天皇杯決勝:浦和レッズ初優勝!


天皇杯の元日決勝は清水とのサッカー王国をかけての厳しい戦い。


2006.1.1:第85回天皇杯決勝:清水エスパルス:国立競技場

決勝のチケット手配は大変だった。29日に風邪を引いて体調は最悪。一度は断念しか
けたのだが、この試合だけは行かないと絶対後悔する。最後の手段、ヤフオクでチケッ
トを手に入れたのは大晦日の夜9時だった。当日の朝引き取るという綱渡りのチケット
確保だった。元日の朝、約束の12時に国立競技場青山門で待ち合わせてチケットを受
け取る事が出来て、やっと心が落ち着いた。何とかこの場所に来ることが出来た。あと
は後悔しないように応援するだけだ。しかし、風邪で体調は最悪、血の混じる痰が出て
いるような状態で声が出るかどうか、はなはだ心許ない。             

風邪を引いてボロボロの状態で参戦した国立競技場。 青山門前で待ち合わせて、チケットを確保。いざ決勝へ。

席はバックスタンド下段のSA席だった。右側はホーム自由席で、試合開始1時間前に
は立錐の余地も無い。横断幕やゲートフラッグの多さに、この勝負にかけるゴール裏の
気迫がビンビンと伝わってくる。都築と山岸が出てきて歓声が上がる。拍手をしながら
選手の名を叫ぶ。選手もそれに応える。よおし、いい感じだ。清水の選手が出て来た。
大音量のブーイングが湧き上がる。そうそう、今日は決戦なのだよ。いつもより大きな
ブーイングは仕方ない。悪いけど勝たせてもらうぜ。               

すでに超満員のゴール裏。この試合にかける熱気が伝わってくる。 清水サポーターも声が良く出ている。早い時間にデカ旗が出た。


レッズのゴール裏もすごい熱気だ。立錐の余地もない。


スタメンの発表。大旗やLフラッグが振られ選手のコールが続く。

レッズの選手が出てきた。大歓声と旗の海で迎える。一人一人のコールが起きる。アッ
プする選手の動きがいい。頑張ってくれ、今日が最後の試合だ。突然、清水のゴール裏
にビッグフラッグが出た。それも3枚も。まだ試合開始前なのに、なぜ??当然こちら
からは大きなブーイングが湧き上がる。アップの時点から応援が始まるのはどうもなじ
めないものだ。それぞれの応援方法があるのだから仕方ないのだが。        

選手入場を迎えたゴール裏は紅白のストライプと白い大きな星で染められた。

天皇杯決勝は試合前のセレモニーが多い。選手の激励をする来賓の列。そして天童よし
みの国家独唱。写真撮影と続き、やっとキックオフになる。特別な試合であることがひ
しひしと伝わってくる。そしてキックオフ。声を限りの応援が始まった。予想では清水
は守りを固めてくるはずだったが、試合開始と同時にロングボールからチェ・テウクの
きわどいボレーシュートが飛んできてヒヤリとさせられた。守りを固めてくるどころで
はない。むしろレッズが押されている。今日の清水はリーグ戦の清水とはまったく違う
チームになっていた。さすがに無失点で決勝に勝ち上がってきたチームだと緊張する。

両サイドの岡野とアレックスが前に出ようとすると二人がかりで止められ、ボールを取
られる展開が続く。どちらも守備に難があるので、高い位置を保持できないと全体の動
きが止まってしまう。清水の守備に苦しめられる展開になっていた。そんな閉塞した状
況を一気に変えたのが堀之内だった。セットプレーの攻撃で前線に残っていた堀之内に
アレックスから糸を引くようなクロスが入り、堀之内が相手ディフェンスの前でヘッド
、ボールは西部の手をすり抜けてゴールネットに突き刺さった。前半39分だった。 

「やったあ〜〜」「ホリ〜〜」スタンドは総立ち、無数の旗が振られる。周囲の人とハ
イタッチして叫ぶ。「堀之内〜良くやった」堀之内の得点感覚は素晴らしい。これで勝
てるとは思わなかったが、今期先制した試合は負けていない事実が応援の声を大きくす
る。しかし、試合自体は相変わらず清水に支配されている。特にチェ・テウクが怖かっ
た。何度か目を覆うような場面があったが細貝が体を張ってシュートを止めてくれた。
リードしていると言うよりも押されて押されて、やっとたどり着いたハーフタイムだっ
た。後半建て直しをしないと同点どころか逆転もありうる展開だった。       

堀之内の得点に湧くゴール裏。この1点が大きかった。 美しいマリッチの得点に感動。流れるようなパスからの2点目。

後半も清水の怒濤の攻撃は続いた。ゴール前でボールを回され、何度も都築の体を張っ
たファインセーブで凌ぐ時間が続いた。ここで失点しなかったのが大きかった。清水の
決定力の無さに助けられた場面だった。20分耐えた。ギドがやっと動いた。岡野に替
えて赤星投入。赤星がトップ下に入り、山田が右サイドへ。これで兵働とチェ・テウク
にやられていた右サイドが完全に落ち着き、清水は攻め手を失った。長谷川監督がそれ
を打開しようと市川と平松を投入した直後に試合を決める美しいプレーが炸裂した。 

ボール奪取した長谷部が振り向くと同時に放ったスルーパスがポンテに通る。ポンテは
中の赤星にボールをはたき、外へ走る。赤星はダイレクトでそのポンテにパス。見事な
ワンツーが決まった。ポンテはそのままダイレクトでゴール前にクロス。そこに走り込
んだマリッチがディフェンスと競りながら右足ダイレクトシュート。ボールはゴールの
上ネットに突き刺さった。完ぺきなゴール。流れるようなダイレクトパスがあっという
間にゴールを生む。素晴らしい技術と感性が生んだ最高の芸術だった。目の前で展開さ
れた至高の芸術に興奮して我を忘れて、一瞬固まってしまった。          

これで勝ったと思った。このまま終わるかと思ったのだが、ゴール前の混戦から市川に
1点を返されてしまう。その後ハラハラしながら一進一退の攻防を見ながら声を張り上
げた。平松が異議で退場になったのも大きかった。一人多くなったレッズはボール回し
にも余裕が出てきた。こうなるとポンテや赤星の技術が光る。清水がボールを取るまで
に力を使い、攻め手が無くなっていった。そのまま危なげなくロスタイムの3分間を過
ぎ歓喜の笛が鳴った。スタンドは総立ちでお祭り騒ぎだった。誰彼と無くハイタッチを
繰り返し、声を上げ、選手を讃える。「優勝だあ!」「マリッチ良くやった」浦和レッ
ズになってからの天皇杯初優勝の瞬間だった。レッズサポーターにとって待ちに待った
優勝、そしてアジアへの挑戦が始まった瞬間でもあった。             

タイムアップの瞬間。歓喜に湧くレッズ側のスタンド。崩れ落ちる清水の選手たち。

ゴール裏からは歓喜の歌が歌われ、表彰式が始まった。山田が、岡野が、ポンテが、マ
リッチが次々と壇上に上がり、メダルをもらいカップを受け取る。オーロラビジョンで
それを見ながら涙がにじんできた。素晴らしい選手達。応援してきて本当に良かった。
今までの様々な苦労が報われた瞬間だった。山田が天皇杯を受け取った。そして、会場
全員の声と同時に高々と掲げられた天皇杯。第85回天皇杯、浦和レッズ優勝。    

駆け寄ってお互いの健闘をたたえ合う選手達。 そして表彰式。オーロラビジョンの選手を讃える。



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