瀬音の森日記 114
下富の林業ボランティア
2000. 3. 12
3月12日(日)所沢市下富のコナラ林再生ボランティア活動の日だ。朝から小雨が降
っていて寒いのだが、天気予報は雨が上がると言っているので参加する事に決め、着替
えて車に乗る。雨の場合の確認方法などもこういう日は気になる。瀬音の森でも野外活
動が中心だから、どうしても天気に左右される事が多い。どの時点で開催と中止を決定
するのがベストなのか、判断は常につきまとう。そして、その連絡方法は・・となると
事前に約束事として決めておかなければ混乱を招く事が分かる。各イベントごとに事前
に雨の場合はどうするかを決める事が必要だ。
会場に着き、合羽を着て集合場所に行く。林の持ち主が大きな焚き火をして枯れ木の処
理をしていた。暖かい焚き火が雨の事を忘れさせてくれる。幸い小雨のままで、このま
ま上がってくれそうだ。参加者も三々五々焚き火の回りに集まってくる。今日の参加者
は先生2人を含めて10人だ。
準備体操をして作業に入る。今日は枝打ち・伐採・ヒノキの皮むきなどをする予定だ。
まずは枝打ち。前回から考えていたのだが、ブリ縄を二本使ったらどの高さまで枝打ち
出来るのかを試してみたかった。手頃なヒノキに取り付く。あぶみを作って棒を止め、
そこによじ登る。さらにあぶみを作って棒を止めその上によじ登る。ここで、準備して
あったもう1組のブリ縄を使ってあぶみを作って棒を止めそこによじ登る。
途中の枝を落としながら3段のブリ縄に登ってみると、これがなかなか高い!雨の後な
ので滑る事も手伝って、いささか足がすくむ高さだ。手が届く範囲の枝を落として、足
場にしていた棒をつかんで降りる。こうして足場を組んだまま降りる分には怖くないし
安全だ。この方法で果たして枝下何メートルまで落とせたのか?下から計ってみる事に
した。丸太用に作った竹のメジャーが4メートルあり、それを幹に立てかけてみると枝
下は7メートル弱となっている。
見上げるような高さだが、計ってみると7メートル。これがブリ縄の限界か・・・いや
3段目までしか使ってないのだから4段目を使えば8メートルを超えられる。そこが限
界になるのかもしれない。但し太い木では無理だ。う〜〜む、奥が深い事よ。結局3本
の枝打ちをしたのだが、棒が濡れて滑るのでそれ以上は止めた。
エゴノキを伐採する。この時期のエゴノキはすでに水を上げていて、ノコギリを引くた
びに「おが屑」ならぬ「おが汁」が出る。ミズキなどもそうだが、水分の多い木を切る
のはあまり良い気分ではない。先生も「この時期の伐採はやなもんだねえ・・」とつぶ
やきながら生徒を見回っている。今日は林の持ち主と今後の手入れの打合せをしながら
作業を見ている。
3本目に切ったエゴノキが「かかり木」になってしまった。幹の高いところにロープを
かけ、尾崎さんに応援を頼んで二人で声を合わせて引く「いちにーの〜サン!」ズルッ
とはずれて、エゴノキは大きな音を立てて地面に倒れた。かかり木になるのは受け口を
雑に切ったからだ。まず受け口がきちんと切れていれば思った方向に倒れてくれるので
、最初にノコギリを入れるときに慎重にならなくてはいけない。慣れて来たところでい
い加減に切り始めたからこうなった訳で、反省しなくてはいけない。
昼食はいつものように焚き火の周りで話をしながら食べる。私は恒例となった枝差しウ
インナー焼きと暖かいほうじ茶とおにぎり。この時間にいろいろな話を出来ることが楽
しみの一つになってきた。今日は虫の話・動物の話・魚の話・昔の話・・じつに色々な
話が出てくる。焚き火はいつも人を饒舌にする。
午後の作業も伐採が続く。シデの木、アオハダの木を切り倒す。この2本は細い部分を
輪切りにしてコースターを作ると良いと聞き、手切りでコースターを切り出す。シデの
切り口には放射状に杢のような目が走っていて美しい。アオハダの方はじつに木目(年
輪)がきれいで、きめ細かい模様になっている。こうしてみると木の良さがそれぞれに
違う味わいで出ていて面白い。調子に乗ってエゴノキ・リョウブ・ヒノキのコースター
も作った。こうしていろいろな木でコースターを作ったら面白そうだ。
次はヒノキの皮むきを手伝った。太いヒノキなら皮むきも楽なのだが、細めの木なので
四苦八苦する。竹へらで剥いていたのだが、何とも作業が進まず、ついにあきらめて鉈
で剥くことにした。鉈の両面を使い分けて、両手で奥から手前に引くように皮を剥く。
丸太にまたがって皮を剥きながら丸太を廻していく。こうすると面白いように皮が剥け
る。そういえば皮むきの道具もこんな使い方をしていたような気がする。ただ、長く続
けていると腰が痛くなって困る。
今回も色々な発見があった。こうして同じ場所で季節が変わるのを見守っていくのも面
白いものだ。季節は着実に変わっていく。
マイヘルメットのかぶり心地は最高・・・あとはまた明日から。