瀬音の森日記 345


妙高高原きのこ勉強会



2004. 10. 16/17


10月16日(土)17日(日)の二日間、妙高高原でドイツトウヒ林の見学とキノコ
勉強会、カラマツの間伐などを行いました。参加者は長南さん、kazuyaさん、藪の高
橋さん、クロさん、安谷さん、うらべにさん、斉藤さん、みくちゃん、ハミングウェイ
さん、白瀧さんご一家、みきちゃん、関根さん、渡部さん、藪澤賢治さん、鵜住居さん
、kurooの19人だった。                           

途中の高速道路では雪が降っていたので、どうなるかと心配だったのだが、現地はカラ
リと晴れ渡っていて素晴らしい天気だった。「妙高山麓県民の森」笹ヶ峰グリーンハウ
ス前に集合時間の1時間も前に到着してしまった。ところが、すでに渡部さんや安谷さ
ん達が到着していて、時間までキノコ狩りをしようということになった。白樺の林の中
を散策していると目指すきのこがいっぱいあった。ナメコ、キシメジ、クリタケ、シモ
フリシメジなどが見つかり、さっそく持参した竹カゴに入れられた。        

集合時間になり、笹ヶ峰グリーンハウス前にぞくぞくと参加者が集まってきた。前夜泊
の参加者はまだお酒が残っているのか、少々眠そうだ。kazuyaさんの案内でドイツト
ウヒの森に向かう。国の政策で昭和7年から13年にかけて植林されたドイツトウヒの
森。その純林がナラタケ菌に冒されて立ち枯れする木が続出し、計画の根本的な見直し
が行われた。そのナラタケ菌被害の現場を散策する。林は平坦で歩きやすく、kazuya
さんの話を聞きながら、キノコを捜しながら歩き回った。ドイツトウヒだけでなく、ミ
ズナラも立ち枯れた巨木が多く、ナラタケ菌による被害は甚大なものだった。こういっ
た林業被害の現場を見るのは初めてだったので、よい勉強になった。この林でもナラタ
ケやスギヒラタケなどが収穫できた。                      

午前中いっぱい散策し、広い道路で昼食にした。ここでバイクでやってきた藪の高橋さ
んが合流した。広い道路は日当たりが良かったが、徐々に気温が下がってきて、温かい
ラーメンを作って食べる人が羨ましかった。やはりガスコンロとコッヘルは持参すべき
だった。コンビニのお握りを早々に食べ終わり、周辺の散策をしていたら、倒木の陰に
ナメコを発見!叫び声を上げてはじゃいていたら、みんな集まってきた。今夜の食材が
またにぎやかになった。寒かったこともあり、みんながゾロゾロと動き出した。   

午後は道路を使って笹ヶ峰グリーンハウスに戻り、しばし休憩。冠雪した焼山をバック
に記念写真を撮り、ここから川の反対側にある今夜の宿に向かって出発した。車を連ね
て雄大な妙高山を見ながらスキー場の横を下る。紅葉が美しく車窓に展開し、目を奪わ
れる。細く曲がりくねった道を走りながら対向車と紅葉に気を取られる運転はかなり危
険なものだった。                               

全員が山荘に到着するまでしばらく時間がかかった。途中、何人かが道を間違えてしま
い、行方不明になってしまったからだ。小一時間たってやっと登ってきた参加者は口々
に道が分かりにくいと言っていた。知っている人間が先に来てしまったのだから当たり
前なのだが、イベントをスムーズに進めるためには、車の順番とかも事前に決めておく
必要がありそうだ。最後尾に知っている人を配置しなかったからこうなった訳だから。

山荘ではさっそくキノコ採集班と間伐班と食事班に分かれて作業を開始した。私は間伐
班の班長なので、参加者に道具を配って、手順を相談した。kazuyaさんと相談して、ま
ずカラマツの伐倒木を決めた。倒す方向が難しいのでチルホールを設置する。この別荘
地は3方向に電線が張ってあり、それに当たらないように背の高いカラマツを倒さなけ
ればならないので神経を使う。ラダーに登って牽引用のワイヤーをかけ、チルホールに
セットする。チェーンソーで受け口を切り、ワイヤーを引っ張りながら追い口を切る。
倒す方向はチルホールで引っ張って決める。要はチルホールで引き倒すような形になる
。これが一番安全で確実な伐倒の方法なのだ。50年生のカラマツが風を巻いて倒れる
のはじつに迫力があって圧倒される。                      

倒したカラマツは40センチくらいに玉切りし、山荘の横に運ぶ。そこでは力自慢の参
加者が斧を振って薪割りをしていた。カラマツが太いので1本倒しただけで大量の薪が
出来ることになる。間伐班は続けてすぐ横のカラマツ伐倒に入った。空間が開いたこと
で倒す方向が明確になったので、次の作業は早かった。同じ手順で太いカラマツを倒し
玉切りして、今日の間伐班の作業は終わった。背の高い木を倒すのはひどく気を遣うの
で疲れる。その後は代わる代わる薪割りをして、割った薪を床下に積み上げた。渡部さ
んがいろいろな斧を持ってきていたので、代わる代わる試し割りをしてみた。    

夕食は買い出してきた材料を使って、渡部さんとうらべにさんが中心になって作ってく
れた。缶ビールで乾杯し、様々なつまみを食べて盛り上がる。私はみくちゃんに「なぞ
なぞ」で弄ばれて、やり込められていた。どうも「なぞなぞ」はいけないマジになる。
お酒が回って、みんなとの会話がヒートアップして、そのうち目がグルグル回って、早
々に車の中に作ったベッドにもぐり込んでしまった。目が覚めたら車の中にいて、なぜ
こんな所に寝ているのか・・・と、しばらく理解できなかった。          

小屋の外では焚き火が暖かく燃えていた。朝の挨拶をして四方山話をしていたら、うら
べにさん特製のシモフリシメジ雑炊が出来上がった。お酒を飲んだ翌朝は雑炊がいい。
温かくてお腹に優しいし、消化もいい。おまけにこれは味もいい。舌鼓を打ち、焚き火
周りで楽しい朝食だった。山荘横に停められたクロさんの車から何やら音がする。覗い
てみたらクロさんが刃物研ぎをやっていた。クロさんはプロの研ぎ師なのである。さっ
そく私もこのために持参した包丁2本とナイフ1本の研ぎをお願いした。すぐに研ぎ上
がった包丁とナイフは買ったとき以上にピカピカで、怖いくらいに切れる別物になって
いた。プロの技は本当に凄い。                         

午前中の作業は大仕事だった。山荘の屋根に覆い被さるように曲がって伸びている50
年生ヤマザクラの伐採がその作業だった。根元が大きく曲がっている広葉樹の伐採は林
業事故の多い作業だ。曲がった木に込められたパワーは非常に大きく、人間など軽くは
ね飛ばしてしまう力があり、その木に弾かれたりすると死ぬ事すら珍しくない。作業は
慎重に行われた。ワイヤーを掛けてチルホールで曲がった木を逆方向に引っ張る。そし
て、受け口を切り、追い口を切る。追い口を切るときは少しずつ切って、木に込められ
たパワーを放出させる。ちょっとでも切ると「パシッ!!」と音がして裂け目が入るの
で、それに弾かれないように慎重にチェーンソーの刃を進める。10センチくらい切っ
た時、大きく「バンッ!」と音がして裂けた。その瞬間、チェーンソーを持ったまま後
ろにぱっと飛んで逃げた。怖い怖い・・・                    

何とか倒したと思ったら、今度は奥の木に掛かり木になってしまった。ワイヤーをかけ
直したり、枝落としをしたりしながらやっと地上に横たわったヤマザクラはすごく立派
な木だった。ただ薪にするには忍びなく、このままにしておいて、来年の春これにナメ
コを植菌しようという事になった。木の乾燥具合が心配だが、大雪に覆われるこの場所
だったら春先でも大丈夫だろうという安谷さんの言葉に、このまま放置する事とした。
作業を終えて、後かたづけを終えて山荘の横で参加者全員の集合写真。みなさんお疲れ
さまでした。                                 

それにしてもカラマツは背が高い・・・あとはまた明日から。