瀬音の森日記 109
道志の森から、その2
2000. 2. 12
2月12日(土)高橋さんの山荘で目覚めたのは6時半。7時にNAKANOさんが来るこ
とになっているが、まさかそんなに早く来ないよねと話していたら、本当に7時にやっ
てきたので驚いてしまった。朝食はNAKANOさんも交えて4人で食べる。夕べ私が作っ
ておいたキャベツの丸ごと煮と麻婆豆腐丼とけっこうボリュームのある朝食だった。
奥さんが「山仕事の前なんだからこのくらい食べなくちゃね。」と明るく笑う。
朝の作業は昨日と同じ長柄鋸とブリ縄を使っての枝打ち。朝一番は昨日落とした枝の整
理から始める。斜面に落ちた枝を同じ向きにして伏せるように重ねていく。斜面を上に
行ったり下に行ったり横に這い回ったりして枝を集めていると体が暖まってくる。林の
中には緑の枝の山があちらこちらに出来上がっていく。
NAKANOさんと高橋さんは山荘の裏の斜面で丸太を何やら動かしているようだ。こちら
は長柄鋸を使った枝打ちを続けている。何本か枝打ちしたあと、細いヒノキを間伐する
ことにした。このくらいの太さなら(20センチくらい)手引き鋸で十分だ。受け口を
切ってから追い口を切る。2センチくらいのツルを残して片手で押すとゆっくり倒れて
いく。倒れたヒノキの枝を一本一本鋸で切る。ここで鉈を使う人も多いが、枝は以外と
強いので鋸の方が安全で確実で早い。
10メートルくらいの幹を半分に切り、斜面に対して直角になるように立っている木に
渡しかける。その木の上に切った枝を伏せかける。こうする事で土留めにもなり斜面の
安定にもつながる。3本ほど処理をしたところで喉がからからになり、休憩する事にし
た。山荘に戻って車の中に積んでいたサプリのペットボトルを取り出してビックリ!
何とサプリが凍っていた。そういえば朝、零下5度だと誰かが言っていたっけ。
向こう側の斜面に生えている木が気になって、雪の斜面を歩いていって見た。どうやら
エゴノキのようだが、幹だけでは自信がない。森林インストラクターを目指していても
こんな状態では難しいかもしれない。部屋の中で休憩、NAKANOさんと森林インストラ
クターの問題集について軽い話をする。NAKANOさんは樹木図鑑を持っていて、いろい
ろな木の話をする。部屋は日差しが差し込んで暖かい。高橋さんの奥さんがお茶を入れ
てくれた。
休憩後、NAKANOさんと二人で枝打ちに行く。長柄鋸の使い方を教えて、私はブリ縄で
の枝打ちをする。だんだんブリ縄の使い方も慣れてきた。慣れてくるとこの方法の方が
合理的なように感じてきた。道具がシンプルで、慣れるに従って作業も早くなってきた
のだ。NAKANOさんは長柄鋸と格闘している。帽子がなくても大丈夫だろうかと心配に
なるが、楽しそうにやっているのでそのままにしておいた。
そして、気になった木を何本か間伐をした。太いスギの木の陰で枯れそうになっている
細いヒノキ。一本だけ細くて、ヒョロヒョロしたヒノキ。幹の途中が何の加減かこぶの
ように膨らんでいるヒノキ。などなど。本当はもっと切って明るく整理したいのだが、
全体を枝打ちする方が先なので遠慮した。枝打ちしてからの方が間伐もやりやすい。枝
打ちしていない部分ではほとんどがかかり木になってしまい、処理に危険が伴う。まず
枝打ちをしておいて、スッキリさせたうえで密度管理の間伐を行うのがより危険のない
方法だと思う。
NAKANOさんが太いスギの木の枝を落とした。この太い枝を落とした事で林の中がぐっ
と明るくなったように感じた。林内照度は確実に上がったと思う。枝打ちの必要性が実
感された瞬間だった。
高橋さんがチェーンソーを持ってやってきた。「こいつを切りましょう。」と言うやい
なや一本のヒノキをウイィィ〜〜〜ンと切った。が、かかり木になってしまった。高橋
さんはチェーンソーで幹を刻んでかかり木を引き倒してしまった。う〜〜ん、チェーン
ソーはやっぱり強い。でも何となくこのくらいの太さだったら手引き鋸の方がいいと思
ってしまうのは、手引き鋸に私が慣れてきたせいかもしれない。
3人で沢を歩く、熊の爪痕を刻んだイヌブナの幹を見つけた。「やっぱり熊がいるんだ
ねえ。」としばし沈黙。
11時半になったので作業は終了して山荘に戻る。着替えて休憩していたら、奥さんが
うどんを作ってくれた。おなかがすいていたので美味しく頂いた。皆さんと別れて道志
道の駅でおみやげを買って、ゆっくりと帰路についた。
いやあ、充実した二日間でした・・・あとはまた明日から。