安谷川でテンカラ初釣果


秩父の安谷川で初めてテンカラでヤマメを釣った。



安谷川でテンカラ初釣果

保存会の稚魚放流が終わり、安谷さんとJICKYさんのい3人でイベントの下見に安
谷川に行こうという事になった。日野渓谷キャンプ場を見て川に下りる。川は昨夜
来の雨でかなり増水している。入渓した上流で餌釣り師が2人じっくりと粘ってい
る。声をかけて上流に行く。                        

遡行するのが難しい程増水しているので足を怪我している安谷さんは慎重だ。雨に
打たれた渓流の緑が鮮やかだ。山吹の花がそこかしこに咲いていて、もう初夏の風
情を感じさせてくれる。この季節の渓流は生き物の気配と空気さえも濃くなってい
るように感じる。                             

腰までの急流に浸かりながら上流へ行く。大きな岩が苔むしていて、その中からゼ
ンマイが緑の葉をするすると伸ばしている。まるで緑の箱庭のような渓流だ。増水
して流れの強い川を慎重に渡りながら「もう少し上流で竿を出してみましょう。」
と安谷さんが言う。                            

上流から釣り人が下ってきて安谷さんと何やら話している。川を渡ってその釣り人
のところに近寄る「あれ??」「もしかして?純ちゃん?」「おお、カーボーじゃ
ん!・・・」「こんなとこで何やってんのさ?」「釣りに来たんさね」「へえ〜〜
こんな所で会うとはねえ・・・」いや驚いた、中学の同級生だったのだ。こんな山
奥で10何年ぶりかの再会をしたのだ。純ちゃんは「だめだぁ今日は釣れねえよ」
とつぶやきながら川を下っていった。                    

我々は更に上流に行く。そしてJICKYさんがたまりかねたように竿を出した。安谷
さんも竿を出す。私は釣り支度をしていなかったので後ろで二人が竿を振るのを見
ていた。二人とも慣れた竿さばきで釣り上がるが魚の反応は無いようだ。しばらく
は見ていたのだが、たまりかねて安谷さんの竿を借りて釣りに参加した。    

テンカラ竿を初めて振った感想は「毛針が見えない」だった。打ち込むタイミング
が分からず、毛針がどこに飛んでいるかまったく分からない。安谷さんにお願いし
て、白いドライフライに代えてもらって初めて毛針がどこに飛んでいるのかが分か
るようになった。                             

大きな巻き返しポイントに慎重に毛針を投げて反転流に浮かべる。その時小さな水
しぶきが上がった!反射的に竿をあおると竿先にブルンブルンと魚の鼓動が伝わっ
てくる。抜き上げてハリスを持って振り返ると二人とも大喜び。「釣れそうな気配
があったんだよね〜」と安谷さん。「やりましたね〜〜」とJICKYさん。テンカラ
での初釣果は安谷川のきれいな18センチのヤマメだった。          

さあ、魚がいる事が分かって目の色が変わったJICKYさん。急に上へ上へと遡行を
始めた。獲物を狙う猟師のように身をかがめて竿を振る。そして河原に「よし!」
という大きな声が響いた。JICKYさんの手には20センチ程の秩父岩魚が下げられ
ていた。きれいなニッコウイワナだった。型もまずまずでJICKYさん満足の笑顔。

急な流れが続き、足を怪我している安谷さんが「そろそろ下りませんか?」と言う
。安谷さんはこれから仕事があるのだ。遡行してきた川をそのまま下る。この川は
川通しにしか歩けないのだ。滑りやすくなった岩を慎重に越えて川を下る。   

下りきったところに幹周り5メートルはありそうな桂の木があった。何本にも株別
れしているが、間違いなく一本の桂の木だ。こんな木がそこかしこにある。ここは
市街に近い割に自然が豊かに残っている。この川の自然をそのまま残したい。来月
の瀬音の森イベントはそういう意味でもこの川でやることが必要なのだ。秩父を象
徴するこの川で。