シドニー戦ドローで首位通過!


決め手を欠くもドローで首位。レッズが9月の準々決勝へ駒を進めた。


5月23日(水)サイタマスタジアム2002:AFCアジアチャンピオンズリーグ
●予選リーグ:グループE:シドニーFC(オーストラリア)        


ACL一次リーググループE最終戦はシドニーFCをサイスタに迎えて行われる。浦和美
園駅からサイスタへの道をいつものように歩きながら、いつもと違う緊張感に包まれて
いた。この試合に勝つか引き分けでレッズのグループ首位が決まり、準々決勝へと駒を
進める事ができる。シドニーより優位な立場にありながらも、サッカーは何があるか分
からないし、また何があってもおかしくないということを身にしみて分かっているので
不安は消えない。                               

夕方の道をサイスタへ急ぐサラリーマンの姿が多かった。 サイスタが呼んでいる。

目の前をシドニーFCのユニフォームを着た大きな男二人が何やら話ながら歩いている。
Jリーグでの試合では見られない光景だ。こういう男達と我々は戦っているのだ。こう
なってみると、シドニーのアウェーで2点のビハインドを追いついて勝ち取った「勝ち
点1」の重要性がヒシヒシと感じられる。あの勝ち点を絶対ムダにしてはいけない。 

サイスタのいつもの席に着く。シドニーFCのサポーターは30人くらいだろうか。す
でにアップしている選手に向かってさかんに声をかけている。すぐに旗を出して振り始
める。平日の夜の試合とは言え、4万5千のチケットが売れているという。ゴール裏は
すでに真っ赤に埋まっている。サポーターはもちろん今日がどんな大事な戦いかよく分
かっている。指定席からだが、今日は声を限りに応援するつもりだ。シドニー、上海、
インドネシアのアウェーで苦しみながらも負けなかった選手達を信じて。      

シドニーサポもすでに声を上げている。 選手のアップが始まった。

ピッチにレッズの選手が出てきて、スタジアムは一気にヒートアップした。旗を思い切
り振る。アップの間、ずっと振り続けた。しかし、冷静にピッチの選手を見比べると、
シドニーの選手はデカイ。この体格差は普通にハンデになると思うのだが、そのハンデ
を含めて国際試合ということなのだ。Jリーグとは明らかに基準が違うので、こういう
試合を積み重ねることが選手やクラブの大きな財産になるのだろう。もちろん我々サポ
ーターにとっても同じ事が言える。ACL一次リーグ全てに参戦し、これほどハラハラ・
ドキドキするとは思わなかった。本当にACLは面白い。              

スタメンの発表。シドニーの選手には凄いブーイングが、そしてレッズの選手には大き
なコールと拍手と歓声が・・・いつものサイスタだ。やはり闘莉王は欠場だ。長谷部は
ベンチというのが分からない。オジェックは長谷部をジョーカーにしようとしているの
だろうか。まあ、確かにACLでは長谷部と岡野がジョーカーの役割を果たして結果を出
しているから仕方ないとは思うが、長谷部好きの私としては最初から長谷部が見たいの
だ。でも、メンバーを決めるのは監督なのだから仕方ない。            

しばしの静寂後、ゴール裏で角田さんの煽りが始まった。そして、ウオーリアが来た。
一次リーグ最後の負けられない戦いはウオーリアで始まった。指定席からも声が出てい
る。手拍子も揃っている。いい感じだ。                     

シドニーサポのコールが始まった。 選手入場。ゴール裏はハートの12番。

選手入場。ゴール裏がハートの12番を描き上げた。風船が揺れている。スタジアム全
体が「最初から100%でファイトしろ!」と選手を励ます。シドニーのサポーターも
カンガルーの人形を振り回して声援を送っている。その場面の写真を撮るためにカメラ
マンが群がる。ピッチではキックオフの笛が鳴った。今日はUAEの主審だ。頼むから変
なジャッジで試合を壊さないで欲しい。緑のピッチに赤い戦士が走り出した。応援はア
イーダに変わる。声を限りに歌い、叫び、手を叩く。               

勝つしかないシドニーが最初から押してくる。レッズは受けに回っている。最初の10
分間が厳しかった。そこを乗り切って少し安心したか、イージーミスが出るようになっ
て、またシドニーが盛り返す。山田がハイボールをことごとく競り負けるなんて、今ま
で見たことがない。こぼれ玉がことごとくシドニーに奪われ、攻められ続ける。ここで
失点しなかったのが良かった。最後のシュート精度の悪さに助けられた。そんな中での
最大のチャンスが16分に来た。                        

細かくパスを繋ぎ、最後は相馬からゴール前の伸二へ矢のようなクロスが入る。2mの
至近距離からゴール正面のボレーがあり得ない角度で上に上がり、ゴールならず。総立
ちになったスタンドに大きな溜息が・・・。「なんであれが入らないんだぁ〜〜?!」
こういうのが入らないと得てして難しい試合になる。そして相変わらず攻められ続ける
。前半終了間際のポンテのシュートも惜しかった。ギリギリ右を狙ったシュートがGK
の手を弾き、コロコロとゴール方面へ。思わず「入れ!!」と叫んだが、ポストの横を
外に転がって行った。またして大きな溜息がスタジアムを覆う。そしてハーフタイム。

一進一退というよりは攻められ続けていた前半だった。改めてシドニーFCの強さを認識
する前半だった。引き分けでもいいのだから、などと考えていると間違いなくやられる
。とにかく1点欲しい。主審のジャッジも微妙なので、1発PKなどということも起こ
りうる訳で楽観できない。後半は是非全力で攻めて欲しい。とにかくここで負けるのは
嫌だ。祈るような気持ちで後半を待った。何だか心臓がドキドキしてきた。後半開始近
くなってゴール裏に3色のデカ旗が出た。コールが続く。まき返せ!        

後半開始。レッズの動きがいい。3分、小野のミドルが一瞬入ったか?という軌道でゴ
ールに飛ぶ。歓声がまたも溜息に変わる。ワシントンがよく動き、ポンテ、小野と連動
してゴールに迫る。歓声が上がるがゴールは遠い。シドニーはロングボールを使って攻
めてくる。大きな選手が戦車のように突進してくるのは怖い。堀之内と坪井がよく守る
。ハイボールはネネが倒れ込むようにジャンプして競り勝つ。とにかくデカイ選手に押
され気味になるのが心臓に良くない。主審が良く相手のファールを取ってくれたので助
かった。流す主審だったらどうなっていたことやら。               

オジェックは相馬に替えて長谷部を入れた。これで少しレッズの動きが良くなった。や
はり長谷部のキープ力は大きい。しかし、こちらもゴールが遠い。何というか消耗戦の
様相を呈してきた。終盤、永井、岡野を投入して攻めのサインを送るものの、簡単には
攻められない。とにかく失点したら終わりなのだから、岡野も守備を重視するしかない
状態だ。最後は、とにかく守りきってくれ・・・と祈るしかなかった。点を取られさえ
しなかったら良いのだ。そして、長い長いロスタイム(3分)が終わり、主審の両手が
上がった。いやあ・・・疲れた。                        

デカ旗も出たハーフタイム。 試合終了。引き分けだ。

その瞬間、スタジアムは微妙な歓声に包まれた。スコアレスドローという結果、一次リ
ーグトップ通過という結果、まあ取りあえず良かった・・というような感じ。オジェッ
クはガッツポーズで喜んでいたが、選手はガックリというギャップ。試合後のインタビ
ューがまた微妙な人選で、何とも微妙さに拍車がかかる。オジェックはまあ良しとして
、伸二が「勝てなくてスミマセン」と言うと思わず「おまえがあのボレーを決めていれば」
と突っ込み、山田が「とりあえず目標はクリアしたということで・・」最後の方はムニ
ャムニャと言うとスタンドは何とも言えない空気に包まれる。どうにも歯切れが悪い。
インタビュアーも内情を良く知っている人がやらないとスベるという良い例だった。 

選手の場内一周はコールに包まれた。何はともあれ一次リーグを突破した。これでアジ
アのベスト8に入った事になる。9月の準々決勝までに再度立て直す事も出来るだろう
。今はただ選手にねぎらいのコールを送る。終了直後の微妙な空気はあっという間に消
えた。大きな声援が選手に送られる。やっと、俺たちは勝ち抜いたんだという実感が湧
いてきた。考えてみれば勝っても引き分けても結果は首位ということで同じなのだから
当然のことだ。2勝4分け、結局負けなかったということがこの結果につながった。 

場内一周をする選手にあたたかいコールを送る。 シドニーサポと記念写真を撮るカミさん。

スタジアムを出ると南門にシドニーのサポーターが10人くらい並んでいた。まるで握
手会のようにレッズサポが並んで握手していた。シドニーのアウェーでもそうだったが
シドニーサポはじつにフレンドリーだ。カップルのシドニーサポと挨拶を交わし、カミ
さんと一緒に写真を撮らせてもらった。出来れば来年もシドニーFCと戦えればもっと
交流が深くなるのだろうが、こればかりは分からない。アジアの戦いにオーストラリア
が加わってくれたお陰で、違う世界が広がったような気がする。          


●AFCチャンピオンズリーグ 予選リーグ グループE              
5月23日(水)/19:30/埼玉/44,793人 浦和 0-0 シドニー           


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