瀬音の森日記 260
第4回 東大演習林勉強会
2002. 10. 19
10月19日(土)20日(日)の二日間、秩父の東大演習林で森林勉強会が開かれ
た。参加者はNAKANOさん、鵜住居さん、藪の高橋さん、ハミングウェイさん、琥珀
さん、岡田さん、佐藤さん、安谷 修さん、平山さん、kuroo、JICKYさん、ユーリ
さん、加藤さん、猫ミュウさん、稲垣さん、渡部さん、フクロウさん、ニャンコさん
、kazuyaさん、染谷さん、遠藤さん、吉川さん、岸良さん、長南さん、渡邊さんの
25人と荒川水系渓流保存会の須崎会長と近藤さん、そして関根さんと二人のお子さ
んの合計30人だった。
集合は東大演習林学生宿舎の駐車場。予定時間の9時半には大多数の参加者が集合し
ていた。さっそく勉強会のレジメと名札を配り、ヘルメットを配った。演習林内での
活動は安全のためヘルメットの着用が義務づけられている。大幅に遅れる人もなく、
初参加の人も集まったので挨拶と注意事項の伝達を行い、予定通り入川の森林軌道ま
で車に乗り合わせて向かった。
森林軌道跡をずんずんと歩き、赤沢出合いを目指す。昨年は雨で途中撤退になってし
まったのだが、今年は雨の心配は無さそうなので楽な気分で歩いていた。途中、入川
の渓流に足を止めたり、キノコの発見で寄り道したり、紅葉をカメラに納めたりしな
がら歩いてゆく。森林軌道が奥まるにつれシオジやカツラの巨木が顔を見せ、その立
派さに参加者からもため息が漏れる。「豆焼沢に植えたシオジはここから採ったんで
すよ」というkazuyaさんの説明にみんなの顔が輝く。豆焼沢も100年後にはこんな
渓畔林になってくれるはずだ。
赤沢出合いで小休憩。ここから胸突き八丁の急な登りとなる。休憩の最後にkazuya
さんが昔の入川での林業や集材の様子を話してくれた。この軌道をトロッコが走り、
大勢の男達が丸太を相手に格闘していた時代は、すでに遙か昔の事になりつつある。
全員で赤沢尾根目指して登る。急なつづら折りの坂を登っていると額から汗が噴き出
してくる。立ち止まって休む目には赤沢対岸の紅葉が飛び込んでくる。これから色濃
くなる奥秩父の紅葉は赤、黄色、緑のコントラストが美しい。
急坂を登り、一端平らな森林軌道跡に出る。ここで道下の倒木にムキタケを発見。さ
っそく長南さん稲垣さんとともに採集にいく。すぐ横の斜面でクリタケも発見。平山
さんのキノコ目が鋭く、「ほら!そこにも」「あそこにも」とクリタケを見つけ出し
安谷さんも大忙しだった。kazuyaさんの解説は斜面のイヌブナ、スズタケ群落に移っ
ていた。ここから再度急斜面を登ると安谷さん命名の「信玄ブナ」に会えるのだ。
200年生のメグスリノキを経由してイヌブナ林に分け入る。コシアブラの白い葉が
重なり合って落ちている。背丈以上もあるスズタケの中に「信玄ブナ」は立っていた
。幹回りは何メートルあるだろうか。安谷さん曰く「秩父で一番太いブナです」との
こと。太い枝が枯れ、キノコがびっしりと生えている。このまま枯れるとは思えない
が、寂しい光景だ。このスズタケの中でブナが更新することは難しい。
斜面を登りきったところが目的地の赤沢尾根だった。広く平らな斜面は細かいツガの
葉が落ちて絨毯のようになっている。ここで大休止、全員で昼食を摂る。思い思いの
お弁当が開かれ、会話の花が咲く。ストーブで湯を沸かし、ラーメンを食べる人も多
い。この時期は暖かいものが美味しいが、火の取り扱いは充分気を付けなければいけ
ない。河原と違って燃える物に事欠かないし、万が一でも山火事は出してはいけない
という事を考えると、ストーブの使用は考える必要があるかもしれない。
昼食後ゆっくりと散策しながら気持ちよい斜面を下る。登る時には目に入らなかった
紅葉や木の枝ぶりなどを楽しみながら歩いた。急斜面を注意して下り、森林軌道は周
りを見ながら歩いた。カヤの実を拾ったり(後で煎って食べた)キノコを採ったり、
イワナウオッチングをしたりしながら車に戻った。途中稲垣さんが自転車でこけると
いうアクシデントがあった。軌道にタイヤを取られて転倒してしまったのだ。軌道跡
を自転車で走るのは注意が必要だ。
学生宿舎に帰り、全員で食事の手伝いや布団敷きをする。もろもろの準備が終わり、
夜学になった。今回の夜学は2本立て。ひとつは私が講師で森林作業の安全について
のレクチャー。もうひとつは安谷さんが出演した秩父ケーブルテレビ製作の「秩父イ
ワナビデオ」の鑑賞と解説だった。真剣に、そして笑いも交えて夜学が終わり、待ち
かねた夕食となった。今回はJICKYさん、ユーリさん、鵜住居さんが食事当番で、メ
ニューは牛丼、キノコ汁、春菊サラダ、おつまみ多数。そして関根さんが取ったハイ
イロシメジの煮物が並んだ。ビールで乾杯して宴会が始まった。
いつ果てるとも知らない宴が続く・・・あとはまた明日から。