最終戦で負け


1点が取れず、目の前で鹿島に優勝を決められてしまった。悔しい!


12月5日(土):サイスタ:鹿島アントラーズ:Jリーグ34節


天気予報が最悪だった。12月だというのに、寒い雨が降るという。それも土砂降りの
雨になり、雷も鳴るようだ。暗い空に何となく気が乗らず、足取りも重くなる。カミさ
んに同行をキャンセルされ、今日は一人でのサイスタだ。浦和美園駅から歩き始めたら
雨が降ってきた。「やっぱりきたか・・ずっと雨なんだろうな・・」バッグから傘を出
してさし、下を向いて歩く。雨の鹿島戦といえば色々思い出すこともある。エメの同点
弾で鹿島ベンチが崩れ落ちた場面が思い出される。今日もそんなふうになればいい。 

延々とサイスタに続く傘の列。雨が降ってきた。 鹿島サポがぎっしりと詰めかけている。

サイスタに着いた。すぐに中に入り、コンコースを歩く。今日ばかりは外で試合を待つ
人は少ない。コンコースで傘をしまい、ポンチョを着る。今の席は、風の具合で雨が吹
き込むのでポンチョを着ていないとやばい。席に向かう。最終戦ということでチケット
は完売したはずだが、空席が目立つ。まあ、この天気では仕方ないだろう。寒くて大雨
の予報で、インフルエンザが大流行している訳だし。売店で温かいコーンスープを買っ
て席に着く。アウェーの鹿島サポがぎっしり詰まって大音量でコールしている。今日勝
てば優勝なのだから力の入り方も違うわけだ。                  

選手のアップが行われているピッチにも雨が降り続く。 ゴール裏もポンチョを着た人が詰まっている。雨の中の声援。

珍しくこちらのゴール裏もコールが始まっている。寒いせいか、鹿島と対抗しているの
か・・。徐々に強くなってくる雨の中、選手のアップが続いている。見ていると、達也
のシュートがまるで決まらない。こりゃあ、ちょっとやばいかも。アップする選手を見
て驚いたのは平川が先発のようだということ。平川先発で勝った試合はない。フィンケ
だって知らないはずはないのだが・・・何だか嫌な予感がする。ともあれ、選手のアッ
プが終了し、スタメンの発表がありと淡々と試合前の時間が過ぎる。寒いせいか、一人
のせいか、最終戦で、相手は鹿島だというのに、何だか自分の中で盛り上がってくるも
のがない。ポンチョの中に手を引っ込めた赤い亀のようになっている。       

スタメンの発表に湧くゴール裏。 試合前の整列。雨が強くなってきた。

選手が出てきてピッチに散り、キックオフの笛が鳴った。開始早々の失点は避けたかっ
たので、必死で声を出した。じっとしてると寒いし、声を出して手を叩いていたほうが
体も温まる。幸い前半10分を無事に超えた。何度か鋭いカウンターをくらう場面があ
った。開幕戦と同じような形で試合が進む。レッズがボールをキープし、攻めるのだが
途中でボールを取られてカウンターという展開。でも、全体的にはこちらに分があるよ
うに見えるのはひいき目なのかもしれない。そして、試合は膠着状態のまま0対0でハ
ーフタイムを迎えた。ハーフタイムで盛り上がったのは。川崎が柏に3対0で勝ってい
るという放送があった時だった。このまま引き分けでも鹿島の優勝はない。     

試合開始時、バックスタンドに出された旗。 後半開始前に声を掛け合う選手達。

後半開始。相変わらず鋭いカウンターが炸裂する鹿島。まあ、なんだ、実力の違いとい
うのがよく分かる試合だ。何せ、うちの選手は走り負けている。攻める速さが違うのだ
。嫌いなチームだが、そういう点は認めざるを得ない。入れられたかと思ったら、オフ
サイドだったり、シュートがポスト直撃だったり、首をすくめた場面が何度かあった。
うちの方は、闘莉王のフリーキックが正面だった以外、これといった場面がないのだか
ら仕方ない。攻めてはいるのだが、最後の決定的な場面が作れない。        

そんな展開が続いていて、それでも同点で押さえられるかなあ・・と思っていたら後半
21分の事だった。あれよあれよと言う間のカウンター。ゴール前で守るのは坪井一人
、相手は3人がゴール前になだれ込む。内田の早いアーリークロスが坪井の前に送られ
て、思わず目をつぶった瞬間の大歓声。「やられた・・・」勝利を確信した鹿島のサポ
ーターが大歓声で選手を称える。まるで試合が終わったかのようにベンチ前で抱き合う
関係者。悔しいが、この1点が取り返せるかどうかが今のレッズの問題なのだ。   

せめて同点で後半30分過ぎまで行ってくれれば、勝ち目もあったかもしれない。こう
なったら、闘莉王を上げて空中戦しか勝機はない。その後、何度もあったフリーキック
の場面に絶叫したのが、闘莉王の渾身ヘッドは無情にもキーパー正面。運がないのも実
力のうちだ。逆にカウンターで2点目を狙われる。ハラハラドキドキの20分間。しか
し、無情にも試合終了の笛が鳴り、目の前で鹿島の優勝が決まってしまった。    

それからの長い長い時間、鹿島の優勝セレモニーが行われている間、下を向き、あるい
は空中をじっとにらみ、唇を噛みしめて、我々は最終戦のセレモニーを待った。耐え難
きを耐え、忍び難きを忍び、艱難辛苦の1時間。こんなつらい時間はなかった。聞きた
くなくても入ってくる歓喜の歌声。歯がみして耐えるしかない。負けたのだから仕方な
い。じっと耐えるしかない。負けたんだから、何も言えない。それにしてもくやしい。

やっと苦痛の時間が終わり、選手がピッチに勢揃いした。今日がおそらく最後になるで
あろう闘莉王の姿を目に焼き付けるために来た。目は闘莉王をずっと追っていた。社長
の挨拶にブーイングが出たが、鹿島のセレモニーを見せつけられた悔しさに出てしまっ
たもののように感じた。悔しい気持ちを何かにぶつけるしかないサポーターの気持ちは
よく分かる。俺だって叫びたい気持ちだった。闘莉王は別れを告げるかのようにじっと
ゴール裏を見つめている。そして、選手の一周が始まる。いつもなら微笑ましく感じる
最後のセレモニーだが、大雨の中子どもを連れて歩くのは疑問を感じたし、じっと待っ
ていた間に気持ちもエネルギーも冷めてしまったようで、早く終わって欲しいような気
分になっていた。                               

最終戦セレモニーで整列する選手達。 ゴール裏に挨拶する選手と雨に濡れたゴール裏サポーター。

一度回り終わった闘莉王が呼びかけに応えて、再度ゴール裏に来て頭を下げた。感謝の
気持ちを伝えたかったが「闘莉王ーー」と叫ぶのが精一杯だった。         

サイスタからの帰り道は最悪だった。混雑が激しく、雨も激しく、負け試合にはふさわ
しい落ち込みっぷりで、靴から足から腕から背中からびしょ濡れになってしまった。最
終戦で鹿島相手に完敗。この悔しさは来年絶対晴らしてやる。そんな気持ちも奥に湧い
ては来るが、とにかく、打ちのめされた一日だった。でも、これは絶対に忘れてはいけ
ない『負け』だ。この悔しさを忘れてはいけない。                


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