瀬音の森日記 308


東大演習林きのこ勉強会



2003. 10. 11/12


10月11日(土)12日(日)の二日間、埼玉県大滝村の東京大学秩父演習林にてき
のこ勉強会を開催した。参加者は澤田さん、kazuyaさん、安谷 修さん、石川さん、
渡部さん、JICKYさん、ユーリさん、田辺さん、琥珀さん、関根さん、大ちゃん、原田
さん、平山さん、岡田さん、加藤さん、稲垣さん、ハミングウェイさん、しゃあさん、
すみ方さいとうさん、カワニシさん、りくちゃん、みくちゃん、kurooの23名だった

集合は東大演習林川俣学生宿舎の駐車場だが、私は西武秩父駅で石川さんと澤田さんを
ピックアップしなければならない。通り道なので問題なく合流し、集合場所へと向かう
が、途中でいろいろな人から電話が入る。田辺さんは集合場所を通り過ぎて全然違うと
ころに向かっていた。ハミングウェイさんは遅れている。さいとうさん一行は中央道の
渋滞に巻き込まれだいぶ遅れそうだ。紅葉の始まる時期でもあり、秋の行楽シーズンと
いう事もあり、各地の渋滞が激しいようだ。事前に連絡しておいた通りになった。  

少し遅れたハミングウェイさん一行を待って出発した。さいとうさん一行は後から追っ
てくるとのことなので、行動場所を詳細に連絡しておいた。kazuyaさんの注意事項の後
目的地の樹木園駐車場に移動する。樹木園駐車場の横には朽ちたブナの木があり、前年
にはここでムキタケやナラタケが出ていたのだが、今年は何も出ていない。前途に不安
の出るスタートだった。参加者はヘルメットを被り(演習林の中は行動時ヘルメット着
用が義務づけられている)樹木園の歩道を歩く。安谷さんの説明がきのこを見つける毎
に行われるのだが、なかなか食べられるきのこが無い(笑)            

樹木園から滝川の河原におり、早めの昼食となった。目的のきのこが採れず、息上がら
ない一行だったが、思い思いにガスコンロを取り出して湯を沸かしながらにぎやかな会
話が始まった。河原で食べる温かいラーメンは格別だ。顔もゆるんで話が弾む。近くで
少しばかりのムキタケとタヌキノチャブクロを収穫した。そうこうしているうちに遅れ
ていたさいとうさん一行も到着し、いよいよ本格的な山歩きになった。       

道は尾根まで急登し、尾根から急な山腹をトラバースするようになる。アカモミタケも
出ていない。ナラタケもブナハリタケも出ていない。今年は本当に天候不順できのこは
ダメなのか・・・と思った時だった。先頭の方から奇声が上がった。「ナメコがあった
ー!!」続いて「何かあるぞ〜・・デカイぞ〜」「おおっマスタケだぁ〜!」叫び声が
シオジ林にこだました。土砂崩れして倒れた何本ものシオジにきのこが出ていたのだ。
急いで登る足元から落石が起こり「危ないぞ、ラク!ラァク!」の叫び声が出る。登る
人と逃げる人が交錯して少し危険な状態になった。                

みんなに声をかけて必要以外の人は登らないように指示し、下で待機するようにしても
らった。きのこを見つけると誰でもそうなるのだが、急いで登るためにどうしても足元
の確認がおろそかになってしまう。後に続く人に石を落としてしまうことが多くなるの
で、気を付けなければならない。上から巨大なマスタケを持って関根さんが下りてきた
ときは全員から歓声が沸き上がった。天然ナメコもカサが大きくて素晴らしいものだっ
た。ここでは他にも色々なきのこが見つかった。とても良い勉強になった。     

一旦滝川まで下り、急斜面を直登して国道に出る。国道をそのまま下って宿舎に帰り、
夕食の支度、夜学の準備、寝具の準備などを手分けして行った。食事当番は渡部さんが
申し出てくれ、稲垣さんや岡田さんの手伝いで順調に作業が進んだ。メニューはカレー
ときのこ汁の他に採ってきたマスタケを使った炒め物も準備しているようだ。誰が持っ
てきたのかたこ焼き器があり、大ちゃんが器用にたこ焼きを作って子供達や女性に大人
気だった。稲垣さんがいつものように、色々なつまみを作ってくれていた。     

夕食前の夜学は安谷さんが製作した「真の沢植生解説ビデオ」の上映と解説だった。8
月に源流部会のエコツアーとして企画されたもので私も参加した。千丈の滝上の森林植
生に奥秩父特有の素晴らしい風景が展開し、参加者からも溜息が漏れていた。安谷さん
が釣った尺イワナはまるで宝石のように輝いていた。ヒメコマツ、ツガ、ブナ、オノオ
レカンバ、天然カラマツ、天然ヒノキ、バラモミなどの巨木が紹介されたが、やはりビ
デオでは実際に見た感激は伝わらないものだなあ・・と感じた。          

夜学が終わり、待ちに待った夕食の時間。缶ビールが並べられ、マスタケの炒め物、漬
け物(先週西木村から持参したやまぶどう漬け)たこ焼き、焼き肉などがテーブルに配
られた。乾杯のかけ声で宴会が始まり、いつもの宴会風景になった。それぞれが思い思
いに会話を交わし、時間の過ぎるのも忘れて語り合った。毎年繰り返されている光景だ
が、何度経験してもこの時間は楽しい。釣った魚の自慢話、山の話、木の話、きのこの
話・・・いつ果てるとも知らず楽しい時間が続いていた。             

翌朝は小雨模様だった。おいしい朝食を食べて後かたづけをして、今日の作業地、豆焼
沢を目指す。山に雨上がりの雲がたなびいて荘厳な雰囲気を出している。おなじみにな
った出会いの丘駐車場で着替えて勢揃いして集合写真を撮る。これから沢に下って、渓
畔林植栽地に行って、植栽木の調査をする。ここでお別れとなるすみ方のさいとうさん
、カワニシさん、りくちゃん、みくちゃんと別れて一行は一列になって沢へ下っていっ
た。雨上がりの坂道は滑りやすく、慎重に下っていった。             

渓畔林は順調に成長してるとは言い難い状態だった。相変わらず鹿の食害が出ており、
kazuyaさんの説明に参加者の顔も真剣だ。4班に分かれて植栽木の成長記録の計測を
行った。バッコヤナギはものすごく成長している個体があったが、それ以外の木はさほ
ど成長していない。どうしてこんな位置を折られるのだろう??・・というような高い
場所で折られたカツラの木を見ていると鹿の食害の凄まじさが分かる。植樹という行為
が鹿にとって単なる餌が増えた事でしかないという現実。関東の山の鹿と戦う現実がこ
こにある。願わくばここに残った植栽木は順調に成長して渓畔林を形成して欲しい。 

計測を終え、泥団子の跡のフサザクラやフジウツギの成長を確認したりして雨上がりの
河原で過ごした。これから冬になり餌が少なくなった鹿達がどんな行動に出るか分から
ないが、この河原の木々が春に力強い芽吹きを見せてくれることを願っている。   

きのこは少なくても充実した勉強会・・・あとはまた明日から。