瀬音の森日記 177
間伐しながらログハウスを作ろう
2001. 3. 28
小菅の森でヒノキ林の間伐をしながら考えていた。この大量の間伐材を使って何か出
来ないものだろうかと。山主の舩木さんから「使っていいよ」と言われている小屋が
あり、ここを修繕して道具置き場に使おうという話になっていた。ある時、このヒノ
キの間伐材でログハウスが出来ないだろうかと考えた。
会社の近くの本屋で「ハンドメイドログハウス入門」という本を買ったのはその翌日
の事だった。昔からログハウスには興味があり、自分なりに建築計画などを立てたも
のだったが、しばらく忘れていた。この本を読んでいるうちに、昔の記憶がズンズン
と蘇ってきて、時間が経つのも忘れてしまった。
眼を皿のようにして読んでみると、自分でも出来そうな気がしてきた。山の中での作
業になるから、電気や重量物は使えない。そこにある材料だけでログハウスを作らな
ければならない。チェーンソーと少しの工具、材料はヒノキの間伐材・・基礎はどう
するのか、床はどうするのか、天井はどうするのか・・問題は数限りない。
考えに考えた上で出した結論は「やってみなければ分からない」だった。基礎は太い
ヒノキにコールタールを塗って使えば何とかなりそうだ。コンクリートはセメントや
砂をどれだけ運搬できるかにかかっている。床と天井はコンパネを運ぶのが手っ取り
早いが、これも誰かが担ぎ上げなければ使えない。
図面を書いてみた。3帖のバンガロー兼道具小屋と6帖のロフト付き山小屋だ。取り
あえず3帖のバンガロー兼道具小屋を作ってみて、難しさを実感しながらノウハウを
蓄積し、準備万端整えてから山小屋の製作にかかれば何とかなるだろう。図面上では
簡単に出来上がってくれるが、実際にやるまではどんな問題が出てくるか想像も出来
ない。山小屋作りという昔からの夢を実現させられると思うと胸がふくらむ。
間伐という危険を伴うわりに見返りの少ない作業が、今全国で求められている。森林
ボランティア団体でも多くの団体が取り組んでいるが遅々として進まない。間伐に山
小屋作りをプラスアルファしたら参加者も恒常的に楽しんでくれるのではないだろう
か。つらい作業も楽しみに変わるのではないだろうか。
昔から男の子には「秘密基地願望」があるように思う。山奥にあるヒノキ林、間伐材
は自由に使えて、10坪ほどの土地を提供してもらう。近くにイワナの棲む渓流があ
り、山菜やきのこは自由に採れる。そんな場所があり、そこに自分たちの秘密基地が
作れるとしたら、けっこう間伐も魅力ある作業になるのではないだろうか。
そこにある材料だけで作る山小屋だから、時間が経てば自然に還っていく。間伐する
間だけでも、仲間が集まる憩いの場所になる。間伐に参加した人は自由に使える山小
屋。どうです魅力ありませんか。
バンガロー作りでそのノウハウが出来れば、システム化出来るのではないか、などと
夢のような事を考えている。森林インストラクターとして間伐指導と山小屋作りをセ
ットで出来れば、多くの場所が間伐出来そうな気がするのだが、これもまた夢物語な
んだろう。とにかくバンガローを作ってみて、それからだ。
東急ハンズでスクライバー(水平器付きコンパス)を買った。頭の中でこれを使って
スクライビングしてみる。そしてそのラインに沿ってチェーンソーでノッチを刻んで
みる。何とか出来そうな気がする。実際の活動はまずは材料のヒノキの切り出しと乾
燥、そして基礎工事である。
これがきちんと出来ればバンガローも山小屋も夢ではない。
とにかくやってみよう・・・あとはまた明日から。