瀬音の森日記 326


2月秩父の間伐教室



2004. 2. 21.22


2月21日(土)は秩父市内の寺尾にある関根山林で、コナラ、スギ、アカマツの伐採
を行い、22日(日)は秩父郡横瀬町の正丸オートキャンプ場でスギの伐採を行った。
参加者初日はkazuyaさん、安谷さん、関根さん、長南さん、稲垣さん、kurooの6人で
二日目にはハミングウェイさん、JICKYさん、渡部さんが加わり、9人になった。  

初日はあまりの暑さに半袖になる会員も出たくらいだった。初日はまずコナラの伐採か
ら始まった。長南さんが初めての伐採をした。太いコナラが初めてとあっては少々荷が
重いかと案じたが、何の問題もなく切り倒したのはさすがだった。切り倒したコナラは
年輪が38本あり、直径は約30センチだった。広葉樹でも日当たりが良ければこうし
て太くなる。まあ、シイタケのホダ木にするにはちょっと太すぎるので20年くらいで
切って利用するのがベストなのだと思う。このように太いコナラは倒れるときに回転す
ることがあるので要注意の伐採なのだ。玉切りも順調に出来た。この玉切りしたコナラ
に来月キノコを植菌するのだ。                         

次に倒したのは大きなスギの木だった。一抱えもあるスギの木を枝の出ている方向では
なく、横に倒して欲しいという。これはさすがに慎重になった。倒れる方向のサクラの
枝を切り落とし、kazuyaさんが木に登ってロープを掛けて、倒す方向に引いた。私は
慎重に受け口の位置を決めてチェーンソーを動かす。木屑が飛び散り受け口が切り上が
った。太い木は一回で切れないので何度も刃を入れ直しながらの作業になるので慎重に
やらないと切り込みすぎてしまう。そうするとツルが効かず、狙った方向ではないとこ
ろに倒れることがあって危険なのだ。追い口も慎重に切る。チェーンソーが唸りを上げ
木屑が飛び散る。ここ、と思ったところで体を木から離し、梢を見上げると、ゆっくり
と木が動き出した。すぐに「行くぞ〜!」と叫び、後ろの木の陰に飛び去って逃げる。
巨大なスギはゆっくりと狙った方向に倒れてゆき、ズッシン〜〜ンという地響きと共に
大風と土埃を巻き上げた。ロープを引いていたみんなが土煙の中から顔を見せた時は本
当にほっとした。その時、自分の膝が少し震えているのが分かり、ちょっとうろたえた
。年輪は132本数えられ、私が倒したスギでは過去一番の大きさだった。     

次は尾根の境界線上にある枯れた赤松の巨木を倒すことになった。スギと違って登る手
がかりがない。ロープを掛けなければ境界線の反対側に、柵を壊して倒れてしまうのは
明白だった。kazuyaさんが車に積んであった「ぶり縄」を持ってきて、それを使って 
アカマツに登っていった。全員kazuyaさんのブリ縄捌きの見事さに見とれてしまった。
何も手がかりのない巨木に縄だけで登っていく技術は本当に見事だった。こうしてロー
プがかかったら後は私の仕事だ。慎重に受け口の位置を決めて、チェーンソーで切り取
る。先ほどのスギと同じくらいの太さだったので、感覚は同じだったが、足場が悪くて
困った。今回は追い口を切る前にロープを引っ張ってもらい、テンションをかけながら
追い口を切った。体重が反対側にかかっていたためで、そうしないとチェーンソーが噛
んでしまうおそれがあったのだ。アカマツもゆっくりとゆっくりと倒れた。枯れていた
のでスギほどの爆風をい巻き起こすことはなかった。               

太いアカマツを玉切りするのも大変だったが、みんなで作業すると速い速い。あっとい
う間に大量の丸太に早変わりしてしまった。枯れたアカマツだったが芯はしっかりして
いた。年輪は108本、明治の始めからここに育ってきたアカマツだったのだ。   

本日最後の大物は、これも境界線上のスギの大木だった。これも体重の掛かった下では
なく、横に倒さなければならない。今回は境界の柵があって、反対側に回れないのが大
変だった。太い木を片側からのみの作業で倒さなければならない。こういう時は基本に
忠実にならなければならない。特に、受け口を慎重に、丁寧に切らなければならない。
チェーンソーが唸りを上げてスギに食い込む。受け口は狙い通りに切ることが出来た。
追い口も片側からだけで何とか切ることが出来た。声をかけてロープを引いてもらう。
少しずつ梢が動き出し、狙った所にスギの大木が地響きを立てて倒れてくれた。枝の処
理をしながら先端の枝を持ってきて切り株の中心に差す。トブサ立てという山の神に感
謝する風習だ。枝処理を終えて1日目の作業が終了した。3本の大木を倒すという貴重
な体験をさせてもらった。                           

秩父市内のスーパーで食材の買い出しをして正丸オートキャンプ場に向かった。ハミン
グウェイさんが来ていて我々を迎えてくれた。聞けばオーナーの杉田さんのログハウス
造りのお手伝いをしていたとのこと。夕食は稲垣さんと長南さんがキムチ鍋を作ってく
れた。辛くて美味い鍋にお酒が進むこと進むこと。夜になって渡部さんも合流し、オー
ナーの杉田さんとも話が弾み、楽しい宴会となった。               

翌朝は渡部さんの焚き火の音で目覚めた。朝早くやってきたJICKYさんが焚き火の横で
渡部さんと話していた。寒い朝に焚き火があるのがじつに有り難い。恒例の朝プシュで
頭をスッキリさせ、薪割りで体を動かす。夕べの鍋の残りでウドンをハミングウェイさ
んが作ってくれた。それを食べながら、チェーンソーの比較をしたり、今日の作業につ
いて話し合う。                                

ひと休みして裏山に向かう。今日は管理棟に近い場所の間伐をする。斜面が急なので、
足場が悪い。伐採は渡部さんに担当してもらい、私は安全管理に集中する。ここのスギ
は背が高いので倒す方向に人がいる時は注意する必要がある。相当な距離をおいてロー
プを引かないと引いている人の上に倒れてくる可能性もあるからだ。今回のように誰か
が離れた場所で冷静に距離を測るのが良いと思う。滑車を使って方向を変えるのが最も
有効なので、来年からはその方法を取りたい。                  

間伐は順調に進み、管理棟上の斜面はすっかり明るくなった。こうして作業の結果が目
に見える形で進むのはじつに楽しい。間伐の醍醐味はそこにある。         

無事故の作業を終えて・・・あとはまた明日から。