瀬音の森日記 183
奥秩父「野草・芽吹き図鑑」を作る
2001. 4. 28
4月28日(土)植樹した苗木がどうなったか心配で見に行くことにした。ゴールデ
ンウィークの初日ということもあり道路は混んでいたが、天気も良く気分の良いドラ
イブとなった。山々はすっかり新緑に覆われていて、名栗川沿いの景色も目に鮮やか
な緑を楽しませてくれた。
秩父市内を抜け、大滝村に近づくにつれて山の緑が薄くなってきた。滝沢ダム建設現
場付近からは緑がほとんど見えない状態になってしまった。この時期、標高によって
山はまったく違う顔を見せる。奥山の頂上付近にはまだ雪が残っているのだから。
出会いの丘に車を停めて身支度をする。深呼吸すると山の空気が気持ちよく体に染み
込んでいく。今日は先日植樹した苗木の様子を見ることの他に、野草と樹木の芽吹き
の写真を撮ることも目的になっていた。今が花盛りの小さい野草達と様々な表情を見
せる樹木の芽吹きを集めて、自分だけの「奥秩父野草・樹木図鑑」を作るのだ。
近くの山にぽつんと桜が咲いている。出会いの丘管理人のおじさんが「あれはエドヒ
ガンだ、今年はいつもより花が白い」と言っていた。エドヒガン、ミツバツツジ、モ
ミジイチゴの花を写真に撮る。豆焼き沢に降りる斜面でいろいろな樹木の芽吹き写真
を撮ることが出来た。望遠レンズが大活躍だ。
堰堤周辺ではタチツボスミレやエイザンスミレが群れて咲いていた。今度はマクロレ
ンズが大活躍だ。タラノメはまだ出ていなかった。川を渡って植樹場所に行く。苗木
は少しだけ葉を出して、それでも元気そうに立っていた。葉が茂るのはまだ1ヶ月早
い。全てが活着したかどうか分かるのは、まだだいぶ先のようだ。
植えた苗木を一本一本確認しながら時間を過ごし、周辺の樹木の芽吹きをカメラに収
め出会いの丘まで帰る。出会いの丘周辺でもオドリコソウやヤブレガサを見つけた。
今まで何気なく見ていた野草が、こうしてカメラを向けると別の存在になる。素晴ら
しい生命力と美しさを見せてくれるのだ。
車で移動する途中でもヤマブキ、キブシ、ウリハダカエデ、カツラなどを撮影する。
カツラは黄色い新芽が全体を覆っていて、じつに綺麗だった。この時期カツラの木の
周辺はかすかに甘い良い匂いが漂っている。車で向かったのは入川。釣りに行くわけ
ではないので、気持ちはゆったりしている。
キャンプ場の手前で車を停め、カメラを持って歩き出す。オドリコソウやヒトリシズ
カがカメラの被写体になる。マス釣り場の駐車場の近くでメグスリノキを見つけた。
毛の多い葉柄が逆光で輝いている。トチノキもブナもケヤキもまだ芽が出たばかりで
可愛らしい若葉を立ち上げている。
リンドウの花が咲いている。道端に咲いている花は片っ端からカメラに収める。名前
の分からないものは後で図鑑で調べれば良い。そう思うと次から次にカメラが向く。
そして、写真を撮りながら、今までずいぶん簡単に見てきた事を反省した。一つ一つ
の草花や木の芽がこんなにも表情豊かだったとは新鮮な驚きだった。
森林軌道に入る前にフィルムが終わってしまった。山菜も沢山採れた。量は少ないが
種類が多い。ニリンソウ、ウワバミソウ(ミズ)、モミジガサ(シドケ)、イタドリ
、リョウブ、イワガラミ、カタクリ・・・これを一つ一つお浸しにして食べよう。味
を確認するのも知識の引き出しの一つだ。
この写真をカラーコピーして、解説を書き込み製本する。これが私だけの「奥秩父野
草・芽吹き図鑑」になる。今まで10冊ほどの図鑑をこうして作っている。小菅の樹
木や紅葉図鑑もある。近所の植物園の葉っぱ図鑑もある。いろいろ作っていくうちに
身に付くことがあればいいなあと思う。
野草図鑑が出来上がるのが楽しみ・・・あとはまた明日から。