荒川水系渓流保存会の定期報告

採卵、そして稚魚池の屋根つくりなど。






飼育部だより

                          担当 関口英雄

今年の採卵は10月4日、11日、18日、25日の延べ4日間に渡って
行いました。今年は9月に親魚が病気にかかり、100匹前後が死んでし
まうという事態になってしまった為、採卵全体量は2万から2万5千粒と
例年よりも少ない量でした。                    

それでも、11月に入り次々に卵から孵化し、スイノウをつけた小さな小
さな11代目の山女魚の稚魚が誕生しています。           

孵化率は天然の山女魚に比べて人の手を介している事から、格段に良く、
90%以上は稚魚になります。又、これからスイノウが取れ、口を使って
餌付けられれば立派な山女魚に成長して行きます。          

これから寒さが厳しくなり、雪が降る様になると飼育池を訪れる人もめっ
きり少なくなります。この欄を読んだ方が一人でも多く実際に飼育池を訪
れてくれる事を望んでいます。山女魚は寒い時期にどんどん口を使い成長
していきます。お子さんへの生き物教育などにもぜひご活用下さい。  

生川で生まれた今年の山女魚の発眼卵を50粒ほど自宅に持ち帰り、子供
に山女魚の生まれる瞬間を見せてやりました。子供にとって初めて目にす
る山女魚の発眼卵や稚魚は生きた教材で、目を丸くして新発見をよろこん
でいます。                            

これから春まで子供と一緒に飼育して暖かくなったら荒川へ放流します。


PS、60センチの水槽で水の循環だけで、水温23度くらいまで飼育可能
です。ただし、魚の大きさ、数にもよりますが最低でも10日に一度は水
を交換して下さい。成魚は目と目の間の頭の部分がオレンジ色に変わって
きたら水が汚れてきた危険信号です。また、水温25度以上の日が3〜4
日続くと昇天します。                       
なお、10万円前後から水温を下げる装置が売られているそうです。  




稚魚池の屋根作り

                             黒沢和義

12月13日(日)稚魚池の屋根作りに参加した。今までの網は木製だっ
たのだが、老朽化がはげしく痛みもひどかった。このままでは稚魚の飼育
に問題が出るため新しくしようというものだった。          

私が行った日には屋根部分が組み上げられていて、それを仕上げるだけに
なっていた。聞けば、先週ここまでにしたのだそうだ。自分が参加する事
が少なくなっている事を反省する。今日はカミさんを一緒に連れてきてい
るので、少しは役にたつだろう。                  

まず、ガスバーナーを使って鉄パイプに焼きを入れて曲げる作業だ。じっ
くり焼きを入れてゆっくり曲げる。会長が長さを測って付けた印を関口さ
んと私で焼きを入れる。時間がかかるが急ぐと折れた口が切れてしまうの
で要注意だ。                           

あれこれ話しながら2人で一本一本曲げていく。新井さんは小屋の中の修
理というか修繕というか、なにやら忙しく動き回っている。会長と浅見さ
んはふるい網を片づけている。こちらも忙しそうだ。         

作業は午後までかかった。屋根型に曲がったパイプに芯と補強のパイプを
取り付けネットをかぶせて完成だ。小屋の中の水槽には稚魚が元気に泳い
でいる。じっと動かない稚魚はまだしっかりとスイノウを抱いていて、ま
だ口を使っていない。じっと見ていても飽きることがない。      

12月にしてはおだやかで暖かい一日だった。稚魚は元気です。