面影画88


9月21日 (水) 撤収の日は台風だった




 昨夜は、陸前高田の唯一と言われている居酒屋「わいわい」に行って、事務所の人から
終了の打ち上げ会をしてもらった。                        
 理事長と事務主任、そして事務の女性陣3人が参加してくれた。みんなで来た日のこと
から4ヶ月間を振り返り、楽しい会話が続いた。                  

 ボランティアという立場から、また、やっている作業の微妙なことから、ほとんど会話
らしい会話をしないで4ヶ月過ごしてきた。事務の人たちはもっと話したかったと言う。
こっちも変にバリヤーを張らずにフランクに接すれば良かったのかもしれないが、日々の
作画だけでいっぱいいっぱいだったので、まあ仕方ない。こうして最後に楽しく話せたの
で良かった。                                  

 今朝は雨の音で目が覚めた。ワカメラーメンを食べ、片付けに入る。外はだんだん雨が
激しくなってきた。濡れては困る寝具や服類から片付け、収納ボックスに詰め込む。机を
解体し、床を解体する。コンパネと垂木は高寿園に寄付。使わなかったポータブルトイレ
も水タンクも寄付。こうして荷物を減らす。                    
 途中から事務の人たちが手伝ってくれて作業が進む。ちょうどこの時に雨が止んでくれ
たのでありがたかった。ロープ、コード、横幕、どんどん車に積み込む。見る見るうちに
テントは屋根だけになった。8人の人でポールを持ってその形のまま玄関ホールに運び、
屋根のしたでテントを解体する。                         
撤去の日は朝から雨が降っていた。 雨の中、撤去が終わり何もなくなったテント場。感慨深い風景。

 9時前に作業が終わり、記念写真を撮る。ひとりひとりと握手をしてお礼を言う。みん
なに見送られて園を出発した。4ヶ月間の作業がやっと終わった。車窓から見える園の姿
を目に焼き付けた。                               
高寿園の事務の皆さんに撤去を手伝っていただいた。 撤去終了の最後の記念写真。皆さん、ありがとうございました。

 4ヶ月間お世話になった氷上神社に最後のお参りをする。宮司さんがいたのでお礼を言
う。                                      
 車は一路、一関インター目指してひた走る。                   

 高速に乗って順調に走ったのは一時間ほどだった。大和インターで通行止めとなり下道
に下ろされる。まだ仙台の手前だ。この時点で帰るのはあきらめた。         
 仙台方面に向かってフラフラ走るが、なかなか宿泊出来る場所がない。途中にあった温
泉に行ったのだが。満室でダメだった。まだ一時間以上かかるが、行った事のある作並温
泉に行く事にした。すでに12時を回っている。                  
 作並駅前の観光案内所に寄る。こういう時に直接旅館に行くとろくなことがないので、
案内所で紹介してもらう。お風呂をメインに探してもらった。紹介してもらったのは岩松
旅館。すぐ近くだった。                             
 まだチェックインの時間ではなかったが、ロビーでパソコンをパコパコ。すぐに部屋に
案内され、話題の露天風呂へ。川沿いの露天風呂は大雨の増水で4つある湯船のうちの一
つがすでに水没していた。風呂の横を濁流が目の高さで見えるのは、なんというか心臓に
良くない光景だ。たぶんあと二・三時間で川の水が流れ込むだろう。こんな露天風呂をひ
とり貸し切り状態で楽しんだ。ある意味すごい光景だった。             
増水した濁流に洗われる作並温泉の露天風呂。 温泉の横の川が増水してとんでもないことになっていた。

 部屋でビールを飲みながらテレビのスイッチを入れると、東京がえらいことになってい
た。いやあ、いい判断だった。無理に帰ろうとしなくて良かった。しかし、台風が一日早
かったらテントが吹っ飛ばされていた訳で、人ごとではない。            
 今、こうして旅館の部屋でテレビを見ているのがなんだか嘘のようだ。       
 何だか朝から忙しい一日だった。