瀬音の森日記 444




西木森林作業体験交流会



2007. 9. 22


田沢湖を望む森で秋の森林作業体験交流会が開催された。             

9月22日(土)秋田県仙北市、田沢湖を望む森で秋の森林作業体験交流会が開催され
た。瀬音の森からの参加者はハミングウェイさん、渓酔さん、原渓さん、ぬま子さん、
old-beanさん、Jizouさん、布川さん、ひらり〜さん、PONTAさん、渡部さん、琥珀
さん、加藤さん、イナさん、岡田さん、佐藤さん、西園さん、kurooの17名だった。

朝8時、集合場所の西木町クリオンの駐車場に続々と参加者が集まってきた。ところが
、集合時間に合わせたように大粒の雨が降ってきて、あわてて道具を片付けたり、合羽
を着たりと大わらわになってしまった。参加者が揃ったので車で会場に移動した。会場
は田沢湖畔の「潟」地区で、クリオンからは車で20分ほどかかる。        

会場近くの駐車場にはすでに大勢の参加者が集まって、首都圏からのバスを待っていた
。幸いなことに雨も上がり、瀬音の森の参加者は身支度に余念がない。雨上がり直後な
ので足ごしらえは入念に点検する。ノコギリや鉈を腰につけ、ヘルメットをかぶり、名
札を胸に付ければ準備完了だ。仙北市長、野中部長、推進協議会副会長が首都圏からの
バスを出迎える。バスの人も窓から手を振って応えている。バスが到着したことで、参
加者が全員揃ったようだ。いよいよ総勢80余名の森林作業体験交流会が始まる。  

作業会場は駐車場から歩いて10分ほどの山の中。田沢湖を背に畑の中の道を歩く。秋
の野花が咲き乱れる中を歩くのはとても気持ちよいものだった。役場の人、村の人が待
つ開会式の会場に到着し、すぐに開会式を行った。班毎に整列し、石黒市長の挨拶を聞
き、注意事項の確認をし、班長を先頭に指定場所へと移動する。瀬音の森は間伐中心の
3班と天然林育成除伐の4班に分かれた。                    

樹齢30年を超える背の高い杉林の間伐は、近接作業をしないこと、倒すときは声をか
けることなどを確認し、3人ずつ組になって作業を開始した。私は原渓さんとPONTA
さんに手伝ってもらい、間伐作業を行った。今回は山主さんの希望で、間伐した杉を短
く玉切りして道路まで運ぶということになっている。薪として間伐材を再利用するため
だそうだ。杉の太い木は1mに玉切りしても重たくて運ぶのが大変だった。倒木や枯れ
枝に足を取られないように注意しながら丸太を担いで運ぶのは、想像以上に体力を消耗
するものだった。                               

私は途中で4班の様子を撮影に行った。4班は雑木林の下刈りと除伐をしていた。こち
らは大鎌やノコギリでの作業だったのでずいぶん大変そうだった。かなり太い木もあっ
たので「チェーンソーで切った方が早いのに・・」と思いながら、ハミさんや岡田さん
、渓酔さんの働きぶりをカメラに納めた。この林はカタクリが出るそうで、山主さんは
ここをカタクリ原にしたいのだそうだ。カタクリの咲く頃に来られれば良いのだが、実
際に見ることはあるのだろうか。                        

10時の休憩に飲んだ麦茶に薄い塩味がついていた。東北ではよくこうするらしいのだ
が、味のついていない麦茶に慣れている我々は少々面食らった。汗を流し、体力を消耗
する山では塩味の麦茶も必要なものなのかも知れない。休憩後も間伐が続いた。太いカ
ラマツを倒したが、これはヤニが多いので薪にしないということで、そのまま放置した
。太い木だったが、思った通りの方向に倒すことが出来て満足だった。       

昼になったので開会式をやった場所に戻る。そこには大きな鍋が2台置かれ、昼食の準
備が出来ていた。おにぎり、漬け物、温かいみそ汁・・・並んで受け取り、テントの下
で食べる。とにかく美味しい。体が暖まり、力が湧いてくるようだ。仲間といろいろ話
しながら食べるのも楽しい。ちょうどまだ雨が降ってきたので、テントの下に全員が詰
め込まれるようになり、ワイワイと楽しい昼食タイムになった。見下ろす畑の向こうに
は田沢湖がハッキリと見え、なかなか風光明媚な会場だった。           

午後の作業も間伐だった。細い木はほとんど伐ってしまったので、残ったのは太い木が
多く、倒すのはまだしも、玉切りした丸太を運ぶのが重労働だった。汗まみれになりな
がらの力仕事だった。2時半になり、作業を終えて集まり、技術指導の森林組合の係員
と「お疲れさまでした〜」と挨拶し作業終了。三々五々、閉会式の会場へと戻った。 

閉会式を終え、田沢湖を眺めながら駐車場へと歩く。途中の木にアケビが成っているの
を発見し、おじさん達が大喜び。みんなで力を合わせてアケビ採りをしていた。都会に
住んでいる人ほど、こういう場面では童心に返るものらしい。駐車場で装備を回収し、
それぞれの車でクリオンに移動する。これから温泉に入ってひと休みし、懇親会に備え
なければならない。ひとまず挨拶を交わして解散する。              

懇親会はクリオンの体育館で開催された。ふれあいの森推進協議会副会長の沢山さんの
挨拶で始まり、参加者代表ということで瀬音の森を代表して私がひと言述べさせてもら
った。乾杯のあとはいつのもように無礼講だった。知り合いを探してあっちで飲み、こ
っちで飲み、歌を歌い、手拍子をする。布谷課長が奥さんと一緒に顔を出してくれた。
差し入れのおはぎがじつに美味しい。阿部さんのお父さんが渓流魚の煮浸しを持ってき
てくれた。これも美味しかった。宴会はいつ果てるとなく続いていた。       

翌朝は快晴だった。青空に刷毛で掃いたような雲がかかり、まさに秋晴れの朝だった。
体育館で朝食を食べ、後片づけをし、東京に帰るバスを見送る。「また来年合いましょ
う」と手を振る。バスの見送りが交流会の最後を締めくくる行事のようになっている。

瀬音の森のメンバーは災害援助ボランティアに参加した秋田支部メンバーを除いて、小
波内の「再会の森」に向かう。猫ミュウさんと土筆さんの追悼で植樹したコブシの木を
見に行くためだ。何だかお墓参りのような気分になってしまうが、カラリと晴れ渡った
青空が気分を明るくしてくれた。コブシの木は植えた時よりも1メートル以上大きくな
っていた。根元にお酒やビールを注ぎ両手を合わせる。西木に来るたびにここを訪れて
、こうして手を合わせるのだろう。猫さんと土筆さんが植えたブナの木はずいぶん大き
く育っていた。