その3【再び川はどこだ?】編

午後、再度西別川に挑戦するが・・・




西別川さん、高橋さん、Kuny'sさん、MICKEYさん、ムラサさん、道草さんと私の
7人で西別川さんの言う宝クジポイントへと向かう。野村さんとひろしさんは知床へ明日
の下見に行く。山男魚さんは飲んで休んでいるそうだ、大物を釣ったので満足したみたい
だ。さあ!夕まずめ勝負!60センチとご対面だ。                 

道路の横ははどこまでも牧場が続く。 行けども行けども牧場だらけ、この広さはどうだ。

3台の車は限りなく続く牧場の中の道をひたすら走る。走っても走っても景色は変わらな
い、両側は延々と続く牧場だけ・・・「 ここだよ 」と西別川さんが車を止めさせた。
そこは牧場の中の道で、わずかに駐車スペースがあるだけのただの道で、まわりは牧場!
「 ここ!??」「 そう、その牧場を越えたところに川があるの 」「????」  
何と、川は目の前の丘のような牧場の向こう側にあるのだと言う。驚いた。      

知らない人が見たらそれはきっと奇妙な光景だと思う。フウフウ言いながら7人の釣り装
備をした男達が釣り竿を手に手に牧場の丘を登っていくのだ。川など見えない牧場の丘を
登っていくのだ。つくづく、北海道の釣りなのだなあと思う。            

この向こう側ぁ?!・・本当かよ、道なんてないよぉ。 きれいなレインボウを手にニッコリの道草さん。

川は午前中に入ったところより大分下流のようだ。ゆったりとした流れで上流より深さが
あり、川通しに歩くのは難しいとのこと。道が川沿いについていて(道というより踏み跡
だが)左岸を上流へと歩きながらの釣りとなる。高橋さんが相変わらず速い、どんどんと
上流へ行く。私はしばらく西別川さんの前後で釣りながら、ルアーの使い方を教わる。キ
ャスティングやルアー操作を教えてもらうが、同じルアーでも扱う人によってこんなにも
動きが違うのかと愕然とさせられた。                       

道草さんがきれいなレインボウを釣った、体側に鮮やかな虹色が輝き、本州の「虹鱒」と
同じ種類とはとても思えない美しい魚である。山女魚の上位にランクされるというのも分
かるような気がする。写真を撮ったら、ここでフィルムが終わってしまった。「 しまっ
た、予備のフィルムがない!」・・・・・                     

岸から川に下りようとして不用意に足を踏み出したら、何と岸と思ったところに何もなく
いきなりドボンと胸まで『沈』!!「 やっちゃったあ・・トホホ」カメラは胸の内ポケ
ットに入れておいたので何ともなさそうだ。しかし、流心より岸よりのほうが深い川なん
て初めての経験なので、何だか勝手が違ってしまい調子が出ない。          

ルアーを追ってくる魚影はあるのだがフッキングには至らない。最後のアクションにどう
やらコツがありそうだ。夕方、西別川さんが言っていた宝クジポイントの一つに着く。大
きなワンドになっていて、反対側の岸よりにライズがある。西別川さんと高橋さんが笹薮
を掻き分けてポイントに近づく。どうやら高橋さんはテンカラをやっているようだ。その
うち、大きな水飛沫が上がり「 アチャー!コンチクショー!」という叫び声がこだまし
た。「 おしい!」と全員で叫ぶ。テンカラにライズしたのだ。「 尺はあったぞお・」
う〜〜ん、逃がした魚は大きい。                         

そのワンドを最後のポイントと決めて、慎重に川に入る。以外と浅く、ワンドの中央まで
進み、そこからスピナーを流心にキャストする。アタリがまったく無いのでプラグに代え
る。岸寄に二本の立ち木がありその中央にプラグを投げてアクションを加えながら引く。
何度も繰り返していたら、いきなりガツンという手応え!ガンガンという引きが手もとに
伝わってきた。思わず大きいアワセをくれた、その瞬間フッと竿が軽くなってしまった。
あわててリールを巻くと、何とプラグが無い。どうやら結びが甘く、プラグが抜けてしま
ったらしい。二本の立ち木の間で大きな魚がジャンプした。「 く、悔しい・・・」  
気がつくと周りはすっかり暗くなっていた。                    

先に上がった道草さんを心配しながら、6人で道のないような斜面を登る、踏み跡は牧場
に続いていて、夕方のうす暗くなった空を夕焼けが染めていた。牧場を歩きながら今日一
日の釣りについてめいめいが思い思いのことを口にする。夕まずめの牧場に西別川賛歌が
響きわたる。                                  

さあ今夜は焼肉だ、もりもり食べる食べる。 海の幸とジンギスカンに話がはずむ。お酒もすすむ。

夜8時、予定通り夕食はジンギスカン。立派なバーベキューハウスでの夕食だ。我々が着
いた時にはすでに酒宴が始まっていた。大量のジンギスカン用味付け肉、ホタテ貝、生イ
カ、殻付かき、大量のビール。話題は尽きない、誰かが叫ぶ、誰かがちゃちゃを入れる、
誰かが大声で笑う、みんなが笑う、そして食べる。今朝3時に起きて一日動き回っていた
というのにみんな元気だ。                            

ムラサさんと西別川さん 道草さんとひろしさん。手前に山盛りのお肉。

さあ明日は知床だ。ひろしさん野村さんの話によると今日の川とはずいぶん違うようだ。
酒宴の終わったところで道草さんとはお別れとなる、後日の再会を約して名残りを惜しん
だ、飛行機の日程の問題だったのだが、遠くからの集まりなので止むを得ないところか。