮断した。           

牧場脇の道を歩き、渓畔林の藪を踏み跡に従って川に降りる。ここは昨日よりもず
いぶん下流なのでウエーディングに神経を使う。うっかりすると沈という憂き目に
遭う。さすがの風も水面には届かず、さほどに感じないのが救いだった。水面には
無数の木の葉がちぎれて流れている。見上げるケヤマハンノキの梢はこれでもかと
いうくらい強く揺れている。                        

このメンバーだとほぼsinnyaさんが先行し、私とひろしさんが交互に追いかけると
いう形になる。さすがに昨日ほどの魚の出は無い。それでもポツポツと釣れてくれ
るので飽きることはない。もっとも飽きても脱渓点は相当先だ。sinnyaさんが釣っ
ている横で大きな当たりがあった。バシャバシャと暴れるのを寄せてくると思った
よりも大きいアメマスだった。ひろしさんがメジャーを当てると「38センチ!」

惜しい!もう1センチで昨日の藪さんに並ぶのに。ひろしさんにまけてくれるよう
頼んだがつれない返事。「ダメです」うう〜メジャーさえ無ければ40センチと言
い張ってしまうのだが・・・こればかりは仕方ない。それにしても思わぬところで
大物が出たものだ。                            

新しい倒木があった。まだ瑞々しい青葉がついているケヤマハンノキだ。まだ倒れ
てから何日もたっていないようだ。川の流れに根元を削られて倒れたという感じで
はなく、崖の上から崩れ落ちてきたという感じの倒木だった。この倒木がヤマメや
アメマスの住みかとして機能するのが西別川の特徴だ。大雨で倒木が流されてしま
うと魚の数も減る。こうした倒木の供給が西別川の魚影を支えている。     

渓畔林の薄い場所では崖崩れを予防するために流れのぶっつけにテトラを入れてい
る。あるテトラポイントでその当たりはあった。sinnyaさんが釣っている横で引い
ていたラピッドに突然の衝撃がきたのだ。ゴン!!合わせた瞬間ロッドが満月にな
った。魚の手応えが伝わってくる。「デカイ!」リールを巻こうとするのだがリー
ルのハンドルはビンと張ったラインでまったく動かない。           

これはどうにかしないと・・・思考回路はショートしてしまい、とにかくリールを
巻けるようポンピングをしなくてはと強引にロッドをあおった。その瞬間、プンッ
と軽くなった。痛恨のバラシ・・・・あああ・・・頭の中が真っ白になってしまっ
た。ラピッドを見ると下のフックが伸びていた。「フックが伸びた・・・・」しば
し呆然と放心状態に陥ってしまった。ああ、またやってしまった・・・・。   

その後もポツポツと釣れ続き、時間がたっていく。7時間コースはまだ終点に達し
ていないのだが、集合時間が気になって途中で脱渓した。急斜面を登ると牧場で、
はるか先にデポした車が見える。車に戻り、3人乗りで入渓点まで戻り、着替えを
する。頭の中はバラした大物のことがグルグル回っている。          

お昼の集合はいつもの「かつら」。今日はオムライスの大盛りを注文する。鵜住居
さんが1ダースの釣り、西別川さんは鵜住居さんの後ろから連続7尾、連続4尾と
凄い釣りをしたようだ。満足そうな顔をしている。山男魚さんと藪の高橋さんが別
行動なので様子が分からない。オムライスは食べても食べても量が減らない巨大な
オムライスだった。                            

午後はまた3人で「大草原コース」に入ることにした。先ほど脱渓した場所の下流
である。ここは深いポイントが多いのだが、比較的単調な流れで魚の出はあまり良
くなかった。まだ午前中のバラシの後遺症があったようで、あまり調子よくなかっ
た。ところが変なもので、殺気のないルアーには大物がくるという言葉があるよう
に何でもないところで大物が来た。                     

またしてもsinnyaさんの横の柳の下にラピッドを投げて引こうとした瞬間、ガツン
と衝撃が手元にきた。竿先がぐ〜〜んと持って行かれ、あわててあおるが、凄い手
応えだ。何とかいなして足許まで寄せるとデカイアメマスだった。おとなしくさせ
てひろしさんにメジャーを当ててもらったら42センチとのこと。これは凄い、西
別川での最高新記録だ!。胴体が太くて片手でつかめない。両手で持ち上げてフッ
クをはずしてリリースしたら尾鰭でバシッと足をたたいて消えていった。    

それから先は顔がニコニコとゆるみっぱなし。最後の脱渓点、sinnyaさんが見下ろ
す淵で25センチのヤマメが釣れた。これもなかなかの型で最後の締めに相応しい
きれいなヤマメだった。午後4時半脱渓。                  

宿に帰って温泉に入り缶ビールで乾杯。軽く1本のはずが次々に缶ビールが出てき
てしまい、他の人が帰ってくるころにはすっかり出来上がってしまった。良い釣り
が出来たので顔がゆるみっぱなし、困った困った。OLM恒例の最後の晩餐が始まっ
たのは7時。豪華な夕食を前にこっくりこっくりと舟をこぐ。大満足の一日が終わ
り、疲れがどっと出てきたようだ。                     


 
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