瀬音の森日記 121


丹沢のヒノキ植林



2000. 4. 8


4月8日(土)朝5時起床。身支度をして車に乗る。今日はかながわ水源の森にヒノキ
を植林に行く日なのだ。車は快調に高速道路を走る。大井松田インターを出て246号
へ、そして丹沢道の駅を目指す。折りしも時は桜が満開の時期、あちこちの桜が満開で
運転の目を楽しませてくれる。両側に満開の桜、正面に真っ白な雪を頂いた富士山!!
絶景である。青空と富士山と満開の桜はよく似合う。出来過ぎだ〜〜〜       

道の駅で時間をつぶして、集合場所のヴェラハイツ中川の駐車場に着いたのは8時半。
鵜住居さん、澤田さん、NAKANOさんがすでに到着していた。そして続々と会員が到着
する。藪の高橋さんと岳勝さんは釣りに行ってきたらしい。ハミングウェイさん、坂本
ヒラメさん、加藤さん、稲垣さん、JICKYさん。三々五々集まってきて藪の高橋さんが
新しく買った振り出しフライロッドのアクションなどを確かめている。これはどう見て
も釣り師の集団だ。                              

かげろうの会の皆さんとの顔合わせをして、会場に向かう。何台かの車に分乗して集合
場所の堰堤に向かう。堰堤にはすでに他の団体の方たちが大勢いた。そこへ、遅れてい
た尾崎さん一行3人がやってきた。これで全員集合。揃いのヘルメットをかぶって、一
人一人が唐鍬(とうぐわ)を持って一列になって山を登る。沢沿いの道で快適な山道だ
がすぐに汗が出てくる。目的地は20分程歩いたところにあった。         

森林づくり公社の久保田課長が、場所と作業の説明をする。首が痛くなるように見上げ
る現場はかなり急傾斜だ。赤いテープが引いてあるところが作業現場なのだろう。3つ
の班に分けられ、我々「瀬音の森」と「かげろうの会」は第2班という事になった。2
人の森林インストラクターが指導員としてついた。                

鹿防護柵が破られた写真を回覧する。誰がいったいわざわざ防護柵を壊すようなことを
するのかと聞いたら、なんと壊すのはハンターだそうだ。鹿が柵の中に入れるようにし
ておいて、ころあいを見て狩るのだそうだ。鹿は柵の中でしか逃げられないから、ハン
ターにとってはこれほど楽で効率的な狩猟はない。どこの世界にも悪賢い人間はいるも
のだ。その代わり、せっかく植えたヒノキが壊滅的被害を受ける事になってしまった。

1班から1列になって柵の中に入っていく。柵を乗り越える脚立がセットしてあって、
それを使って背の高い柵を乗り越える。壊れない限り飛び越えることなど不可能な高さ
だ。誰かが壊さない限り、これを乗り越えられる鹿はいないだろう。つづら折りの道を
淡々と登る。柵を越える脚立は全部で3カ所あった。斜面は30度から35度くらいか
、足元に気を付けないと滑りそうだ。                      

一汗かいて作業現場に着いた。仮植えしてあるヒノキを使ってインストラクターが植林
の手順を説明してくれた。植える場所は適当に空いたところに植えてくれとのこと。そ
んな指示でいいのかな? と思ったが、インストラクターの言う通りに作業を始める。
それにしても、素人がこの斜面で初めての作業をするのだから、上下作業の禁止とか落
石の注意、唐鍬の使い方などの安全指導は話しておいたほうが良かったのではないだろ
うか。疑問の残る指導だった。                         

植え方:植える場所の60センチ四方を平らにする。その中央に20センチくらいの穴
を掘り、そこに苗を立てるように置き、まわりに土をかける。ヒノキの葉が表向き(南
向き)になるように植えること。土を踏み固めながら苗を少し引っ張り上げる。こうす
る事で根が下向きになる。(活着率が良くなるのか?)仕上げに苗のまわりに枯れ草な
どを寄せておく。                               

鹿の食害はひどいものだった。幹の樹皮がむしり取られるようにはがされている。峰の
方のヒノキはほとんどが食害されている。フンが大量に落ちているところを見ると、1
頭や2頭ではない数の鹿がいたようだ。それにしても葉っぱを食べずに幹を食べるとは
何故だろうか・・・。インストラクターが大げさに驚いていたが、昨日今日の食害でも
あるまいし、いかに現場を知らないかを叫んでいるようで見苦しかった。県の森林イン
ストラクターとして来ているのだから、現状くらいは把握しておいて欲しいものだ。 

オレンジ色のヘルメットがヒノキ林の中をキビキビと動き回り、作業は思いの外早く進
んだ。なんと、予定通り12時で作業が終わってしまったのだ。苗はまだ100本ほど
残っていたが、インストラクターは「あとは林業屋さんにまかせましょう。」とのこと
。本当にそんな事でいいのかなあ?? ボランティアとはいえ、朝5時起きで来て、や
る気満々でいるのに、作業時間は実質1時間。それも途中で作業終了。何だかなあ・・
森林づくり公社のボランティアに対する考え方をそろそろ変えないと、せっかく集まっ
た熱意が冷めてしまう事になるんじゃなかろうか。                

ボランティアはお客様じゃないのだから。作業の意味と成果をきちんと伝え、参加者が
自分の作業に満足して終わるようにしないと続かないのではないか。そうでないと、時
間は短いほど良い、作業は早いほど良い、とりあえず形だけ整っていれば良い・という
ようなボランティア作業になりかねない。難しい事かもしれないが、参加者は自分のし
たことに満足したいのだから。もっとプロの要求をしても良いのではないだろうか。 

河原で昼食。食事はやはり水のそばがいい・・・あとはまた明日から