瀬音の森日記 104
雪景色の森から
2000. 1. 29
1月29日(土)今日は小菅の森の作業日。9時に奥多摩駅で尾花さんを拾い、こねこ
さんと3人で集合場所の水の館駐車場に行く。すでにわたるさん、猫ミュウさんと奥さ
ん、澤田さん、野村さんがいた。本間さんと服部さんは電車の事故で遅れているらしい
。しばらくして加藤さんと稲垣さんがやってきた。勢揃いしたところで、いつものよう
に舩木さんのログハウスを目指して出発する。ところどころ雪の残る道を慎重に走り、
いつものところに駐車して準備にはいる。
マイナス6度だと誰かが言う。雪が残っているくらいだから相当寒い。上は大丈夫なん
だろうか・・と不安になるが、こればかりは行ってみないと分からない。身支度をして
準備運動をする。道には雪が残っているようなので、今日は地下足袋ではなくて長靴に
する。お弁当とお湯の入ったポットを忘れないようにしなくては。
参加者が一列になって山道に入る。女性が3人いるので、なるべく歩幅を小さくしてゆ
っくり一定のスピードで歩く。途中、木の説明や林の話をしながら登る。猫ミュウさん
が野鳥の解説をしてくれる。カケスやコゲラが飛び去る姿が確認できた。大きなモミの
木の枝にカラスの巣があった。座布団のような大きな巣だ。
山腹の道から尾根道に入ると樹相が一変する。それまでのスギ・ヒノキの暗い人工林か
ら開けて明るい雑木林になるのだ。赤松、リョウブ、ウダイカンバ、コナラ、幹の青い
のはウリハダカエデか・・・スギ・ヒノキの林にはない明るさとにぎやかさが楽しい。
休憩の間コゲラの生態を観察する。頭の上の枝で忙しく首を振りながら、まんまるにな
ったコゲラがせわしなくエサを探していた。双眼鏡でじっくり観察していたら、誰かが
「あの羽はグリズリーハックルみたいだ。」と言ったので思わず笑ってしまった。釣り
師の本音がポロリと出た一言。もちろん女性陣には何のことか分からない。
小菅の森は真っ白な雪原になっていた。尾根の平らな場所なので日当たりも良く、雪は
残っていないのではないかと思ったのだが、予想に反して全面的に雪に覆われていたの
で驚いてしまった。でも、景色としては最高で、白樺などは白い肌を一層輝かせてイキ
イキしていた。抜けるような青空とのコントラストも最高だ。
ゆっくりと登ってきたので、すでに11時半。休憩も兼ねて昼食にする。わずかに雪が
溶けて枯れ葉が覗いている場所に集まって思い思いに持参のお弁当を広げる。稲垣さん
はコンロで湯を沸かす。わたるさんのリュックからは1Qさんから差し入れの「アキグ
ミ酒」が出てきた。私はおにぎりとポットの暖かいお茶で昼食。おにぎりは赤飯のおに
ぎりに限る。ポットのお茶が暖かいのが嬉しい。尾花さんは朝4時に起きて自分でおに
ぎりを結んできたそうだ、えらいものだ。わたるさんもきれいなお弁当を広げていた。
作業は倒木の処理。倒れている木を短く切ってまとめる、それだけの単純作業なので簡
単に説明をしてすぐに開始する。思い思いの場所で倒木と格闘を始める。雪の上とはい
え風がないので動き出すとすぐ暖かくなる。猫ミュウさんの奥さんが言っていた「木は
切りだすとクセになりますよね。」本当にそう思う。まるで散髪のようだと面白い事を
言う。でも、よく分かる。切りだすと止まらなくなる(笑)
遅れていた野村さん、本間さん、服部さんがやってきた。ずいぶん急いで山を登ってき
たようで、息を切らせている。そんな姿を見て、こちらも休憩に入る。山の作業は休憩
が多くていいのだ。風邪を引いている私はどうも今日は作業に身が入らない。まあ、雪
の中で無理してもどうかという思いもあるので、つい休憩モードに入ってしまう。
わたるさんと猫ミュウさんが水場を探しに雪の中に消えていった。この季節に水場を探
すというのもどうかと思うが、果たして見つかるかどうか。私は前回の課題だったブリ
縄をやってみた。新しいブリ縄は黒いので目立たず、なかなか具合が良い。問題はやは
り降り方だ。登るのはどこまでも登れるが降りる方法が見あたらない。結局ぶら下がっ
て飛び降りたが、何か方法はないものか思案してしまった。ブリ縄でそのまま懸垂下降
出来れば良いのだが、簡単で安全な器具はないものだろうか。
作業は2時半で終了。結局またしても水場は見つからなかった。使う水は下から担ぎあ
げるのが一番、という結論に達したようだ。全員でシンボルツリーの前で記念写真を撮
る。全員が杖を持ち、まるで巡礼のよう(笑)
山を下って舩木さんのログハウスで豚汁を作る。こねこさんが自宅から材料を刻んでき
たものを鍋で煮る。その間に薪ストーブに火を付けて暖まる。薪ストーブの熱気と参加
者の熱気と、豚汁のおいしい香りがログハウスに充満してきた。
船木さんからはえのきたけと猪肉の差し入れがあり、炭火焼きで堪能させてもらった。
参加者一同大満足の一日だった。
こうして小菅の森に歴史が刻まれていく・・・あとはまた明日から。