瀬音の森日記 205


ログハウスの土台作り



2001. 9. 2


9月8日(土)朝9時、水の館駐車場で友人の山口さんと待ち合わせた。来週に迫っ
たログハウス基礎作りの前にやっておかなければならない事があり、声をかけたら快
く協力してくれるということになったのだ。来週には何とか床を張るところまでやり
たいので、その前に大引き・土台の加工をしておきたいのだ。作業台作りや丸太の選
木、平面カットなど、一人ではちょっと荷が重かったので助かった。       

時間通りに待ち合わせて、舩木山荘へ向かう。ちょうど舩木さんが山荘で片づけをし
ていたので、しばらく話し込んだ。猪が山から降りてきてワサビ田が荒らされたとの
こと。今日はその様子を見に行くのだと言う。秋になると猪との攻防が本格化する。
瀬音の森の秋蕎麦も猪の害に遭わなければ良いのだが。             

荷物と道具を担いで山を登る。蒸し暑いのですぐに汗が噴き出してくる。初めて登る
山口さんはかなりキツそうだ。登る道脇に先週と同じ場所でタマゴタケを発見。大喜
びで林の中に駆け込んで、両手いっぱいにタマゴタケを採る。狙い通りの収穫に大満
足。これで昼にはタマゴタケラーメンが食べられる。              

ログサイトで荷物を置き、すぐに作業台作りに入る。山から手頃な丸太を引きずり下
ろし、4本の杭を作る。カケヤで一本ずつ打ち込む。石が多いのか、なかなか入らな
いが、根気よく打ち込むとがっちりと食い込んでくれた。2本の杭を並べて打ち込み
、2メートル離れてもう2本の杭を打ち込む。チェーンソーで高さを揃えて水平に切
り、その上に丸太を組み、作業台を作った。なかなか具合が良さそうだ。     

次は土台と大引きになる丸太の選木。山には切り倒した太い丸太もあるのだが、乾燥
具合を考えると、積んである丸太の中から選木するしかない。選木のポイントは太い
ことと真っ直ぐなこと。二人で一本一本吟味しながら6本を選び、ログサイトに運ぶ
。この選木にかなり時間がかかった。真っ直ぐな丸太が少ないのだ。       

次の作業はこの6本の丸太を寸法通りの長さに切り落とすこと。仕上がり具合を考え
てチェーンソーではなく手引き鋸で切る。ポイントは正確に直角を出すこと。曲尺を
使って墨付けをして慎重に切る。私がやると水平レベルでの直角は出るのだが、垂直
レベルの直角を出すのが難しい。山口さんの方が上手い。ちょっと悔しい。    

さて、必要な丸太の長さが揃った。次は、この丸太一本一本の加工だ。いよいよチェ
ーンソーを使った水平切りの作業である。いきなり本番は無謀なので練習することに
した。丸太に墨付けをしようとして墨壺を出したが、何と墨が乾いてしまっていて使
い物にならない。これには困った。墨付けが出来なくては製材が出来ない。相談した
結果、山口さんに墨汁を買いに行ってもらうことにして、その間水平切りの練習をす
ることにした。                               

作業台に2メートルほどの丸太をセットし、曲尺を使って線を引き、その線に沿って
チェーンソーで水平に切る。実際にやってみると、なかなか思うように出来ない。つ
いつい刃が下の方へ曲がってしまう。深く切り込んでしまうのだ。これでは水平にな
らない。少しずつチェーンソーの持ち方を工夫したり、刃の動かし方を変えたりして
苦労して線の通りに切る。                          

切り終えた面は案の定でこぼこで、これを直すためにブラッシングする。チェーンソ
ーの刃を面と直角に固定し、フルパワーで扇形に払うのだ。ところが、このブラッシ
ングがまた難しい。ちょっとためらうとでこぼこが余計ひどくなってしまうのだ。平
らにはほど遠いでこぼこ面を見ながら、やや絶望的な気分になってしまった。   

しばらく考えているうちに、カンナがあったことを思いだした。すぐに工具箱から取
り出して、このでこぼこ面にカンナをかけてみた。これが大ヒット。見る見るでこぼ
こ面が平らになっていく。5mmくらいのでこぼこはあっという間に平らになってし
まう。ログハウス本にあるような太い丸太を使った製材方法と、間伐材のような細い
丸太の製材方法はまったく違うのだという事を発見した。            

山口さんが墨汁を買って戻ってきた。これで墨付けが出来る。土台の短い方の丸太2
本を引き出して墨付けをする。作業台にセットした丸太にレベルを使って水平線と垂
直線を中央に引く。末口、元口に天面となる同じ高さに水平線を引き、丸太を90度
回転させ、墨壺の糸を張り、糸を上につまんで放すと「ピン!」と音がしてカットラ
インの墨が入る。一連の動作は、何だか大工さんになったような気分で気持ちいい。

カット面を上にして丸太を作業台にカスガイで固定する。そのカットラインに沿って
チェーンソーを腰部分に水平に固定して少しずつ切り込む。目はカットラインを追い
、絶対に下に切り込まないように刃を進める。緊張の時間が続く。エンジンが回りっ
ぱなしでチェーンソーが熱い。木屑、おが屑で体は真っ白、顔にもピシピシ木屑が飛
んでくる。メガネで木屑を防げたが、ゴーグルがあった方が安全だ。       

無事に切り終えて、すぐにカンナかけに入る。足下がカンナ屑でいっぱいになる。山
口さんと交代しながらカンナをかけ、20分くらいで1本をかけ終わる。もう一本の
丸太も同じ要領で加工して終わったのが午後3時。空模様が悪くなってきたので、こ
こで今日の作業は終了とした。荷物を片づけて、丸太を養生し、リュックを担いだら
雨が降ってきた。じつに良いタイミングで切り上げる事が出来た。        

台風前の雨は一晩降り続き、翌日の作業は中止とした。             

作業のめどは立った・・・あとはまた明日から。