瀬音の森日記 101


小菅の森の道普請



2000. 1. 9


1月9日(日)朝9時、水の館駐車場には寒そうな顔をした私とわたるさん家族、初参
加のKOUさん、猫ミュウさんが集まっていた。今日は「瀬音の森・小菅」の道普請と倒
木処理作業の日なのだ。4台の車はすぐに舩木さんの家に向かう。舩木さんの家で唐鍬
を借り、山小屋の前に行く。そこには昨夜からキャンプしていたテ-ルウオークさん渡部さん
telさんがいた。この寒いなかでキャンプするという信じられない人達だ。近寄るとほ
のかにお酒の匂いがした。熊が怖くて、山ではなく下でキャンプしたとのこと。   

全員身支度をして集合写真を撮る。写真は朝の元気の良い時に撮るに限る。午後の終了
まぎわではどんな顔になっているか分かったもんじゃない。やる気満々の顔がずらりと
勢揃いした。                                 

山道をゆっくり登る。少しでも歩きやすい道にするためにどこを直せばいいのか、どの
くらい時間がかかりそうか、下見を兼ねてゆっくり道の様子を見ながら登る。登山道と
いうのは定期的に人が歩くので、ある程度の状態は保たれるのだが、こういった里山の
山道は人が入らなくなるとすぐに荒れて歩きにくくなるものだ。山道を整備するのは初
めての経験だが、今後は定期的に整備する事も考えなければいけない。       

ヒノキ林の中、最初の道普請場所に来た。渡部さん、テ-ルウオークさん、telさんと私の4人
で道普請の作業を始める。わたるさん家族、猫ミュウさん、KOUさんはそのまま上の森
に行ってもらう。                               

作業は、道が途切れそうになっているところや細くなっていて歩行面が斜めになってい
る部分で行う。山側を少し切って歩行面を平らにして、カケヤで叩いて固めるのだ。4
人が作業を分担しているので見る見るうちに道が切られていく。渡部さんと二人でカケ
ヤを振る。汗が出てくるが気持ちいい。                     

カケヤを振り下ろすとその衝撃で広い範囲の地面が震動する。ヒノキ林の荒れた地表か
らは想像できないが、内部は以外とクッションがあるようだ。木の根のせいなのか?見
かけだけでは分からないものだなあと変なことに感心してしまう。邪魔になるからと切
った木の根から見る見るうちに水が流れ出してきたのにも驚いた。         

何カ所か道切りをして登っていく。森の入り口まで登ってきて、3人はそのまま森に行
き、私は一人で下りながら山道の細かい整備をする事にした。道の落ち葉を払い、小石
を払う。それだけの事なのだが、けっこう大変だ。落ち葉の下の石は歩きにくい上に、
捻挫など思わぬケガの原因ともなる。滑ってころぶくらいは愛嬌だが、足をひねってし
まったら大変な事になる。山仕事で疲れた時に下る道でケガをする事は、ままある事な
のだ。足を引っかけやすい木の根も、歩道部分は取り除く。            

20メートルほど作業すると腰が痛くなって休憩するのだが、この時の感じがいい。山
腹の林の中に一人でポツンと息をしている自分がいて、シンとして他に音がない。遙か
に遠くの方から、ときおり何かの音が聞こえてくる。風と葉ずれの音がかすかに聞こえ
るだけ・・・このまま山に溶け込んでしまうような感じ、こんな時間がじつにいい。 

登山者が数人声をかけて通り過ぎていく。「ご苦労様」だったり「大変ですね」だった
り。私はすっかり山道を整備する地元民になっている。そうか、道の整備というのは自
分たちだけじゃなくて、この人達の為にもなるんだと作業にも気合いが入る。    

結局、昼食用に買ったおにぎりを食べる時間もなく、下まで一気に道の整備をしてしま
った。作業を終えたのが午後3時。休んでいるつもりが、そのままうっかり寝てしまい
、森から降りてきた渡部さん達に起こされた。あやうく風邪を引くところだった。この
時期の山は2時を回ると急に寒くなってくるので、うっかり寝てしまうなどというのは
不注意も甚だしい。反省、反省。                        

その後、舩木さんの山荘に寄らせてもらい、薪ストーブと温かいコーヒーで冷え切った
体を暖めさせてもらった。このログハウスは舩木さんが自分の手で建てたもの。足かけ
2年、実働30日くらいで建てたと聞いて、その鮮やかな技に感心してしまう。薪スト
ーブを囲んでの会話はどんどん盛り上がって行き、蕎麦作り・わさび田整備・じゃがい
も作り・椎茸作り・秘密のマイタケ作りなどへとエスカレートしていく。      

ストーブと会話の熱気に酔いながら・・・あとはまた明日から。