瀬音の森ニュース 13


川辺川ダムに「環境アセスメント」実施を求める誓願署名のお願い



1999. 7. 12



 川辺川ダムは今世紀最大の無駄な公共事業として日本中の注目を集めています。
「瀬音の森」もこのダム計画には反対を表明してきました。今、33年前の計画が
何のアセスメントもないままに実行されようとしています。これは正常な感覚では
ちょっと信じられない事です。せめて環境アセスメントをしてから工事に入って欲
しいと思うのです。そこで、環境アセスメントをして欲しいという請願を国会に出
そうという事になりました。                        
なるべく多くの署名が欲しいのです。身近なお知り合いにお願いして下さい。署名
用紙は事務局にあります。連絡頂ければお送りします。なお衆議院議長、参議院議
長宛になりますので同じものが2通必要です。大勢の署名が集められる方は、署名
用紙をコピーしてお使い下さい。よろしくお願いいたします。         
尚、この署名が国会請願以外で使われる事は絶対にありません。        




●「環境アセスメント」とは…                        
ダムなどの大規模事業が行われるときに、環境に与える影響を配慮し、環境保全をは
かるための手続きのことです。よりよい事業にしていくために、環境影響の予測や評
価を行い、国民、地方公共団体などから広く意見を聞きます。また、これら事業の目
的を達成するために複数案の比較検討を含めた「環境アセスメント」を行うという事
を義務づけた新しい法律(環境影響評価法)が、1999年6月12日より施行されます。

●川辺川ダムは                               
 33年前に計画されました…                         
川辺川ダムは、環境への影響調査がされていません。「環境影響評価法」施行以前か
らの計画ということで、この法律の対象から除外されています。このままでは環境影
響調査がされぬままダム事業が進みかねません。環境への配慮が足りなかった昔の計
画だからこそ、アセスメントをする意義は大きいといえます。現在、仮排水路の工事
などが進みましたが、まだ本体着工はしていません。過去のダム建設後の経験から、
川辺川ダムが源流から河口までの環境に与える影響が、大変心配されています。  

●水質日本一の川辺川は、                          
 流域住民のみならず国民の財産です…                    
川辺川下流は、1998年度の環境庁水質調査で日本一の川となりました。きれいな川を
子孫に残していくことは、私たちにとって大きな課題です。ダムは水の質、量ともに
川に大きな変化をもたらすと思われます。建設省が水質保全ができると提案している
、選択取水装置(*1)や清水バイパス(*2)の検証とともに、水質変化についてのア
セスメントは重要です。                           
(*1)ダム湖に貯えられた水のうち、水温や濁りの問題のない水だけを下流に流す装
置。                                    
(*2)洪水時の濁り水はダム湖に貯え、濁りが沈むまではダム湖から下流に流さない
。そのかわり、ダム湖の上流から水路を設置して、洪水時の濁りがなくなった水を直
接ダム下流に流す方式。                           
以上建設省の説明から。                           

●球磨川漁協は水質保全に                          
 懸念を抱いています…                           
球磨川鮎は、球磨川漁協が球磨川下流の堰・ダムで遡上できない天然稚魚を捕獲し、
それを上流に放流するという全国でも珍しいシステムにより、最高の鮎と評価されて
います。全国から釣り人を集め、球磨川下りでも有名な球磨川は、人吉・球磨地方に
とって鮎漁・観光と経済の基盤をなしています。ダムによって引き起こされると思わ
れる下流の濁りや、水温の変化、水量の減少などは、アユ生息に大きなダメージを与
えます。球磨川の変化は球磨川漁協にとって死活問題であり、人吉・球磨経済にも大
きな打撃を与えます。いま、その球磨川の水量、水質を支えているのは、紛れもなく
川辺川なのです。                              

●豊かな自然という財産を守るために…                    
ダムサイト周辺には、絶滅危惧種のクマタカの営巣地があることがわかっていますが
、ダム建設がその生息環境に与える影響が心配されます。また、湛水予定地(水に沈
んでしまうであろう場所)にある、熊本県第二の大きさを誇る九折瀬洞窟の生物は、
そこ特有の生物種で構成され学術的にもとても貴重です。にもかかわらず、その保護
のための対策は何ら考えられていません。ダムが、予定地周辺の自然や生態系に与え
る影響の調査や対策は、全く不十分です。                   

以上の理由により、川辺川ダムに「環境アセスメント」実施を求める請願署名をよろ
しくお願いいたします。なお、いただいた署名は、実行委員会でまとめられ、国会議
員を通じて請願というかたちで国会内に届けられる予定です。          

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【署名用紙】                                
川辺川ダム建設に関する「環境アセスメント」実施の請願書           

衆議院議長 伊藤宗一郎様                          
参議院議長 斉藤 十朗様                          

請願の主旨                                 

熊本県・球磨川上流の「川辺川」は、1998年度環境庁水質調査で日本一きれいな川と
して発表されました。川辺川が注ぐ球磨川は、球磨川下りや美味しい鮎で全国的にも
有名で、観光客や釣り人、カヌーイストたちが集う川です。球磨川・川辺川は、これ
らの産業規模を考えますと、人吉・球磨地方の経済の基幹と言っても過言ではありま
せん。流域の漁業や観光に携わる方たちにとってはもちろんのこと、すべての川を愛
する市民にとって、きれいな球磨川・川辺川は末代まで残すべき財産です。    

流域郡市民、県民をはじめ、全国の球磨川・川辺川を愛する人たちは、川辺川ダムの
影響について知りたいと思っています。流域市町村も「現在の水質を保全すること」
をダム建設推進の条件にしております。また、ダムサイト近辺には、絶滅危惧種に指
定されているクマタカをはじめ豊かな自然という財産があるにもかかわらず、未だに
調査も充分に行われておりません。                      

1999年6月、「環境影響評価法」が施行されます。しかし、川辺川ダムは、本体着工
前にもかかわらず、33年前の計画ということで対象から除外されて「環境アセスメ
ント」が実施されずにいます。しかし、環境への配慮が足りなかった昔の計画だから
こそ、これからの地元の経済発展のためにも、ぜひとも、川辺川ダム本体着工の前に
、「環境アセスメント」の実施をお願いする次第です。             

請願項目                                  
1、川辺川ダム本体着工の前に、「環境アセスメント」の実施。          
署名欄                                   

氏 名 住 所                             


「川辺川ダム環境アセス請願実行委員会」                    
連絡先:                                   
田中雄士 〒868-0201 熊本県球磨郡五木村甲4944-5          
國徳恭代 〒862-0976 熊本市九品寺5-4-59-801            
渡辺 誠 〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町22-17-201         


西田 陽子 川辺川>環境アセス>補足                   
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【なにも知らないひとのために】                        
川辺川ダムとは…                               
九州・熊本、八代市に注ぐ日本三大急流の一つ球磨川の上流に計画された、高さが  
100m以上もある九州一の巨大ダムです。30年以上も前に作られた計画はその建設目的
を変え、現在は洪水調節とかんがい用水確保をを視野に入れた、多目的ダムとして計 
画が続行中です。現在まで、約1000億円以上が費やされ、98年春の計画変更時点では
、総予算が2650億円となりました。                      
ダムができることにより、子守唄で全国的に有名な五木村の中心部が、ほぼ水の底に 
沈むことになります。村では、計画当初から反対運動が展開されましたが、今では「 
苦渋の選択」といわれたダム受け入れを議決し、ダムによる村おこしを計画中です。 
流域の相良村、人吉市などの議会も川辺川の水質保全を条件に、ダム容認を表明して 
いますが、流域住民の中にはダムを疑問視する声が後を絶ちません。        
99年春現在、ダム本体工事の準備もほぼ終わり、今年度内にでも本体着工にかかりた 
いというのが、建設省の意向です。ただし建設省は、球磨川・川辺川の水質・流量保 
全に疑問を提示しいている球磨川漁協に対して、的確な対応ができていません。さら 
に建設目的の一つでもある利水(かんがい)事業に対して、半分以上の受益農家から 
裁判を起こされていいます。農家としては、農業事情の変化等でもうこれ以上水はい 
らないし、利水事業に対しての同意(ハンコ)の取り方に問題があるというのが理由 
です。現在6回の公判を終え、さらに係争中です。