瀬音の森日記 243


南会津、新緑のブナ林を楽しむ



2002. 4. 28


4月28日、不覚にも目が覚めた時周りに誰もいなかった。外がやけににぎやかだと
思ったら、もうみんな朝ご飯を食べている。骨酒に犯されて頭痛の残る頭をかかえて
外に出た。いやはや恥ずかしいことだ。朝食は渡辺さんが作ってくれたフレンチトー
ストとおにぎり、蕗味噌の味噌汁と豪華版。雑談をしながらまったりと時間を過ごし
ていた。しゃあさんのバイクを借りてスキー場までツーリングした。バイクに乗るの
は何年ぶりだろうか。朝の風が冷たくて気持ちいい。              

今日見に行くブナ林が決まり、御池に行く秋山さん一行と記念写真を撮って別れた。
車を連ねて向かうのは只見町の「めぐみの森」。春霞のような新緑を楽しみながらし
ばしのドライブ。途中のスーパーで昼食を仕入れ、一行はひたすら「めぐみの森」を
目指す。ところが、何をどう間違ったのか雪で行き止まりの林道に迷い込み、Uター
ンして戻ろうとしたらハミングウェイさんの車が尖った石をタイヤに刺してパンクし
てしまった。私の車のジャッキを出してタイヤ交換をしようとしたのだが上手くいか
ない。わたるさんが戻ってきてくれてしゃあさんと一緒に手伝ってくれた。    

タイヤをスペアに変えて更に上流を目指す。行き止まりにあったのは休耕田。どうも
「めぐみの森」では無さそうだが立派なブナ林があるのでまあいいかという事になり
ここで車を止めた。乾いた田んぼで輪になって昼食を摂った。暖かい日射し、抜ける
ような青空と鮮やかな新緑。田んぼにはつくしがいっぱい生えていた。まるでピクニ
ックのような気分になり、スーパーで買ってきた思い思いの昼食が開かれた。りんご
、手作り豆腐、ドーナツ、薩摩揚げ、スナック菓子、チーズ、ビール、ワイン・・・

昼食後ブナ林を散策する。コブシやムシカリの白い花やチョウジザクラのピンクの花
が出迎えてくれた。何百年もそこに立っている堂々としたブナに抱きつく。ミズナラ
のゴツゴツした木肌をポンポンとたたく。新緑のブナ林は本当に伸びやかで美しい。
長南さんがスルスルと木に登ってコシアブラの芽を摘んでいる。私も吉川さんも挑戦
する。コシアブラは天ぷらにするのが旨いが汁の実やピカタもいける。      

太い藤にからまれて息絶え絶えのブナがあった。幹はねじりんぼうのように醜くねじ
り曲がり、藤が深く木肌に食い込んでいる。藤を切ってしまおうかとみんなと相談し
たのだが、ここは人工林ではなく自然林なので切るのはやめた。藤も懸命に生きてい
る訳で、これは自然の中で展開されている戦いなのだ。人間の力の及ぶ範囲を超えた
戦いのまっただ中に居合わせただけなのだ。至る所でこのような戦いが繰り広げられ
、その結果としてこの森が出来上がっているのだ。それが生態系の多様性ということ
なのだ。人間の感情や思い入れで手を入れることは厳に慎まなければならない。  

子供たちは落ち葉の中をころげまわったり、大きな木のウロに驚いたりと大忙し。山
の中を走り回って大きな自然を満喫していた。尾根から谷に回り、一周して森から降
りてきた。猫ミュウさんが田んぼでアカハライモリを見つけみんなに見せる。子供た
ちは興味津々でアカハライモリを観察していた。                

私はここでみんなと別れて帰路につくことになっていた。もう一日一緒にいられれば
もっともっと色々楽しめるのだとは思うがそうもいかない。後ろ髪を引かれる思いで
山を下った。帰り道は田子倉ダムを見ながら小出に抜け関越道で帰ってきた。東北道
を使うよりも早く帰れるはずだったのだが、花園での事故渋滞が25キロもあり、か
えって遅くなってしまった。なかなか思い通りにはいかないものだ。       

さあ、気持ちを切り替えて・・・あとはまた明日から。