瀬音の森日記 291
里見林業スクールに参加した
2003. 5. 3.4
里ネットの大森先生が主催している里見林業スクールに参加した。参加者は17名、連
休の渋滞をかいくぐり、里見村の現地に着いたのは集合時間を30分遅れていた。参加
者はすでにめいめい作業に没頭していたので、挨拶もそこそこに身支度して作業に入っ
た。すぐに大森先生から声をかけてもらい、ここにはトイレが無いので、トイレを作っ
てもらえないかという事になり、作業を始めた。
物置から適当な角材を持ち出し、サイズを決めてカットし、柱を作る。伊藤さんが手伝
ってくれることになり作業は順調に進んだ。トイレの設計は何度かやっているので、材
料さえあれば何とかなる。壁にはコンパネを使い、屋根には波板を使えばいい。どれも
廃屋の廃材利用だ。途中から渡部さんも手伝ってくれた。
柱を立て、梁を作り、垂木の上に波板を張って屋根を作る。壁を止めれば立派なトイレ
になってきた。捨ててあった窓枠を持ってきて水で洗って壁に止めれば立派な窓が出来
上がった。ドアは、これまた捨ててあった窓枠に薄い板を打ち付けて蝶番代わりの革ベ
ルトで柱に取り付けた。床は垂木を並べてその上にコンパネを敷いた。床の中央は穴が
掘られており、コンポストとなるおが屑が箱に入れられて前に置かれている。完璧だ。
トイレは朝11時に作り出して、午後4時に完成した。
次の作業は敷地内にある大杉の伐採だった。3本の大杉が立っており、うち2本は地上
4メートル付近で3本ずつに枝分かれしている。いろいろ相談したのだが、結局枝分か
れしている部分で1本ずつ切って行くしかないという結論に達した。2本の杉の間に角
材を渡して足場を作り、その上で作業することにした。足場を確保し、安全帯で体を固
定し、杉の受け口をチェーンソーで切る。足場が中空なのでいつもの角度で作業出来ず
かなり無理な体勢での作業となり深い受け口となってしまった。追い口を切るために逆
側に回り、別の木に安全帯を付ける。追い口を切り始めたらすぐに杉が倒れ始めたので
ぶつからないように木の上で逃げた。杉は思った方向に倒れてくれたのでよかった。倒
した杉を整理して本日の作業は終了した。
夕食はカレーとみそ汁。吉田さん夫妻がいろいろな道具や食材をまとめて購入してくれ
たので助かった。疲れた体に冷えたビールがしみ込んでいく。お風呂に行く人と残る人
に分かれて食事を取った。私は囲炉裏の横で焚き火をしながらビールを飲んでいた。里
ネットの参加者は瀬音の森ほど飲む人がいない。飲まない人の方が多いくらいなので、
どうも食事時の感じが違って困る。いつものようににぎやかに飲んでいると、さりげな
く注意されたりする。まあ、普通はそんなもんなんだろうなと思う。おいしい日本酒を
たくさん飲んで9時前には寝てしまった。
翌日は朝早くから起きた人が多く、5時頃から動き出す人がいた。わたしはしっかり7
時まで寝ていたのだが、一番遅いメンバーになってしまった。顔を洗い、挨拶をして、
作業の手伝いをしているうちに目が覚めてきた。朝食までの小一時間、道作りに精を出
した。朝食は卵焼きやお漬け物、焼きウインナー、カレー、ご飯、きのこうどんをバイ
キング方式で食べる。みんな美味しかった。特に卵焼きは絶品だった。
午前中の作業は、昨日に引き続き杉の大木を切り倒す作業をした。三つ又になった太い
幹の最後の1本を塚本さんがチェーンソーで切る。参加者はロープで引いて倒す方向を
コントロールする。私は昨日伐採をしたので今日はロープ引きを担当した。強い夏のよ
うな日差しの下でヘルメットを被っていると汗が流れ落ちる。昨夜のアルコールのせい
もあるのか無性にのどが渇き、水筒の水をがぶがぶと飲む。10時には隣の家のお母さ
んがお茶とお漬け物を出して、作業をねぎらってくれた。
1本倒す毎に玉切りと枝処理をした。太い幹を玉切りするのがいかに大変な作業か思い
知るような状況に何度も立たされた。とにかくどうやっても重くて動かないのだ。切っ
いるうちにチェーンソーの刃が噛んでしまい動きが取れなくなる事もしばしばだった。
枝も太く大量で、これを片付けるのも一苦労だった。それでも全員で頑張って午前中に
1本の杉を処理し終わった。
昼食はスパゲティと差し入れのおこわを食べた。何より喉がカラカラで、生オレンジが
最高のごちそうだった。昼食後も杉の大木を伐採する作業をした。こちらはやや細いの
だが、やはり難しさは変わりない。午後の作業は3時から講師をお願いしている里美村
前村長の荷見さんと前全国森林インストラクター会会長の堀内さんの二人が見守る中で
の作業となった。普段通りの作業が出来れば、安全でスムーズな処理が出来るのだから
、特に気負う事もない。作業は無事に終わり、太い杉を玉切りした椅子が拠点の庭に並
べられた。
3時から講義が始まった。荷見さんからは茨城県環境フェアー出展の資料を基にいろい
ろ興味深い講義が行われた。クイズなどもあって飽きさせない趣向はさすがだと思った
。堀内先生からはこの里美村がいかに植物や動物や鉱物の宝庫であるかを具体的な例を
上げて話していただいた。興味深いものが多く、今後も里美村での活動を続ける大きな
原動力となるものだった。その後、参加者全員で山に登り、植物観察をした。主に堀内
先生の解説によるものだったが、たくさんの未知の植物と巡り会えた。
暗くなってから拠点に戻り体操をして夕食の準備に入った。私は着替えて、水場で体を
洗い、ビールの誘惑を振り切って、そのまま帰らせていただいた。夕食の山菜天ぷらは
じつに美味しそうだった。これを食べたらビールを飲まずにいられなくなる・・・断腸
の思いで夕食の誘いを断ったのだが、今ではちょっと後悔している。
今年も充実の二日間でした・・・あとはまた明日から。