瀬音の森日記 135


「小菅の森・樹木マップ」を作る



2000. 7. 5


7月5日、忙しい仕事の合間をぬって小菅の森樹木マップを作った。これは5月の瀬音
の森イベント「樹木調査」の結果を一枚の地図上に落とし込むものだ。会員の皆さんが
がんばって調査した調査票もそのままでは資料にならない。これを全体として一覧出来
るようにしてはじめて誰でも分かる樹木マップになる。              

まず、調査票96枚(96プロット分)のマップ部分を2分の1に縮小してコピーを取
る。これで96プロットのそれぞれの10メートル四方のマップは5cm×5cmの小片
になった。これを正確に切り抜いて一枚づつ貼り合わせる。こうする事で、縦80メー
トル、横120メートルの調査地は縦40センチ横60センチの地図になる。    

一枚一枚のマップをメンディングテープで貼り合わせていく。数が多いのでちょっとず
れても合わなくなってしまう。ずれないように慎重に作業する。全部貼り終わったら裏
面を一枚の粘着ステッカーで完全に固定する。こうして完全に一枚の地図になったマッ
プには全面に小さい数字が並んでいる。この一つ一つの数字が1本の木なのだ。調査地
の景色を思い出しながら、調査の作業が大変だった事や参加者の奮闘ぶりが思い出され
て懐かしい。                                 

次の作業は出来上がったマップに林冠を構成する高木を落とし込む作業だ。アカマツ、
コナラ、ミズナラ、クリ、ホオノキ、その他10センチ以上の太さの高木に色分けして
マップ上に落とし込む。アカマツは赤、コナラは青、ミズナラは緑、クリは茶色、ホオ
ノキはピンク、その他の高木はオレンジで色分けする事にした。本来なら全ての樹木を
落とし込まなければいけないのだが、今後の手入れの為の地図作りという事で、高木だ
けを落とし込むことにした。                          

調査票の樹木名の欄にそれぞれの色をサインペンで付け、隣のマップ欄に位置を確認し
ながら、同じ色をポイントする。その後で調査票のマップを先程作成した全体マップ上
の同じ位置に色つけする。さらに赤字でその木の太さを記入する。これを96回くり返
す。根気のいる細かい作業だが、少しずつ出来上がっていく樹木マップに集中力が増し
てくる。                                   

白地だった樹木マップに赤や青や緑の点がついてゆき、徐々に徐々に小菅の森の全貌が
見えてくる。やはりコナラとミズナラが多い。思っていたよりもクリも多い。全体に混
在しているが、それぞれの分布に特長が表れていて興味深い。色分けしてある事で全体
の分布を把握することが出来る。株立ちしている高木などが一目瞭然だ。      

こうして丸三日かけて出来上がった樹木マップを俯瞰していると、まざまと小菅の森が
見えてくる。猫ミュウさんが発見したブナは最南端にある。その周辺はコナラが多い。
地質の影響でもあるのだろうか、なぜか太い樹木は北東方向に偏っている。北西方向に
はクリが多い。南西は細い木が多く、密集度が高い。1本しかないヤエガワカンバがあ
る。北端には太いハリギリがある。やはり1本しか見かけないハンノキもある。   

80メートル×120メートルの世界ながら、複雑微妙な勢力範囲が描かれていてじつ
に興味深い。こうして一覧図にして初めて見えてくるものもあるのだと実感した。この
樹木マップをもとに、山主である舩木さんと今後の手入れの方法を検討する事が出来る
のだ。どの木を育ててどの木を切るのか。そして残った木が30年後にどれだけの太さ
に育つのか。次の定例会で会員の皆さんにも見てもらって、今後の小菅の森での活動を
考えたい。                                  

例えば、散策路をどう設定したら良いのか。樹木名板をどの木につけるか。きのこエリ
アはどこに設定するのが良いのか。オリエンテーリングのポストをどこに設置したら良
いのか。森の案内板はどこに設置したら良いのか。                

樹木マップは夢がふくらむ・・・あとはまた明日から。