瀬音の森日記 460
樹木勉強会&刻字作品展
2008. 5. 10
関根さんの樹木勉強会と刻字作品の鑑賞会が開催された。
5月10日(土)あいにくの雨空の下だったが、正丸オートキャンプ場で関根さんの樹木
勉強会が開催された。参加者は関根さん、NAKANOさん、白瀧さん、初参加の宇津木さん
、オブザーバーとしてキャンプ場オーナーの杉田さん、そしてkurooの6名だった。関根
さんの刻字作品を見ながらの樹木勉強会は今回で3度目だが、毎回その作品の見事さに圧
倒される。書家としての作品が実際にそれぞれの材の上に刻字されているので、樹木とい
うより材として勉強することが出来る。
30分ほど前に会場に到着したら、NAKANOさんが待っていた。入り口に鍵がかかってい
たので入れなかったらしい。すぐに鍵を開け、中に入る。雨が降り続いていたので、管理
棟の軒下で四方山話をしていたら、すぐに白瀧さんと杉田さんが来た。杉田さんの指示で
管理棟の前庭に大きなブルーシートを雨除けに張った。ちょうど初参加の宇津木さんも来
たので、挨拶を交わし、すぐに手伝ってもらった。ストーブに火を熾し、暖まった。焚き
火が暖かく感じるくらい寒かった。関根さんを待つ間にタケノコ掘り。中小のタケノコが
4個掘れた。
関根さんが来たので、会場造りを手伝う。素晴らしい刻字作品が次々と並べられる。テキ
ストは事前にもらっていたので、新しい作品が楽しみだったが、この時点ではどれが新作
なのか判然としなかった。管理棟の中で樹木勉強会が始まった。初参加の宇津木さんは、
個人でログハウスを作っているという木工家で、関根さんや杉田さんとプロの会話をして
いる。関根さんも楽しそうだ。プロの話を聞けるのも、こういった勉強会の楽しみでもあ
る。関根さんの詳細な解説が始まった。
一般的に樹木の図鑑や辞典は数多くあるが、その多くが立木としての樹木を解説するに留
まっている。その樹木が伐採され、製材されてどんな表情になり、どんな使われ方をする
のかを解説している図鑑は少なく、知っている人も多くない。この勉強会はその部分を強
調して勉強している。自然教育の分野においても今後力を入れなくてはならない分野だと
思っている。樹木を育て、森を守ることと、樹木を適材適所で利用する知恵というのは両
立しなければならないと思うからだ。樹木を愛するという言葉が一人歩きし、伐採は罪だ
というようなバカな考え方に発展するのが困る。無駄なく利用することこそが、樹木を愛
する事なのだと伝えたい。
それぞれの樹木が伐採されて材になり、その材がどんな手触りで、どんな重さで、どんな
暖かさなのか、分かる人がいるだろうか? 板を見ただけで何の木か分かる人がいるだろ
うか?学校教育でも、森林インストラクターの教育でもスッポリ抜け落ちている部分だ。
この勉強会で自分がいかに木を知らないかを再確認することができた。関根さんの刻字作
品展が8月に秩父の矢尾百貨店で開催される。是非、多くの人に見てもらいたいものだと
思う。特に、小中学生に見てもらいたい。小さいときから樹木や材に興味を持ってもらい
たいと思う。関根さんの作品に触発されて多くの若い木工家が育つのが理想だ。
昼休みは外のストーブを囲んで思い思いの食事を摂った。ガスストーブで湯を沸かし、ラ
ーメンを作って食べる。暖かいラーメンが美味しかった。宇津木さんは杉田さんのログハ
ウスを興味深そうに見て、いろいろ質問をしている。どうやらずいぶんと気に入ったらし
い。作業の大変さなども、自分でやっているから良く分かるらしい。今度、機会があった
ら、宇津木さんのログハウスも見てみたいものだ。
午後も関根さんの講義が続いた。一通り講義が終わって、テストが行われた。今日解説し
た樹木の材を裏返しにして、トランプの神経衰弱よろしく当ててみようというのもの。先
ほどまで見ていた材だから、すぐに分かるかと思いきや、まったく分からない。いかに刻
字に頼って覚えていたかが良く分かった。確かに、材木もその木によってずいぶん変わる
し、個体の識別は難しい。しかし、材固有の特徴ですら記憶できないというのは情けない
。触ったり、持ち上げたり、匂いをかいだりと八方手を尽くして記憶したはずなのに、分
からない。何度も繰り返し、最後には全部分かるようになったが、他の場面で応用が出来
るかどうか、はなはだ心もとない。
何はともあれ、無事に樹木勉強会は終わった。あとは自己研鑽あるのみ。貴重な作品とテ
キストを作って解説してくれた関根さん、会場を提供していただいた正丸オートキャンプ
場の杉田さんに感謝致します。お土産にタケノコを頂いてキャンプ場を後にした。