瀬音の森日記 357


荒川水系渓流保存会 総会



2005. 2. 27


2月27日(日)秩父市内の婦人福祉会館にて荒川水系渓流保存会の総会が開催された
。保存会は荒川固有のイワナである秩父イワナの保護・増殖について実践している団体
で、瀬音の森のメンバーも多数参加している。私は広報担当で参加しているのだが、私
以外では、安谷さん、kazuyaさん、JICKYさん、関根さん、石川さん、洛紫亭さん、
こねこさん、などがメンバーとして登録されている。また、瀬音の森がお世話になって
いる正丸オートキャンプ場の杉田さんを紹介してくれたのが保存会の須崎会長だという
縁もある。志向する方向が似ているので、お互いの活動が重なる部分が多く、良い協力
関係にあると思っている。                           

総会は定刻に少し遅れて始まった。今日はイワナについての多くの著作がある白石さん
もオブザーバーとして参加している。須崎会長の議事進行がスムースで、議案は順調に
審議されていった。事業報告は事業部長の関口さんから。会計報告は会計の阿部さんか
ら。そして監査は吉瀬さんから。役員はほぼ留任で承認され、事業計画が再び関口さん
から行われた。事業計画の発表に合わせて、会長から今年度の活動計画が読み上げられ
た。この中にあった「滝川水系の他県産イワナの捕獲・絶滅について」という項目につ
いて会員から異議が出て、最終的に会の方針としてはそこまでやらないという事で落ち
着いた。釣りという行為を通して個人が個人の判断で行うことがベストだ。     

放流活動に関して、会員から「魚の生息しない渓流への放流」について提案があった。
これも会の方針として今後検討していくことになった。基本的には放流する魚が増殖さ
せた魚である場合は釣りの対象として、漁協が放流する範囲で放流することとしている
ので、枝沢放流はその川で釣った魚を持ち上げるレベルにしたいというのが全体の意見
だった。この見解は現時点で最善の判断だと思う。ただ、ケースによって今後検討する
べきである事は間違いない。漁協との連動が出来れば一番実効性があるのだが、秩父漁
協が今のていたらくでは有効な協力活動は出来ようはずがない。我々だけで方法論を検
討しても、保護・増殖の柱である漁協の動き如何で無に帰することになるのが悔しい。

こうして一つ一つの事例に対して全体として意見をまとめることは重要なことだ。例え
ば、秩父イワナと他県産イワナの境目はどう判断するのかというデリケートな部分は、
多くの写真を大勢で見ながら一人一人が意見を言い合うことでグレーゾーンの幅を狭く
する努力をしなければならない。自分の考えとみんなの考えがどう違うのかを知ってい
ないと現場で判断する際に間違いを犯すことにつながる。会として秩父イワナの保護を
訴える時に、その「秩父イワナ」の姿が会員によってまちまちでは困るのだ。かといっ
て明らかな正解でない部分もある。その差を小さくする努力が大切だ。       

荒川水系渓流保存会では「秩父イワナ:在来種を守るために」というA5判カラー印刷
約60ページの書籍を発行することになった。吉瀬さんを中心に会長やkazuyaさん、
石川さんという専門家が執筆したもので、秩父イワナについて現時点では最高に詳しい
書籍が発行されることとなった。私は表紙のデザインと内部のイラストカットを担当さ
せてもらった。秩父在来イワナについての啓蒙が目的で、1000部印刷して、秩父郡
内各公共機関に寄贈する予定になっている。一人でも多くの人に在来イワナについて知
って欲しいのと、保存会の地道な努力がこういう形で報われることが嬉しい。    

充実した総会は4時過ぎまで続けられた・・・あとはまた明日から。