7月26日（水）J1：第15節：大分トリニータ：駒場スタジアム
平日の駒場は思いの外サポ足が早かった。試合開始１時間前に着いた時はもう半分くら
い席が埋まっていて驚かされた。席に着いてビールを飲みながら心地よい風に火照った
肌を涼ませていた。思えば昨年の柏戦で達也が大ケガをしたのがここだった。あの時は
目の前で起きた惨劇を認識することも出来なかった。達也はその怪我でワールドカップ
を棒に振り、長いリハビリを終えて、やっとホーム駒場に戻ってくるのだ。前節の川崎
戦で復帰初ゴールを決め、今日はホーム復帰初ゴールを狙う達也。こちらも精一杯声を
出して応援しようと思う。
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| 平日の夜。さすがに大分から応援にくるのは難しい。 | 選手のアップが始まった。 |
選手が出てくると旗が振られ、大歓声に包まれる。駒場の雰囲気は独特で、サイスタに
はない暖かさを感じる。場内アナウンスの声もサイスタより近く感じ、何というかホー
ムの暖かさを感じる。浦和市内にあるスタジアムがそう感じさせるのかもしれない。サ
イスタでの応援の声は上に飛び広がって行くように感じるのだが、駒場ではスタジアム
全体を包み込むように感じる。右側には閑散とした出島が見下ろせる。さすがに平日の
夜では大分から参戦することは難しかったのだろう。それでも５０人ほどのサポーター
が選手と自分たちを鼓舞するようにタスキを握り、声を揃えて叫んでいる。
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| 周辺の森が夕焼けに染まっていた。 | 会社帰りのサポーターが続々と詰めかける。 |
試合開始の笛が鳴り、選手が緑のピッチを走り始める。再開後の中３日３戦目だからな
のか選手の動きが鈍い。これは作戦なのか？？？と思わせるくらいベタ引きで、明らか
なカウンター狙いの陣形。大分に押し込まれているのが現実なのだが、作戦なのでは？
とでも思わなければ理解できない守りの姿勢。ホームの戦いとは思えない。それとも前
節の勝ちがこのスタイルだったからなのか。達也一人に攻めを任せて全員で守る戦術な
のか。マイボールになっても攻め上がりの遅いこと遅いこと。結局達也一人がドリブル
で突っかけて奪われるの繰り返し。
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| 試合前の整列。緑のピッチに赤いユニフォームが良く映える。 | 待ちに待った達也の得点だった。 |
それでも前半に２度ほどビッグチャンスがあり、そこで得点できればこの戦術も大成功
だったのだろうが、達也のシュートはクロスバーに嫌われ得点できず、前半は０対０の
まま終わった。レッズが攻められて遠いエンドでばかりボールが回されていたので何だ
か面白くない。ハーフタイムのギド喝でぜひ蘇って欲しいものだ。
後半開始から積極的に飛び出したのは大分だった。またしてもレッズは後手に回ってし
まう。大分のシンプルなボール回しに翻弄され、何度と無くゴール前にボールを運ばれ
るがディフェンス陣が体を張ってかろうじて防ぐ場面が増えた。とにかく耐えに耐える
展開なのだから心臓に良くない。前半とは逆に目の前で展開される攻防は常にレッズの
危機になっている訳だから応援よりも悲鳴が多い。闘莉王の体を張ったクリアと、山岸
の神がかったファインセーブに悲鳴と歓声が交互する。
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| 達也の一発に湧くスタジアム。 | そろそろ終了の時間。集中を切らさない守備陣。 |
本当にワンチャンスだった。小野に変わって入った内舘が達也からのボールを受け、そ
のまま折り返す形の絶妙なスルーパス。達也のトラップも最高だった。振り抜いた右足
からボールは大分ゴールに突き刺さった。まるで一瞬時間が止まったかのような得点シ
ーン。駒場が一瞬シンとなり、次の瞬間大歓声に変わった。「たつや〜〜やったあ！」
最高の瞬間だった。達也のホーム復帰ゴールだ。怪我をした駒場でチームを救う一発。
この１点さえあれば勝てる。今日はぜったい勝てる。歓声は確信に変わり、コールは大
声援となってスタジアムを覆った。
そして、ディフェンス陣の奮闘で試合はそのまま終了。試合に負けて勝負に勝った、と
でも表現しなければいけないような試合だった。何はともあれ達也のお陰で勝った試合
だ。こういう勝ち方は大きい。駒場から帰る道すがら、達也が怪我をした昨年１０月か
らの長い時間を思った。達也がリハビリ中何度夢見たことだろう駒場でのゴールシーン
が現実となった今日の試合。達也のゴールで勝てたのがとにかく嬉しい。
お帰り、達也。
7月26日（水） 2006 J1リーグ戦 第15節
浦和 1 - 0 大分 （19:04／駒場／16,040人）
得点者：'78 田中達也（浦和）