瀬音の森ニュース 39
小菅の森、間伐教室開催
2000. 12. 9.10
小菅の森、間伐教室開催
12月9日・10日の二日間、小菅の森で間伐教室を開催しました。二日間とも天候に
恵まれ、季節はずれの暖かい日差しの中での作業となりました。二日間通して参加した
のが、わたるさん、JICKYさん、中川さん、kurooの4人。二日目だけ参加したのが、
ハミングウェイさんと加藤さんでした。
今回、間伐教室を開催するに当たって「間伐・伐木の手引き」を作成しておいたので、
全員に配って、作業の説明をしました。内容は「伐木作業者安全衛生必携」からの抜粋
したもので、分かりやすくまとめてあります。表紙には伐木の作業手順と切る原則を図
解しておきました。受け口の切り方、安全確認、追い口の切り方、木の倒し方の実演。
そして4mの玉切りと枝払いの実演をしました。枝払いは安全を考えて鋸を使います。
落とした枝は表を下に伏せて揃えて重ねます。こうすると綺麗に枝がまとまります。
細い木、曲がり木、二股の木を切り倒します。上下作業にならないように、近づかない
ように気を配りながら作業を行いました。
|
作業を終えて勢揃いした参加者。 |
間伐の意味
間伐は、本来主伐に至るまでの途中で、保育や収穫の為に抜き切りする事。込みすぎ
た状態を緩和させ、残った木の成長を促進させ、諸害に対する耐性を高める重要な保育
作業であるとともに収穫の間隔を小さくする収穫行為としても林業上重要なものです。
ただ、最近の人工林は手入れが遅れており、このような本来の間伐作業よりも、土壌
保全などの緊急処置として行われる場合が多くなりました。手入れが悪い人工林では表
土の流失が多く、これは水源涵養の点では致命傷になります。込み合った林木を抜き切
りする事により、林床に光を入れ、草本や低木を繁茂させます。こうする事によって、
表土の動きを止め、落ち葉や枯れ枝などの有機物を溜める事が出来ます。そして、それ
らの有機物が分解されることで土壌が豊かになります。
土壌が豊かになるという事は多くの微生物や土壌動物が住むということです。この土
壌動物の働きで団粒状構造(3〜5ミリの湿気を含んだ柔らかい粒状の土壌)の土壌が
出来上がります。この団粒上構造の土壌こそが、もっとも水源涵養機能に優れた土壌な
のです。
込み合った人工林を間伐するという事が、水源を涵養し、安定した流量を持つ、すば
らしい川の第一歩になるのだという事を理解して下さい。その為に瀬音の森は人工林の
間伐をするのです。一見かけ離れた行為に見えますが、人工林の間伐こそが豊かな川の
第一歩だという事をご理解下さい。
森林が水を作るのではありません。森林の土壌が水を作るのです。水源を涵養し、作
物を育て、我々の命の元を作ってくれるのは土壌なのだと言うことを再認識しましょう
。全ての生命は土壌の恵みから生まれて来たとも言えます。森や山や畑に良い土壌があ
る事が、我々の未来を保証してくれるのだと思います。土壌を見捨てたとき、それは、
人間が生きられなくなる時です。
我々は林業家ではありません。でも、間伐の重要性は理解しています。作業は危険が
伴います。ボランティアで無理をすることもありませんが、きちんと作業する事が大切
です。いい加減にやるとかえって事故の元になります。作業は真剣にやりましょう。痛
い思いをするのはもうイヤです。
間伐作業をやってみて感じたこと
●慣れるまでの時間が必要:この作業には慣れが必要だと感じた。急がず焦らずゆっく
りとやる事が必要だと感じた。安全第一。
●斜面が急だった。:思った以上に斜面での作業はきつかった。約30度の斜面は上り
下りだけでかなりの重労働。チェーンソーを使うよりも、身軽に動ける鋸の方が楽だ
った。太い木の場合はチェーンソーの方が楽かもしれないが、そのケースは少ない。
●木が倒れない!:密生しているので、ほとんどの木がかかり木になってしまう。その
処理に時間がかかり、どうやって倒すかが大問題だった。ケースバイケースなのだが
、このノウハウを確立しておかないと事故につながる可能性がある。
●4mの細引きは必携:玉切りの寸法を測る。かかり木になった木を引き倒す。倒す方
向を変える。山から玉切りした材を引き下ろす等とても便利だった。
●真下に倒すと処理が大変。:伐倒方向が真下しか無い場合、どうしても真下に倒す事
になるのだが、その後の処理が大変なことになる。やはり斜め横方向に倒すのがベス
トだった。
●体力勝負:木は重い。切る、倒す、動かす、運ぶ、引きずる、見た目は細くても、け
っこう重い。斜面を利用して下へ下へと動かすのがコツ。
●土留めが必要。:切った木を横にして、その上に枝を敷き詰め土留めにする。これを
一定間隔で平行に作る事が必要だと感じた。斜面の土が崩れている場所が多い。
●焚き火番:昼休みに焚き火をした。準備から火消しまでの時間がどうしても長くなる
ので、焚き火当番を決めてやってもらう事が必要かもしれない。焚き火当番は水当番
も兼ねておくと、昼食などがスムーズに行く。料理当番がいてもいいかも知れない。