瀬音の森日記 132
樹木マップ作り 2日目
2000. 5. 28
5月28日(日)大雨で作業中止予定の日、シジュウカラの鳴く声で目が覚めた。窓を
開けるとなんとピーカンの青空!・・・快晴である。雨の音だとばかり思っていたのは
キャンプ場の下を流れている小菅川の音だったのだ。何だか狐につままれたみたいだ。
あの大雨という予報はどこにいってしまったのだ・・・。
外に出ると、テールウォークさんがコーヒーを入れてくれたのでごちそうになる。二人
で「何なんでしょうね〜この天気は・・」「まったくねぇ、あの予報は何だったんです
かねぇ・・」そう、晴れてくれたのはいいのだが、今日やる事が無いのだ。昨日のうち
に全て終わってしまっているのである。別の意味で困ってしまった。
今日参加の人がやってきた。JICKYさん、尾崎さん、井上さん一家。井上さんは今日が
初めての参加である。聞くと都内は雨だったとのこと。この好天は低気圧が予想よりも
進路を南に取った為に変わってしまったようだ。朝食は夕べのトン汁を活かしたうどん
とご飯とカレー。食事をしながら今日の作業の相談をする。昨日残してしまったテープ
の回収と、ゆっくり出来なかった樹木の解説・勉強をして、小菅の森の今後をどうする
かについて話し合おうという事になった。
午前中のみの活動となるので、疲労の残っている澤田さんと関本さんは山の下で待つこ
とになった。キャンプ場の後片付けをテールウォークさんの好意に甘えて、全員車上の
人となり、昨日と同じ舩木さんの山荘下に行く。そして身支度をする。井上さんは長男
のたくみ君を連れて登るという。「大丈夫かなあ・・」ちょっと不安になる。初めての
小菅の森だから無理しないで欲しいのだが・・・。
山登りを先行するのはJICKYさん、尾崎さん、野村さん。この3人は速い!最初から付
いていくことはあきらめて、井上さん家族と私と加藤さんはゆっくりと最後尾を登る。
案の定、たくみ君は登るのを嫌がってぐずりだした。井上さんはなんと背負って登り出
した。15キロの子供を背負って山を登ることは大変なことで、井上さんは上に着いた
ときにはグッタリしてしまった。でも、たいしたものだ。
山登りの後はいつも一休みする。たくみ君はぐずっていたのが嘘のようにはしゃぎ回っ
ている。作業はプロット用に打った杭はそのままにして仕切り用に張ったテープを回収
する作業。全員で走り回りながら回収すると、ものの20分で終わってしまった。張る
時の大変さを考えると何と楽なものよ。
kazuyaさんを中心に今後の森作りの作業について話し合う。小菅の森はコナラ、ミズ
ナラ等の巨木の森を目指している。その為の施業として択伐を考えていたのだが、いろ
いろと勉強するにつけ、択伐よりも巻き枯らしの方がこの森に合っているのではないか
と考えるようになってきた。森の中に10〜15%の枯れ木を残す方法だ。このほうが
森として豊かな生物相を育むことが出来る。林床に光を入れて低木層を豊かにし、高木
は枝を横に伸ばし、幹を太らせる。原生林に近い方向に森を誘導する事が、この森にと
って最も良い道だと考えている。
全員で熊棚を見にいく。コナラの大木の遥か上空にある熊棚を見て参加者から驚きの声
が上がる。小菅の森に熊棚は三つある。この周辺はコアゾーンとして立ち入りを制限す
る必要があるかもしれない。次に東端のつつじヶ丘を見にいく。ミツバツツジはすでに
花が終わっているが、ヤマツツジは真っ赤な花をいっぱい付けていた。この丘は本当に
つつじが多い。春の見所の一つだ。
近くでギンリョウソウを見つけた。葉緑素を持たないこの草は真っ白で、不思議な光を
発しているようだ。写真に撮っておいたが、こんな真っ白い不思議な草を見ると森の生
命力の不思議さを感じさせてくれる。
12時、すべての作業を終えて下山する。下ではテールウォークさんが昼食のチャーハ
ンと焼き蕎麦・トマトサラダ・スープを作って待っていてくれた。テールウォークさん
に感謝しながら全員で昼食を食べた。今回のイベントではテールウォークさんご家族に
本当に感謝したい。
こうして全日程を終え、小菅の森樹木マップ作りは終わった。この資料をどう生かして
素晴しい森作りにつなげるかが問題だ。全国から小菅の森を見学に来てもらえるような
森作りをしたい。そのための第一歩を歩き出したところだと思う。
96枚の調査票の重さを感じながら・・・・あとはまた明日から。