瀬音の森日記 299
丹沢笹子沢ヒノキ林除伐をした
2003. 6. 28
6月28日(土)丹沢笹子沢上流のヒノキ林の除伐をした。このヒノキ林の下刈りは今
年で4年目になる。昨年は暑くて大変な作業だったが、今年は小雨模様で暑いよりはず
っとましという作業日和だった。朝5時集合で神奈川県の宿泊施設、ヴィラハイツ中川
の駐車場に参加者が集まった。今回の参加者は藪の高橋さん、坂本ヒラメさん、ハミン
グウェイさん、あきおさん、佐々木さん、kurooの瀬音の森会員と蜻蛉の会から5名の
参加者があり、合計11名での作業となった。
工事中の林道を登り、堰堤から川沿いの道を黙々と歩く。足の速い若者について行けず
、私やハミングウェイさんはゆっくり登った。ここで体力を使いきると肝心の山の作業
が出来なくなる。造林地は鹿の食害予防にバラ線の柵で囲ってある。脚立を登ってその
柵を越え、笹藪のトンネルに入る。小雨模様の天気に笹はずっしりと垂れ下がり、その
下を歩くと大粒のしずくがバラバラと降り注ぎ、藪を抜けるころにはびしょ濡れになっ
てしまった。さらに登って造林地に入り、我々が担当する地域にたどり着くころには全
身ずぶ濡れになっていた。
最上部の尾根まで登り、作業前に集合写真を撮った。まだみんな元気だ。ところが斜面
を見て唖然とした。草も木も無い。昨年あれほど茂っていたクサギが細々と残っている
だけだった。全部鹿が食べているようで、縦横に鹿の道が出来上がっている。下刈りは
手間が省けるが、それ以前に鹿の食害がひどい状態だ。上部の苗はほとんど下刈りの必
要はなく、笹の茂る斜面が作業の中心となる。鹿の被害もすごいが、ここの笹もすごい
。苗はすっかり埋もれてしまい、成長の跡が見えない。これだけ笹に覆われてしまうと
日光が射さず葉も成長出来ないのだろう。葉が広がらなければ幹が伸びるはずもなく、
ここでもまた苗の受難が続いていた。
笹の中で鉈を振り回していると水しぶきで全身がグショグショになってしまった。雨の
日は革手袋ではなくて滑り止めの付いた軍手がいい。その軍手やタオルを時々絞りなが
ら作業を進める。汗も雨ももう同じだ。メガネが曇るのでメガネを外して作業をする。
何度か急斜面を滑り落ちた。もうパンツも何もかもグショグショ(笑)こんな状態では
女性は大変だろうと思うのだが、佐々木さんは本当に良く頑張っていた。たぶん、最後
まで笹と格闘していたのではないだろうか。
斜面を下りながら植えたヒノキの前面に覆い被さる草木を除伐して行く。例年ほどの草
木が無く、作業は順調に進んだ。これが果たして良いことなのかどうか分からないが、
2時間ほどで作業は終了した。鹿の食害を実感した2時間だった。神奈川森づくり公社
の担当者の話では、この柵の何カ所もに穴を空けて内側に鹿を入れるのはハンターなの
だそうだ。冬の猟期に柵の中に犬を放つと、柵の中でしか動けなくなった鹿を容易にハ
ンティング出来るのだそうで、ずいぶんひどい話だ。
鹿に喰われたヒノキ林を補植する人間、植えたヒノキを喰う鹿、その鹿を追い込むため
に柵に穴を空ける人間・・・いたちごっこの結果、元の木阿弥にならなければ良いのだ
が・・・。
作業後に軽いむなしさが・・・あとはまた明日から。