瀬音の森日記 496




関根武「100樹の刻字展」



2009. 7. 29-8/3


秩父市の矢尾百貨店にて関根武「100樹の刻字展」が開催され、鑑賞してきた。


7月29日(水)から8月3日(月)まで、秩父市の矢尾百貨店5階催事場にて会員の
関根さんが「100樹の刻字展」を開催した。初日に花を持参して作品を鑑賞してきた。
この刻字展は昨年も開催されていたが、その時は50種類の木で刻字作品を発表してい
たので、一年間で50作品を新しく作ったことになる。これは大変なことで、作品イコ
ール材の入手となる訳だから、新しく50種類の材を入手したことになる。どれだけ手
を尽くしたか、本人は多くを語らないが、さぞ大変だったことと思う。       

会場は前回の3倍の広さで、展示が工夫されていた。今回は関根さんの刻字作品と染織
家が作った百種類の木で染め上げたスカーフが展示されていた。木の材と染色された布
の色の違いが面白く、興味ある展示となっていた。思いがけず濃い色に染まる樹木など
に驚かされ、順々に見ていく楽しみが続いた。                  
関根さんの「書」は様々な筆?で書かれているので、書体の妙も鑑賞の楽しみだった。
私はカチッとした隷書タイプの文字が好きなので、いろいろ見比べながら自分の好きな
作品を探した。                                

材の種類が手に取って確認できるのも、この展示会の特徴だ。特に重さに関しては実際
に持ってみないと絶対分からないので、それを確かめられるのが良かった。オノオレカ
ンバやアカガシの重さは実際持ってみて初めて分かるものだった。一番重いリグナムバ
イタと一番軽いバルサの対比などは、同じ木とは思えない感覚だ。手触り、匂い、重さ
実際に触れることで分かることが実に多い。こういう展示会が必要とされるゆえんだ。

会場では全作品をまとめたDVDが流されていて、何も知らなくても分かるように出来て
いた。また、冊子を500円で販売していたので、売り切れないうちにすぐ購入した。
和綴じ製本の手作り冊子で、とても貴重なものだ。これさえあれば材木博士になれるほ
どの詳しい材の説明が詰まっている。会場でゆっくり読む時間はないので、解説書とし
て後日ゆっくり読みたいと思う。                        

私が行ったときにちょうど東京新聞と埼玉新聞の記者が取材に来ていて、作者はとても
忙しそうだった。まあ、会場でゆっくり話が聞けるようではいけないので、忙しそうで
何よりだった。じっくり2時間鑑賞して会場を後にした。とても充実した内容で、私自
身にも大きな刺激になった。また次回の展覧会に期待したい。