最後につかみ取った世界3位の座!


初参加のクラブワールドカップでアフリカチャンピオンにPK勝ち!


12月16日(日):横浜国際競技場:エトワール・サヘル(チュニジア)
FIFAクラブワールドカップ ジャパン 2007 3位決定戦         


今日はクラブワールドカップの3位決定戦を見るために横浜に来た。待ち合わせた友人
とスタジアムに向かう道すがら、多くのパチモンユニ売り場が出来ていた。ACミランの
ユニがほとんどで、出稼ぎイタリア人の格好の商売になっているようだった。それにし
ても不思議な光景だった。普段のJリーグではあり得ない光景だ。ミランのファンは確
かに沢山いるのだと思う。パチモンユニ売り場に群がって、先を争って買っているのは
全部日本人なのだ。彼らが自慢そうにレプユニを着て胸を張って歩いているのを見ると
妙な違和感を感じる。数少ないイタリア人やミラノから来たサポーターにはどう映って
いるのだろうか。                               

パチユニ屋に群がるミランファンの日本人。 横浜スタジアムの東ゲート。

ACLで各地に参戦した時、先方でレッズのユニを着た現地人はいなかった。もし、いた
としたら、今回の数少ないミランサポの気持ちが少しは分かるのかもしれないが、これ
ばかりは分からない。いい大人が嬉々として普段見ることのないチームのユニを着て、
これみよがしに歩いている。大きなお世話だが、恥ずかしくないのだろうか? それと
も、あれがカッコイイのだろうか???本当に分からない。じつは席の隣が30代くら
いのミランファン3人だった。彼らは試合中応援するでもなく、控えめな歓声と控えめ
な拍手に終始していた。あれじゃテレビで見てるのと変わらないんじゃなかろうか。 

3位決定戦は決勝の前座のような扱いだったが、私にしてみれば、この試合だけを見に
来たと言っても過言ではない。型どおりの荷物チェックを終え、席に着く。バックスタ
ンドの中央二階上段の席だった。試合開始まで1時間半あるので、まだ人はまばらだっ
た。バックスタンドは日当たりが良く、暑いくらいの日射しが降り注いでいた。早速旗
を取り出して振り始める。南ゴール裏2階にレッズサポが集結中だが、まだ数は多くな
かった。13日(木)のミラン戦よりもずいぶんサポの数も少ないようだった。まあ、
決勝と抱き合わせのチケットだからレッズサポが少ないのも仕方ない。ここにいるサポ
だけで頑張るしかない。                            

入り口横のブースでアトラクションをやっていた。 入り口正面で記念写真。掲げられたエンブレムは4強チーム。

都築が出てきた。チャントに合わせてコールし、旗を振る。それにしてもこのスタジア
ムはピッチが遠い。都築と山岸がなんだか子供のように小さく見える。大音響のスピー
カーが頭上にあるので音楽がかかっていると頭が痛くなるようだ。今日の対戦相手はア
フリカチャンピオンのエトワール・サヘルだ。ボカ・ジュニオルズに1対0で負けて3
位決定戦に回ってきた。北中米カリブ王者のパチューカを破った強敵だ。パスをつなぐ
ヨーロッパのチームのような強豪だ。ボカとの試合を見る限り、レッズが勝てるような
気がしない。しかし、今日は移籍するワシントンのラストゲームになるので、何として
もワシントンに点を取らせたい。ワシントンが点を取ってくれれば負けても構わないと
思っていた。                                 

選手が出てきた。真っ先にワシントンのコールが起き、何度も何度も繰り返される。今
日が最後と言うことは全てのサポーターが分かっている。旗を振りながら、目はワシン
トンを追い続ける。ワシントンも何度もサポーターへ手を振っていた。アップしている
選手を見ると、サヘルの選手に比べて一回り小さく見えて、大丈夫なんだろうかと心配
になる。やはり負傷した闘莉王は欠場のようで、かわりに山田が入っている。山田がど
こに入るのかが興味深い。スタメン発表もテンポ良く行われて、時間が過ぎるのが早い
。あっという間に選手入場の時間になってしまった。               

続々と人の波が押し寄せる横浜スタジアム。 選手が入場してきた。夕日がまぶしい。

選手が出てきた。エトワール・サヘルが白ユニなので、何だか一回り大きく見える。レ
ッズは赤ユニと黒パンツ&黒ソックス。FIFAのアンセムを全員起立して聞く。こういう
公式の場で聞くアンセムの誇らしい事。何もかもが素晴らしい。これもACLで優勝した
からこそ味わえる快感だ。ピッチに散る選手にコールをする。試合開始のホイッスルが
鳴った。序盤は何度もCKを連発し、チャンスが続いていたのだが、直後のカウンター
で坪井がシェルミティを倒してPKを与えてしまい、開始早々に失点してしまった。い
きなりの失点にかなり凹む。まだ時間があるとはいえ、こういう大勝負での1点は限り
なく大きい。                                 

右のサイドに入った細貝の動きがちぐはぐで、何度となく声が出る。「ハジメ、そこじ
ゃない!」「そこは前だろ!」「しっかりしろ!」細貝も慣れないポジションで迷いが
あるようだ。そこで遠慮してくれる相手ではないので、右サイドからの攻撃が組み立て
られない。前半20分くらいで山田とポジションをチェンジした細貝がボランチに入り
、山田の変わりに長谷部がトップ下に入りやっと安定した。試合途中でのポジションチ
ェンジが鮮やかに決まったのは久しぶりだ。やっとここからレッズのターンになった。

鮮やかなワシントンのゴールが決まって大喜びのゴール裏。 ピッチを軽やかに駆ける選手達。

前半35分、山田のクロスからのこぼれ玉を拾った相馬が素早くクロスを入れる。ワシ
ントンが鮮やかにDFと入れ替わって前に出てジャンプしヘディング!ボールがネット
に突き刺さった。流れの中で待望の同点弾。「ワシ〜〜よくやった!」今日が浦和で最
後の試合になるワシントンが決めた。これは嬉しかった。ゴール裏も大喜びだ。その後
もレッズのターンが続く。ワシントンが切れているのが嬉しい。同点直後にもエリア内
から強烈な右足シュート。これがバーを直撃したのは頭を抱えたが、逆転を予感させる
内容に応援もヒートアップして行った。しかし、そのまま1対1で前半が終わった。 

試合が始まると同時に日が陰り、寒さが押し寄せてきた。ハーフタイムはトイレが凄い
行列になっていた。この寒さの中で「ビールいかがですかあ〜」という売り子の声が響
く。いったい何を考えているんだろうか。カップ麺なら買う人が続出すると思うけど、
さすがにビール買う人はいないだろう。なぜビールだけを売っているのか・・・じつに
不思議な光景だった。ホットワインだったらすぐに買うんだが・・・それにしても寒く
なってきた。いつのも公式戦と違う雰囲気の中、あっという間に15分が過ぎる。客席
はほぼ埋まっている。大半はミランユニを着た日本人だ。3万円の席にミランユニを着
た小学生が座っている。何だかなあ・・・という気分になるが、まあ仕方ない。   

後半開始、声を掛け合ってピッチに散る選手達。 ワシントンの二点目が決まった。

後半開始の笛が鳴る。レッズの動きがいい。背の高いサヘルに対して臆することなく果
敢に勝負を挑んでいる。ボランチに入った細貝も活き活きと躍動している。彼にとって
今のこの時間が大きな大きな体験になっているに違いない。中央に入った阿部が安定し
ているので安心して見ていられる。大きさだけではアドバンテージにならないもんだ、
と自分の選手を誉めてやりたくなる。後半25分、エリア近くでファールをもらう。蹴
るのは永井。低く鋭いボールがゴール前のワシントンにピンポイントで入る。ワシント
ンは頭に当てるだけだった。鮮やかな2点目!逆転のゴールが決まった。「ワシ〜〜〜
!やった」飛び上がって両手を突き上げる。素晴らしい2点目だ。         

その後、サヘルの圧力が強くなった。5分後、何ということない競り合いで阿部がこけ
た。一緒に走ってきたシェルミティもこけた。ボールは都築が抑えたかに見えた。とこ
ろが、こけたシェルミティがあっという間に立ち上がり都築に向かって足を出した。ボ
ールがコロコロとゴールに入ってしまう。「あれ?、ファールじゃないの?」選手もサ
ポーターもポカンとしていたが、何だかゴールが認められたようだ。「えええ?・・同
点かよ」「何なんだ、あれは?」よく分からなかったが、どうやら振り出しに戻ってし
まったようだ。こうなると厳しい。ゴールからゴールへとボールと人が忙しく行き来す
る展開。どちらにもチャンスとピンチがあった。しかし、そのまま同点で終了してしま
った。サヘルの監督はロスタイムにキーパーを入れ替えた。果たしてこれがどういう決
着を招くのか。勝負は大会規定ですぐにPK戦に入った。             

PK戦が始まった。両手を握って必死に祈る。 表彰台に上がる選手達。世界3位おめでとう!

レッズが先攻で最初のキッカーはワシントン。両手を組んで祈る。「ワシ・・・頼む」
ワシントンは鮮やかにボールをネットに突き刺し成功!飛び上がって喜ぶ。サヘルの一
番手が出てきた。今度も祈る「都築・・・頼む」。サヘルの選手が蹴ったボールがポス
トに直撃して跳ね返った。「やったあ!外したあ!」飛び上がって喜ぶ。その後、レッ
ズは阿部、永井、細貝が決めた。サヘルの4人目キッカーのシュートを都築が止めた。
PK戦はレッズが4対2で勝った。素晴らしい勝利。世界3位という結果をつかみ取っ
た選手達。表彰式が行われ、選手が場内一周する。アフリカチャンピオンに勝った浦和
レッズ。世界の舞台で勝ち取った3位の座。両手を上げてスタンドの拍手に応える選手
達。じつに誇らしい。浦和レッズは世界に輝いた。                

バックに選手が挨拶に来た。それにしてもピッチが遠い。 ゴール裏に挨拶する選手に大きな歓声と拍手が湧き上がる。

歌が出る。「赤き血のイレブン、ラララ浦和レッズ、世界に見せつけろ俺たちの誇り」
ACLを戦う為に作られた歌だ。この歌を歌いながら、シドニー、上海、ジャワ島、全州
、城南、エスファハンを戦ってきた。今日が今年最後の試合だった。その最後の試合に
勝ち、世界3位の座をつかんだ。じつに素晴らしい戦いだった。涙は出ず、笑顔で選手
に拍手を送った。今日が最後のワシントンとネネに借別と感謝の拍手を送る。本当に良
い選手達だった。来年はまた新しいチームになって新しい戦いが始まる。来年はどんな
試合が見られるのだろうか。                          


●TOYOTA プレゼンツ FIFAクラブワールドカップ ジャパン 2007 3位決定戦    
12月16日(日)エトワール・サヘル 2-2(PK2-4) 浦和(16:00/横浜/53,363人)
得点:5' サブール・フレジュ(エトワール・サヘル)、35' ワシントン(浦和)、70'
ワシントン(浦和)、75' アミン・シェルミティ(エトワール・サヘル)      


●サッカーページに戻る