瀬音の森日記 108
道志の森から、その1
2000. 2. 11
2月11日(金)車で道志村に向かっていた。中央道に乗るまでに渋滞でうんざりして
いたのに、中央道はさらに激しい渋滞だった。府中で乗って、あまりの渋滞のひどさに
さっさと八王子で降り、16号で道志に向かった。今日は3連休の初日だったので、多
少の混雑は予想していたが、これほど混むとは・・・・
道志村の最奥、山伏峠のやや下流のところに、藪の高橋さんの山荘がある。そこに集合
して山仕事の手伝いをやろうというのだ。場所はすぐ分かった。赤茶色の壁に緑の屋根
のモダンな山荘の前に高橋さんが立っていた。わたるさん家族はすでに到着していた。
休憩後、裏の山に登る。高橋さんが間伐した杉林はすっかりきれいになっていた。枝打
ちもしっかりされていて、ここで手を加えることはもうない。我々は沢向かいのヒノキ
林に入った。聞けば、ここの林の枝打ちと間伐を依頼されているのだそうだ。確かにひ
ょろひょろと細長いヒノキばかりだ。
午前中は一人で4メートルまで伸びる長柄鋸を使っての枝打ちをした。最初は余裕で扱
っていたのだが、徐々に肩が重くなってくる。枝の高さに合わせて長柄の調節をして、
足場を固め、両手で枝に刃を当てて下に引く。上手くいくと一回で切れる。切れないと
きは2度3度と同じところを引く。これをひたすら繰り返すだけ。
足場が急斜面なのと、長柄鋸の重さで徐々に疲労が蓄積してくる。1時間ちょっとで昼
休みとなりほっとした。昼食は山荘で全員集合して食べた。休憩時に踏ん張って疲れた
足の裏と腕を揉む。日が射し込んで部屋の中が暖かくて気持ちいい。わたるさんの三人
の子供達は元気に走り回っている。
午後は長柄鋸とブリ縄を持って山に入る。わたるさんはチェンソーで杉丸太を玉切りし
ている。長柄鋸の扱いにやっと慣れてきた。移動する時はなるべく杖のようについて、
体を支えるようにすること。枝の高さと長柄の長さはこまめに調節して、常に同じ位置
で腕を上下させるようにすると疲れないこと。それもなるべく腕が低い位置になるよう
に長柄を調節すること。ぐるぐると幹を回りながら枝に直角になるよう刃を当てると簡
単に切れること。などなどいろいろな事を会得した。
尾根の部分のヒノキは背が低いので、ブリ縄を使って枝打ちした。ブリ縄は小菅の森で
作ったもので、枝打ちには始めて使う。何度か使ってみて、長柄鋸との違いを考えてみ
た。長柄鋸は最高6メートルから7メートルの高さまで枝打ちが出来る。ブリ縄は頑張
っても5メートルから6メートルまで。作業時の安全性はどちらも同じ様なもの。木に
登る分ブリ縄の方が危険のようだが、実際にはブリ縄の方が安心感がある。これは長柄
鋸の場合、疲労してくると上を見ながら急斜面で行う作業は、足元がものすごく不安定
になるからだ。最後はめまいがしてくる。
長柄鋸は木の太さは関係ないがブリ縄は太い木では急に不安定になる。これは支えてい
る腕の力が必要になるため。何と言ってもブリ縄は軽いのがいい。当然だが枝の切り口
はブリ縄での作業の方がきれいだ。結論として、山の麓の背の高いヒノキ林では長柄鋸
が、山上の急斜面の幼齢林ではブリ縄に分がありそうだ。木登りはけっこう楽しい(^_^)
わたるさんの作業が終わって、こちらに来てくれた。長柄鋸や間伐を交互にやっていく
と徐々に林の様子が変わってきた。枝打ちされて明るくなってのびのびと見渡せるよう
になったヒノキ林はなかなか風情がある。すらりと伸びた幹はさっぱりと潔く、枝打ち
していない部分とはまったく違う清々しさが漂っている。自分で苦労した分がそう見さ
せるのかもしれないが、良い林になってきた。
4時、山荘に戻って片づけをする。本日の作業はこれにて終了。山荘でお茶を頂く。
わたるさん家族とはここでお別れ。我々(といっても3人だが)は山伏峠を越えて「石
割の湯」に行く。温泉は疲れた体に心地よく、手足の指先から疲れが溶け出すようだ。
ゆっくりお湯につかった後は、100円マッサージ機にかかる。時間をかけて揉んでく
れるのが嬉しい。お次は足裏マッサージ機、これも100円。これは何ともいえず気持
ちいいものだった。足が溶けてしまうような不思議なマッサージだった。
帰り道に買い物をして山荘に戻り、奥さんが鍋料理を作ってくれたのを食べる。そして
飲む。話は多いに弾んで時間があっという間に過ぎていく。寝袋を準備して潜り込んだ
所までは覚えているのだが、あっという間に熟睡してしまったようだ。
今日は頑張った・・・・あとはまた明日から。