※※ 森林インストラクターへの道 ※※ 2
1月のコナラ林再生ボランティア
2000. 1. 16
1月16日(日)所沢市下富の雑木林でコナラ林再生ボランティア作業に参加した。参
加者は9名。森林インストラクターの大森先生が主催する会で、森林インストラクター
を目指す人が集まる作業なのだが、今回は何と9名中5名が森林インストラクターの資
格を持っているという高レベルな集まりとなった。
昨年の試験に合格した人が3人、4科目のうち3科目まで合格した人が1人、2人は先
生という状態で、この会の試験合格率は飛び抜けて高いようだ。今回の作業が2回目の
私は、これから森林インストラクターを目指して勉強するのだが、ありがたいような、
プレッシャーのような複雑な気分だ。
挨拶を済ませて準備体操を始める。手首、足首、肩、首を柔らかくして足と腕のストレ
ッチをする。林業作業はケガが多いのだが、準備体操をする事でかなりのケガが予防で
きると言われている。特に寒い時期、山の作業の前には準備運動が欠かせない。焚き火
を真ん中にして全員輪になって体操をする。
最初の作業は炭出し。前回(私は出ていなかった。)伏せ焼きにした炭を土の中から掘
り出す作業だ。ドラム缶の炭焼き窯を地中に埋めて炭を焼いてあったのだ。スコップを
使って土を掘り起こし、ドラム缶を引きずり出すのだが、深く埋めてあるので大変だっ
た。ドラム缶を使った炭焼きはよく話を聞くので、炭が本当に焼けているのかどうか興
味津々だった。引きずり出された2個のドラム缶の中から炭が出される。多少白く燃え
た部分もあるがしっかりした炭が沢山出てきた。大森先生も「これなら上出来ですね」
とニッコリ笑っている。「上出来、上出来。」他の人の声も弾んでいる。
ドラム缶を掘り出した穴を元のように埋める。これもスコップによる手作業だから大変
で、汗が噴き出してくる。けっこう重労働だったが、何とか平らにして穴を掘る前の状
態に戻した。林業は体力勝負なのだ、と自分に言い聞かせる。
次はヒノキの伐倒作業。大森先生の講義と伐倒作業が同時に進む。倒す方向にコナラの
稚樹があり、10メートルくらいのヒノキをコナラの稚樹と稚樹の間にピタリと正確に
倒さなければならない。その方法を勉強する。勉強といっても基本は同じなので、一つ
一つの作業を正確にやるという事だ。
1、受け口を正確に切る。倒す方向に対して直角にノコギリを入れ、水平に幹の4分の
1まで切り込む。60度の角度で上から斜めにノコギリを引き、最後の接点がピタ
リと合うように切り込む。水平、斜め、どちらが深く入ってもツルが効かず、裂け
の原因となるので注意が必要。
2、ロープをなるべく高い位置にかけ、倒す方向に一人が引く。
3、追い口を正確に切る。受け口の反対側から3分の1の高さで水平にノコギリを入れ
ていく。受け口の切り線と平行になるようにひたすらノコギリを引く。
4、木が動きそうになったら、ノコギリを止め、ロープを引く。
5、木が動き出したら全ての人は木から2メートル以上遠くへ逃げる。近くの木の陰に
逃げるのが安全。特にロープを引いている人は一目散に遠くに逃げること。
以上のような手順で伐倒を行う。もちろん、安全第一で作業する。実際に倒れた木は狙
った場所にピタリと倒れてコナラの稚樹を潰す事は無かった。
その後は各自倒す木を決めて一人で作業する。私はエゴの木と太いリョウブを倒した。
エゴの木は胸高直径15センチくらいの太さだったので楽に倒せたのだが、リョウブは
胸高直径25センチくらいの太さだったので大変だった。2本とも思った方向に倒せた
ので大満足。チェーンソーを使えばすぐに切れるのだが、安全研修を受けていない私は
ここではチェーンソーを使えない。手引きで切るのは大変だが、一回一回ノコギリを引
いて切ることが、ここまで育った木の供養になるような気がしている。
午後はヒノキを1本倒した。その後、ワンタッチラダーを使ってヒノキの枝打ちをさせ
てもらった。この器具はアルミ製のステップで、幹に直接取り付けるものだ。これと脚
立を使うと8メートルくらいまで枝打ちが出来るという優れものだ。足場が安定してと
ても作業がやりやすい。
枝打ちはノコギリを使う。細い枝は幹に沿って一気に落とすが、太い枝は一度30セン
チくらい残して切り落とし、再度幹に沿ってきれいに切り落とす方法を取る。こうすれ
ば枝裂けによる幹への傷を防ぐことが出来る。片手でノコギリを引くのはとても大変な
作業で、安全帯をつけてきちんと足場を固めた上でノコギリを使うようにしたい。不安
定なかっこうで木にしがみついてノコギリを使うのは疲れるだけだ。支えている腕の上
の枝を切ってはいけないとか、ゴミが入らないようにめがねやゴーグルの着用など基本
的な事を教わった。終わった時、肩と腕がパンパンになっていた。