2004ナビスコカップ決勝観戦記
3年連続のファイナリスト。
11月3日、国立競技場でのナビスコカップ決勝を観戦した。
●1103ナビスコ決勝:FC東京戦:国立競技場
11月3日、瀬音の森小菅の清掃イベントの日なのだが、私は国立競技場にいた。仲間
には申し訳ないのだが、この試合だけは見逃すわけにいかない。3年連続してのファイ
ナリストという名誉ある我がチームを応援しない訳にはいかないのだ。昨年は鹿島アン
トラーズ相手に見事に優勝を勝ち取ったナビスコカップ。今年の相手は苦手にしている
FC東京。試合開始1時間前にたどり着いた席はバックスタンドのほぼ中央という願っ
てもない席だった。
前評判ではレッズが圧倒していた。いつもの力が出せれば楽に勝てるはずだった。スタ
ンドはにこやかなレッズサポで溢れ、いつものようにフラッグの海が広がっていた。そ
んなまったりした雰囲気もあってか試合開始前にウエーブが起きたりした。これが実に
イヤな感じだった。何というか、戦う前にすでに勝ったような気になっているんじゃな
いか・・・というイヤな感じ。試合前にいきなり勝利の歌「WE ARE DIAMONDS」が
歌われたのもイヤな感じを増幅させてくれた。私は一緒に歌うことができなかった。こ
の歌は勝利の余韻に浸りながら歌う歌なのに・・・もう勝ったつもりでいるのか。真っ
赤な応援スタンドに「何やってんだよ・・」と拳を突き上げたい気分になった。
試合開始。戦前の予想通りにレッズが圧倒する。そして中盤のせめぎ合いを制するかと
いう前半29分にエメへのファールで、FC東京DFのジャーンが退場になった。吉田
さんのジャッジにしては厳しいかなと思ったが、これで勝てると思ったことも事実だ。
ジャーンはピッチで泣いていた。その姿を見ながら、責任感のあるいい選手だなあと思
っていた。そんな選手の退場に残された選手が燃えないはずがない。これは逆に難しい
試合になるかもしれない・・・というイヤな感覚も頭の隅に残った。
試合はレッズの猛攻をFC東京がしのぎ、カウンターで手数をかけずに攻め返す、とい
う予想通りの展開になっていった。いつかは点が取れるだろうという気持ちがあったの
だが時間がたつに従ってそれが甘い考えだという事に気づくことになる。とにかく、F
C東京の今野が素晴らしかった。三浦も良かった。茂庭も良かった。藤山も良かった。
敵の選手をほめるしかないくらいレッズの攻撃をことごとく体で止めていた。切れのあ
るエメを止め続けた茂庭は本当に素晴らしかった。レッズは押しに押した。右から永井
が、左からサントスが、中央からエメと達也が入れ替わり立ち替わりFC東京のゴール
に殺到する。腕一本でセーブした土肥の気迫も凄かった。土肥にしてみれば、0点で押
さえれてPK戦にもつれ込めば勝つ可能性が見えてくるのだから必死だ。素晴らしい反
応でシュートを弾き出した。結局延長も含めて120分間、どちらのゴールマウスにも
ボールが転がり込むことは無かった。
攻めに攻めたレッズだったが1点が奪えなかった。これがサッカーであり、こういう日
もあることは分かっているつもりだった。FC東京の原監督が一人退場になったことも
あって、攻めるより守る方に重点を置いた事も仕方ないことだ。しかし、それがレッズ
にとって最もイヤな展開だったことも皮肉なことにまた事実だ。セカンドステージ苦戦
した試合は、例外なく引いた相手に苦戦している。何とかしなければという焦りが選手
からもスタンドからもにじみ出ていた。これが課題なんだよなぁ・・・。
延長が終わった時は疲れ切っていた。選手も監督もサポーターも。「PK戦かあ・・」
誰ともなく、ため息のようなつぶやきが聞こえた。土肥と山岸の戦いになる訳だが、こ
れは明らかに分が悪い。一方は日本代表で120分間の猛攻を耐えきったゴールキーパ
ー。もう一方は気配りとやさしさが売りの癒し系ゴールキーパー。PK戦前のにらみ合
いで目を先にそらしたのは山岸の方だった・・・・・・頑張れ! ヤマギシ!
PK戦はくじ引きのようなものだという。しかしルールでは勝ちと負けに分けられ、そ
れが結果として残る。試合自体は同点の引き分けだったはずなのだが、PKの結果で天
国と地獄に別れるのだ。それまでの流れの中で、PK戦になったらいやだなあ、という
気分がスタンドにも流れていて、実際のPK戦の前にはもう負けたような気分になって
しまっていた。両軍二人ずつ決めて3人目、FC東京は決めた。レッズは達也。このシ
ュートを土肥に止められた。スタンドは一瞬の静寂の後、オーロラビジョン側に陣取っ
たFC東京サポから大歓声が沸き上がった。今日初めて優位に立ったFC東京サポータ
ーの雄叫びだった。
しかし、次のシュートを山岸が止めて、今度はレッズ側のスタンドが大きく沸いた。本
当にPK戦は心臓に悪い。大丈夫だ、まだ勝てる!・・・しかし、次の山田が土肥にひ
とこと言われながらガンつけられ、そのせいだかどうか、しっかり止められ天を仰いだ
。こっちも一緒に天を仰いだ。FC東京は最後が加地だったので、ちょっと外すのを期
待したのだがダメだった。しっかり決められてジ・エンド。悔しいことに、大嫌いなF
C東京の初タイトルを見届ける有様となった。なんてこった・・・くそ。
2年前にアントラーズに負けた時よりも悔しさは少ない、と負け惜しみを言ってみる。
自分の中に、我々の自滅だった、という思いがあった。どこかに「負けるはずはない」
という甘さが無かったか。サポーターにも、選手にも、監督にも・・・・
楽に勝てる試合などひとつも無い。必ず勝てる試合などひとつも無い。それがサッカー
というものなのだ。 しかし、悔しい。
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