瀬音の森日記 261
東大演習林勉強会 2日目
2002. 10. 20
10月20日(日)演習林勉強会の2日目は朝の食事から始まった。昨夜の牛丼とき
のこ汁で作ったウドンを食べ、満腹になったところで宿舎の掃除をした。布団を片付
け、シーツを畳み、ゴミを片付け、食器を洗う。皆、手慣れたもので、さくさくと作
業が進む。一通り作業が終わったところで身支度をして、今日の目的地である出会い
の丘に向かった。豆焼沢の河原で今年の春に植樹した苗の生長具合を調べて記録する
ためだ。もちろん、各種の鹿の食害対策がどう成長に影響しているかを確認する意味
合いもある。
出会いの丘駐車場でkazuyaさんが周辺の解説をする。細かい霧雨が降っている、と
言うよりも標高が高いため雲の中に入っているような状態で、全員が合羽を着込んで
いた。解説を聞いてからそのまま全員で河原に下り植樹地に向かう。急斜面はぬかる
んでいて滑り歩きにくかったが、梯子も橋もしっかり残っていて安全に植樹地まで行
くことが出来た。
河原に集まって、再度kazuyaさんの説明を受ける。鹿の食害の現状を見て参加者も
唖然としている。背丈くらいのところでポッキリ折られたカツラの大苗が痛々しい。
こんな高い部分をどうやって折るのか??かと思うとガードもしていないカツラがま
ったく無傷だったりして、どうも鹿のやることは良く分からない。
総じてツリーシェルターに保護された個体は順調で、樹皮ガードを施したものはガー
ドから出た部分を喰われている。意外だったのはネットで保護した苗だった。予想以
上に生育が良く順調に育っている。ネットをかける作業をしていたときは、こんなフ
ワフワしたネットで大丈夫なんだろうかと風に揺れるネットを見ながら思っていたの
だが、こうして見ると最も順調に苗を成長させているように見える。最初の印象とは
大違いだ。
大岩につぶされたシオジは根ぎわからシュートが出ていたのでひと安心だ。挿し木の
バッコヤナギも順調に育っている。保護してない場所ではすっかり喰われてしまって
いるのは仕方ない。フサザクラもフジウツギも鹿に喰われながらも少しずつ育ってい
る。周辺に自生しているオオバアサガラは元気いっぱいで、これが渓畔林らしさを醸
し出している。
測定作業に入る。前回の数値と比べてさほど成長していない。まあ、植えたばかりだ
し、先に根を張る方にエネルギーを費やす訳だから仕方ない。来年の成長に期待した
いところだ。ツリーシェルターの中で窮屈そうなシオジも来年には頭を出せそうだ。
3班に分かれて作業したので小一時間で終わった。みんなそれぞれに河原を歩き回っ
て成長の具合を確認し、今後の事を話し合った。
紅葉の始まった奥秩父の景色を楽しんでから、上の出会いの丘駐車場を目指す。滑る
斜面を踏みしめながら登る。もう何度この斜面を歩いただろうか。そして、これから
何度この斜面を歩くのだろうか。演習林勉強会は無事に二日間の日程を終えた。解説
の労を取ってくれたkazuyaさん、食当を快く引き受けてくれたJICKYさん、ユーリさ
ん、鵜住居さん、参加された皆さんありがとうございました。
しっとりと紅葉を眺めるのもよいものだ・・・あとはまた明日から。