ワールドカップアジア最終予選


3月30日、日本対バーレーンの試合を
サイスタで観戦した。


3/30:ワールドカップアジア最終予選:日本対バーレーン戦:サイタマスタジアム2002

会社を2時に早退して帰宅。テレビでは北朝鮮対イランの試合をやっているが、これか
らサイスタに行くのでゆっくり見ている時間は無い。やっと手に入れた観戦チケットは
カテゴリー5で、ゴール裏の自由席なのだ。早く行かないと席が無くなってしまう。急
いで着替える。この時期で夜7時半キックオフということは、かなり寒くなるはずだ。
しっかりん着込んでカミさんに駅まで送ってもらい、気忙しく観戦に向かう。    

浦和美園駅からサイスタに続く歩き慣れた道。 ところどころに屋台が出ていて、温かそうな湯気を出している。

浦和美園駅に着いたのが5時。キックオフまで2時間半あるが、果たしてゴール裏は空
いているのか?スタジアムまで2キロの道を走るように歩く。途中にある屋台村も通過
し、焼きそばも弁当もビールも無視して急ぐ。人の波がうねるように続き、その間を縫
うように急ぐ。スタジアムに到着し、荷物チェックも早々に、入り口に飛び込む。アウ
ェーゴール裏の自由席はすでにいっぱいだったが35段の中程に空席発見!急いでそこ
を確保して、荷物を置き、席に座ってやっとひと安心。ああ・・疲れた。      

サイスタの入り口。ゲートは行列が出来ていた。 席に座ってほっと一息。ゴールが近い席だった。

ゴールのほぼ真後ろの席で、ピッチが良く見渡せる席だった。いつもは指定席なのでテ
レビで見るのと同じ目線になるのだが、今日はゴール裏から見るので前後関係が分かり
にくそうだ。逆にサイドへの展開などは分かりやすくなるので面白そうだ。周囲は若い
人ばかりで、何だか浮き上がっているようだ。代表のサポーターは年々若くなっている
ようだが、オールドファンはどこに行ってしまったのだろうか・・・他国のサポーター
と比べて日本のサポーターが異常に若いという事が良いことなのか、悪いことなのか分
からないが、おじさんサポはちょっと肩身が狭い。                

試合開始1時間前、かなり寒くなってきた。後ろに座っているカップルが寒い寒いと連
呼している。見ると、トレーナーの上に長袖のレプリカシャツを着ているだけ。まった
く、サイスタの夜をなめるんじゃないよ。そんな薄着で大丈夫なはずはないだろうが。
それにしても、いつから代表戦はデートコースになってしまったのだろうか?これはワ
ールドカップに行けるかどうかの真剣勝負の場なのだが・・・カップルのまるでトンチ
ンカンなサッカーの話題を聞いていると暗澹たる気分になってくる。        

楢崎が現れてアップに入る。ゴール裏は大歓声が上がった。 選手のアップが軽快に続いている。

ピッチに楢崎が現れ、向こう側のゴールでアップをはじめるた。やっと声を出せた。こ
れから戦いに入る準備が始まる。我々も徐々に気分が盛り上がってきた。「下、香取慎
吾だ1」という声がして周辺が騒がしくなるが、そんなものには興味はない。テレビも
余計なことをしてくれるものだ。そんな事をやるからバレーがダメになったのを見てい
るだろうに、まったく。真剣勝負を変に茶化して欲しくない。           

選手のアップが始まった。目の前にはバーレーンの選手が黙々とランニングをしている
。みんな背が高い。ジーコはセットプレーに活路を見いだすような事を言っていたが、
背の高さではっきり負ける相手となると、これは苦戦しそうだ。バーレーンの応援団は
メインの中央に約20人くらいが赤い旗を振っている。人数は少なくとも選手には大き
な励みになっているに違いない。満員のアウェースタジアムに翻る自国の国旗。自らの
アイデンティティをかけた戦いが今始まろうとしている。             

選手入場。一斉にブルーパネルが掲げられた。 まるで波のようなブルーのさざめき。キラキラと綺麗だ。

セレモニーが始まった。バーレーン国歌は日本人の歌手が歌ったのだが、これにはちょ
っと疑問が湧いた。例えば、イランで「君が代」をイラン人歌手が歌うとしたら、何か
違和感を感じないだろうか?バーレーン国歌はバーレーンの人に歌ってもらうべきなの
ではないだろうか。何かバカにしてないか??そのくらい相手に礼を尽くせよ。   
もっとも、森山良子の君が代独唱に帽子を取る者がいないという日本サポーターも何だ
かなあ・・という状態なので、さほど国歌を重要視してないのかな。だったら演奏だけ
にすればいいのに。                              

7時半、予定通りキックオフ。ゴール裏は総立ちでコールをする。赤いユニフォームの
バーレーン選手が輝くように見える。レッズサポとしては、つい赤いチームを目で追っ
てしまうのだが、今日は青いチームを応援しなくてはならない。今日の赤は敵なのだ。

後方にあるオーロラビジョン方向のサポーター。 バックスタンド方向はこんな感じ。

バーレーンはどうやら守りを固めてカウンターという北朝鮮戦と同じ戦法のようだ。日
本のパスは中盤で思うように繋がり、バーレーン陣内での攻防に終始している。日本が
明らかに押している。こちらのゴールに日本が攻めてくる形なので、ボールの動きが良
く分かり、パスが通るたびに大歓声が上がる。今日はヒデが素晴らしい。守りも攻めも
じつに生き生きしている。のびのびプレーしているのがハッキリ分かる。反面、俊介は
何だか窮屈そうだ。居場所がよく分かっていないのか、フォワードと位置がかぶる場面
が多い。サイドはほとんど使われていない。サントスが何をためらっているのか、前に
出ようとしない。加地も中途半端な飛び出しが多く、味方との位置がつかめていない。

前半20分くらいの日本の攻撃はすごかった。右から左から俊介のフリーキックがバー
レーンゴールに向かって雨霰のように降り注いだ。しかし、ゴール裏から見ていて、得
点の予感のようなものがまったく感じられなかった。バーレーン選手は背が高く、確実
にボールを跳ね返す技術は相当なものだった。良く鍛えられているわ。こりゃ、ちょっ
とやそっとじゃ無理だ。ヘタしたらカウンター1発で沈むぞ・・・・嫌な予感が頭に浮
かぶのを振り払うかのように声を出して手を叩く。今はこれしか出来る事は無い。  

6万人が固唾をのんで見守る試合だ。 ハーフタイムはトイレに行く人でごった返していた。

結局、攻めに攻めた前半は点が入らなかった。バーレーンの思うつぼに入り込んでしま
ったようだ。バーレーンは作戦通りだっただろう。日本はジーコがどう手を打つのか。
ハーフタイムにどんな指示が出されるのか。スタンドでポットの熱いほうじ茶を飲む。
温かさが喉を通って体に入っていく。立ち続けて痛い足をさすりながらピッチを睨む。

後半のキックオフ。サントスがタッチラインぎりぎりに立っている。これは何か言われ
たな、と思うまもなくボールがサントスに出て、そこから怒濤の攻めが始まった。前半
とまったく違うサントスになってどんどん攻める。これはいけるかも・・。得点の予感
は何となく全体の動きで感じるものだが、後半の両サイドは明らかに動きが変わった。
ドリブル、フェイント、クロスと積極的に攻め上がる。カウンターが心配なのだが、バ
ーレーンもこちらに合わせたかのようなロングボールだけの攻めになって、これは中澤
が残らず跳ね返した。やはりバーレーンも核になる選手がいなくて攻めに苦労している
ようだ。風は日本に向かって吹いてきた。                    

得点は反対側のゴールだったので、何が何だか分からなかった。混戦になって、何だか
分からないうちに大歓声でゴールと分かった。オーロラビジョンで確認したらオウンゴ
ールだった。飛び上がって大喜びするゴール裏。誰彼となくハイタッチする。この時ば
かりは一体だ。「さあ、これからだ!」「もう1点!もう1点!」声が、コールが一層
激しくなった。                                

得点した時はこんな感じ。 撮っている本人も飛び跳ねているのでピンボケ。

しかし、ここから反撃してくるバーレーン選手の動きが激しくなった。こちらに向かっ
て赤い選手が突進してくるたびに悲鳴が上がる。心臓の鼓動が激しくなってくる。「慎
重にいけ!」「クリアーしろ!」「そこで詰めろ!」叫びと悲鳴が交差して騒然となっ
ている。時間が残り少なくなるにつれ心臓が締め付けられるような気分になってくる。

あと10分・・・あと5分・・あと2分・・「ええっ、ロスタイム4分もあるのかよ!
・・・」「頼むよ、このままいってくれ」目の前のゴールに向かって何度かシュートが
飛んできて、楢崎がそれをキャッチする。その度に悲鳴が上がる。そして主審の長い笛
が鳴って、両手が上がった。「勝ったぁ・・・」「ふう・・」いやはや長く痺れるロス
タイムだった。席に腰を下ろして深い溜息をついた。ああ、足が痛い。       

やっと試合終了。長いロスタイムだった。

いやあ、勝って良かった。これで先が見えてきた。                



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