2004ナビスコカップ準決勝観戦記
敵地での負けられない戦い。
10月11日、瑞穂陸上競技場での名古屋グランパス戦を見に行った。
朝、急に思い立って名古屋へ行くことにした。今日はナビスコカップの準決勝が名古屋
の瑞穂陸上競技場で開催されるのだ。テレビ放映は無い。待てば結果はでるのだが、こ
の試合に負ければ次は無い。たぶん当日券があるだろう、という楽観的な考えで新幹線
に飛び乗った。品川駅から乗り込む赤い人もちらほらいて心強い。そして、名古屋駅に
は赤い民族衣装のレッズサポが沢山いて決戦の気分が盛り上がっている。
まずは腹ごしらえ。駅ビル地下の食堂街で味噌カツ定食を食べる。ほんのり甘く、良い
香りの味噌が絶妙で、癖になるような味だった。入れ違いに入ってくるレッズサポと目
が合うと、お互いが軽い会釈をする。敵地で共に戦う仲間意識がそうさせる。チケット
がないのでゆっくりもしていられず急いで地下鉄の乗り場に向かう。赤い人がちらほら
見えるので知らない場所でも安心して歩いていける。みんな行き先は瑞穂なのだから。
地下鉄では入り口脇に立って本を読んでいた。途中から何だか視線を感じる。向こう側
にいる赤い人がこちらをチラチラ見ているのだ。おかしいなあ・・と思って良く見たら
グランパスサポが腕組みをしてこちらを見ているのだ。同じような赤いレプリカだった
ので気がつかなかった。おいおい、こんなおじさん相手に何リキんでんだよお、まった
く。こんなとこからリキんでいたら試合までもたないよ〜。ということで、無視。
瑞穂陸上競技場は地下鉄の駅にほど近い場所にあった。この近さは羨ましい。暑いので
コンビニで冷たいお茶を買ってスタジアムに向かう。自由席入り口方向からは長い人波
のざわざわという大勢の声が聞こえるのだが、私は反対側のチケット売り場に回らなけ
ればならない。スタジアムの正面入り口にチケット売り場があって、当日券っを売って
いた。覚悟はしていたが、自由席は売り切れでブロック指定席だけが売られていた。
入場してグランパスサポがたむろしているビジョン前を通りぐるりと周回して反対側の
レッズ集団に向かう。グランパスサポはみんな親切に道を開けてくれた。FC東京や鹿
島アントラーズが相手ではこうはいかないところだ。アウェー側はすでに自由席が一杯
で真っ赤なレッズサポがざわめいていた。私は自由席に一番近い席に腰を落ち着け、周
囲をゆったり観察していた。横断幕っを取り付けている人がたくさんいて、それぞれの
やりとりが面白かった。試合開始まであと1時間半。
試合開始前に名古屋のマスコット、グランパス君一家が挨拶にやってきて、ブーイング
をされていた。ピンクのグランちゃんが何だか可愛かった。それにしても中の人は暑か
ろうに・・直射日光がもろに当たるバックスタンドはとにかく暑かった。本を読むどこ
ろではない。リユースカップのビールを3杯も飲んでしまった。名古屋の応援がにぎや
かになってきた。レッズはキックオフまで声は出さない。時折リーダーの声に合わせて
かけ声が起きる。これからの戦いに向かって気合いをためている。
日が中天から西に傾きかける午後3時、待望のキックオフ。大旗が振られ、声を限りの
応援が始まった。声が、旗が、拍手がグランドの選手を後押しする。レッズはこのスタ
ジアムでは本当に分が悪いのだ。今日はその分の悪さを応援でカバーしなければならな
いのだ。試合は一進一退の状態で、中盤でのせめぎ合いが激しい。名古屋も仕掛けが遅
く、徐々にレッズペースになって行く。そして前半26分、永井のクロスをエメルソン
がダイビングヘッドで決め先制点を奪った。スタンドが爆発したように飛び跳ねる。エ
メは本当に凄い。あのピンポイントクロスをダイビングして決めるとは!
歓喜は続く、33分には相手DFのクリアボールを拾った達也が追加点を奪う。今日の
達也は切れがいい。トラップミスもほとんど無く、うまくスペースに飛び出している。
永井やエメもやりやすそうだ。前半はレッズペースで終わった。2対0、これなら今日
は大丈夫だろう・・・いやいや、2対0から逆転されたことが何度もあるのだから、こ
れで安心してはいけない・・・でも嬉しい。ハーフタイムにまたビールで喉を潤す。
後半開始。心配した通り、選手の動きが悪い。いや、名古屋の選手が良くなったのだ。
セカンドボールを取られ、押し込まれる場面が続く。アルパイ、闘莉王、ネネの動きが
激しくなってくる。クリアに逃げる場面が多くなり、心中穏やかではなくなってくる。
そんな中、達也がやってくれた。後半12分、相手DFのヘディングのクリアボールを
達也が鮮やかなシュート。目の前のゴールネットが揺れた瞬間、全員が飛び上がった。
もう大丈夫、押せ押せだ。気分も最高でノリノリの応援が続く。
後半31分、一瞬の隙を突かれて中村にするどいシュートを決められた。こういう所が
まだまだだよなあ・・せっかく3点取っているんだから、完封しろよ!まったく。まあ
やさしい怒りが涌いてきたが、この時間で3−1なら大丈夫だろう。選手も混乱する事
なく、落ち着いているようだし。そして後半39分、ゴール前の達也に平川のクロスが
入り、棒立ちの名古屋DFの間をスルスルっと達也が抜けた!・・と思ったらボールが
ネットに入っていた。どうなったか分からなかったのだが、達也のハットトリックだ!
試合は4−1余裕の勝利。次は決勝だ。勝利の余韻に浸りながら、駅ビルの食堂街でき
しめんを食べた。帰りの新幹線まであと1時間。待合室の赤い人たちはみんな笑顔で、
楽しそうだった。
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