瀬音の森日記 184


保存会イワナ飼育調査



2001. 4. 29


4月29日(日)保存会の第5週の集まりがあった。ゴールデンウィーク中という事
もあり大勢の参加で池の整備やイワナの個体調査が行われた。天気が良いこともあっ
て、守屋さんの庭は武甲山に登る人が大集合して大にぎわいだった。ここは登山口に
もっとも近い人家という事もあり、駅からタクシーで乗り付けてくる人も多い。  

守屋さんに言わせると、大勢の中にはマナーを心得ない困った人も多いそうだ。当然
のようにトイレを借りに来る人、下に公衆トイレがあるにもかかわらず。門前の立ち
小便や、果ては駐車場でキャンプする人とかバーベキューをする人達。ここが人家で
あり、住んでいる人がいるにもかかわらず挨拶一つなく庭先を通り抜ける人々。この
日も大勢の人達が庭に整列して入山の準備をしていた。守屋さん夫妻は上の畑から困
ったようにそれを見下ろしていた。                      

飼育池のヤマメと岩魚は元気だ。水槽で飼っているヤマメの稚魚は人影に反応して活
発に動き回るが、岩魚の稚魚は比較的おとなしい。大きさもヤマメの稚魚に比べると
小さいようだ。それでもエサを食べ始めたのだから良しとしなければならない。岩魚
はエサを食べられるかどうかが勝負で、口を使えない稚魚はそのまま死ぬしかない。

10時にはほとんどの会員が勢揃いして作業が始まった。イワナ池のヘドロ除去が最
初の作業だ。ヒューム管を使ってヘドロを吸い出すように掃除する。私はヒューム管
の最後の場所で詰まらないように見張る係り。途中で詰まったりしたら管を揺すって
詰まりを直すのが仕事だ。                          

池の底をきれいにした後は、秩父岩魚のアブラビレの採取だ。これはkazuyaさんが
行っているDNA鑑定の試料にするための作業で、3年魚の秩父岩魚の体長を測定し、
アブラビレ30個体を採取してバイヤル瓶に保存するもの。簡単に言うが、3年魚の
秩父岩魚は45センチから50センチもあり、これを一尾一尾測定してアブラビレを
採取するのは本当に大変だった。JICKYさんと安谷さんが大活躍だった。     

ビタンビタン動き回り、重いし、強いし、滑るし・・・かろうじてタオルで押さえつ
けて体長を計り、ハサミでアブラビレを切り取る。バイヤル瓶に入れて体長を記入し
たシールを貼る。その繰り返しで大騒ぎだった。飼育した秩父岩魚だが、水産試験場
熊谷支場のお墨付きの秩父岩魚である。DNA鑑定でどんな結果が出るか興味深い。入
川や滝川の岩魚とどう違うのか、それとも同じ結果が出るのか。         

作業終了後、池の周辺で野草の写真を撮っていた。ワラビやコゴミやフキは守屋さん
が植えたもの。クサノオウやミヤマオダマキ、オドリコソウ、ミツバウツギなど沢山
の写真が撮れた。入り口の角にあるニリンソウの群生が見事だった。       

安谷さんが取材を受けて掲載された朝日新聞の「秩父イワナ脅かすよそ者」の新聞を
横手さんが持ってきた。秩父郡版では写真がモノクロだったのだそうだ。モノクロで
はその違いが分からず、皆がっかりしていたそうだが、横手さんが持ってきた新聞は
カラーで、秩父イワナとよそ者イワナの違いが鮮明に出ていた。朝日新聞になぜモノ
クロだったのか聞いたところ、単なる印刷設備上の問題だったとのこと。秩父郡版を
印刷している工場にカラー印刷できる設備が無かったからのようだ。       

今度の会報にこの記事のコピーを載せ、会員各位に通達したいとのこと。広報担当と
してまったく異論はない。こういった動きがどんどん表に出てきて、やっと秩父イワ
ナを認識してもらうことが出来るのだし、保護の活動も認知されるのだと思う。  

秩父イワナ保護の道はまだ遠い・・・あとはまた明日から。