瀬音北海道OLMの3日目


3日目は一人で釣りをしました。


3日目:1日雨

今日も3時半起きで釣りに出かける。今日は他の人が知床に行くという事なので一人で
大草原コースに入ることにした。ここなら一人で何時間でも釣りが出来る。外は細かい
雨が間断なく降っていて寒い。フリースをシャツの上に来てちょうどいいくらいの寒さ
だ。東京の気温35度を考えるとウソのような寒さで、自分の中の季節感が狂ってくる
ような変な感じ。今日はこの寒い雨の中で1日釣りをすることになるのだろう。   

大草原コースは広い牧草地のど真ん中に車を停めるのだが、ちょうど刈り取りが終わっ
た後だったので助かった。いつものところに車を停め身支度をする。西別川に入る儀式
のようなもので釣り支度を一つ一つ身につける度に気分が釣りモードに変わっていく。
そして完全武装した釣り人は、採草地を横切って西別川へと入っていく。      

ここは下流なので水量が多い。入渓点は注意しないと、入渓即”沈”という事もあるの
で、岸際で注意深く水深を測る。どうやら入れそうなので草につかまりながらソロリと
川に入る。腰までの深さだったので良かった。ゆっくりと足元の倒木に注意しながら中
央の浅いところに移動する。浅いところでも股まである深さだ。重い流れが体を流そう
とするのを踏ん張る。まず一つブルルンと身震いし、リールとルアーを点検し、ポイン
トを探す。小雨の朝靄の中、パールホワイト5センチをポイントに投げ込む。こうして
いつもの釣りが始まった。                           

周囲の森からは鳥の声がうるさいほど響いてくる。この川は水音がしない川なので周辺
の音がハッキリと聞こえる。対岸の森の奥でガサッガサッという音が聞こえたりすると
全身の神経がそこに集中し、釣りどころではなくなる。この川に一人で入るのはこれで
2度目になるのだが、神経が周囲に張り巡らされて、自然の濃密さに圧倒されるような
気分になる。特に背中に何かの気配を感じるような場所では早々に移動して、気配をや
りすごすようにしている。鬱蒼とした、暗いだけではなく何となく嫌なカーブというも
のがあって、そういうところは高巻きすることにしている。二人以上ならどこでも平気
なのだが人間という物は不思議なものだ。自然の中では怖がることも自然だ。    

魚の出は良かった。自作のパールホワイトが絶好調で、ライントラブルを直す間に流し
ておいたルアーに魚がかかるような有り様だった。ニジマスも3尾出たが、型は22セ
ンチ止まり。大きな魚のアタリがあって少々やりとり出来たのだが悔しいバラシ。4時
から10時半までの間に30センチを頭に25尾の魚が遊んでくれた。西別川では珍し
いオショロコマも釣ることができた。アメマスはセオリー通りのところでバイトしてく
れて楽しかった。大ニジは出なかったが充分満足の釣りだった。          

たまたま高巻きで取り付いた斜面を登ったら採草地に出てしまったのでそのまま脱渓し
た。この採草地は入渓した採草地で、6時間半の流れに任せた釣り下りをしたのに、上
がって見れば200メートル程の距離と、いつもながら不思議な場所だ。車がポツンと
遠くに見える。今日の釣りも無事に終わった。車の横で釣り装備を一つ一つ脱ぎながら
普通の人間に戻る儀式をい行い、まるで覚醒するように意識を切り替える。満ち足りた
時間が過ぎていく。                              

宿に戻り、ゆっくり温泉に入り、食堂で生ビールと生姜焼き定食を注文する。贅沢な昼
食だ。多分このまま今日は寝てしまうだろう。雨の中にもう一度出かけるのもつらいし
、何より連日の睡眠不足を解消しておかなければならない。長時間重い流れに立ち込ん
での釣りは想像以上に腰に疲労が溜まっている。ああ・・・昼に飲む風呂上がりの生ビ
ールの旨いこと。                               

6時までぐっすり寝て、起きたら知床組が帰ってきた。「いやあ、4人で400匹です
よ!」と安達さん。「爆釣!爆釣!」と満面の笑顔の西さん。4人とも笑顔が爆発して
いた。中でも山男魚さんが28センチのオショロコマを釣ったとのことで大はしゃぎ。
いやあ、良かった良かった。昨日までの不調で西別川に溜まっていた鬱憤を知床で大い
に晴らせたようで本当に良かった。                       

最後の夕食もいつものように食堂で食べる。給仕をしてくれる女の子が愛嬌があって可
愛い。おじさん5人ともメロメロ状態。知床で爆釣した事もあってか、口が軽い軽い。
じつに楽しく盛り上がった夕食だった。今日も満腹に食べて、飲んで3000円。  

最終日朝、温泉に入り西さん、足達さんと食堂で雑談をしていたら、ママさんがコーヒ
ーを入れてくれた。別海町ご自慢の牛乳もサービスで出してくれた。この心遣いがたま
らなく嬉しい。全員揃ったところで朝食。二日間はおにぎりだったので、初めての朝食
だったのだが、その豪華さに驚かされた。ニシン焼き、イクラ、ミニ納豆、おつけ物、
煮物2種、大アサリのみそ汁、それに牛乳1パック、食後にコーヒーと、ここの朝食は
一般ホテルの朝食などよりもずっと美味しい。食べきれないような量にもビックリ。皆
大満足の朝食だった。                             

朝食後玄関で最後の集合写真を撮り、標津川に行くという藪の高橋さん、安達さん、西
さんを送った。山男魚さんは女満別空港に向かって車に乗った。こうして今年の北海道
OLMは無事終了した。私は飛行機の時間まで今回の記録をまとめ、食堂のカウンターで
マスターと釣り談義をしていた。大ニジのポイントも教えてもらったので、来年こそは
是非40オーバーのニジをこの手で釣りたい。マスターと再会を約して宿を後にした。


●釣りのトップへ戻る