※※ 森林インストラクターへの道 ※※ 39
イベント時の天候予測の難しさ
2001. 11. 10
11月10日(土)瀬音の森で行った秩父演習林森林勉強会でのこと、イベント時の
天候予測の難しさをひしひしと実感したので、その時の事を書いてみたい。この日の
秩父地方の天気予報は「午前中雨で午後は上がり徐々に晴れ間が見えてくる」という
ものだった。参加者は子どもも含めて32名。集合は9時〜9時半に川又学生宿舎前
と決めてあった。
東京から秩父に入る頃には雨も上がり、空も明るくなっていた。西武秩父駅で電車参
加者を拾い8時半に川又を目指して出発。若干遅れる人が携帯に連絡を入れてきたく
らいで、ほぼ予定通りに進行していた。川又にも予定通り到着して、集合した参加者
に諸注意を連絡し、合羽を着るように指示しておいた。私自身も合羽の上着を着込ん
だ。空は高く曇り空から雨がポツリポツリと落ちてくる程度だったので、このまま雨
が上がるような気配だった。
車に分乗して観察に出発。駐車場から森林軌道に向けて入川沿いを歩く。ここから紅
葉の観察が始まりカエデを中心とした解説が続けられていた。私は列の中ほどで全体
のバランスを見ながら、遅れている人に解説をしたりしていた。このころから雨が間
断なく降り始め合羽の上着を濡らしていた。雨の中の観察もそれなりに意味のあるも
のなのだが、初めて参加する人にとってはあまり気分の良いものではない。
我々の集団とは別の集団が後ろから来て追い抜いていった。40人から50人の老若
男女が入り交じった集団で、奥秩父紅葉ツアーの団体だという。同じ方向に向かって
いるのだから、目指すところも同じだろう。この雨空でもツアーは中止しないのだな
あと思っていた。雨足は徐々に強くなってきていた。時計は11時を回っていた。
子どもと女性参加者がいるし、初めて参加した人もいる。気温も下がってきた。天気
予報から午前中で上がるものと思っていた雨が徐々に強くなってきている。このまま
上流に進んでも大勢が雨宿り出来る場所もない。せめて昼食は雨の当たらないところ
で食べたいものだ、と色々考えた結果リーダー3人で協議して撤収を決めた。幸い観
察しながらのゆっくりした歩調だったため、それほど奥に入っておらず、スムーズに
戻れたのも幸いした。車に戻る頃には雨が本降りになりぐしょぐしょになってしまっ
た。上流に行った集団のその後がとても気になった。
天気予報はあくまで予報であり、それにすべてをゆだねて行動を決めるのは危険だと
思う。結局この日は夕方まで雨が降り続いた。我々は学生宿舎宿泊が決まっていたか
ら、宿舎に戻れば暖かい場所が確保してあった。ツアーの場合はどうだろうか。着替
えはあっただろうか、子どもは風邪を引かなかっただろうか、引率者はどんな気持ち
で先頭を歩いていたのだろうか・・・いろいろ考えさせられた。
企画を立てる場合、雨天時のエスケープルートを考えておかなければならないとはよ
く言われることである。今回は午後の空いた時間に「日本で一番美しい森」のビデオ
を鑑賞した。こういう時の為に持っていたものである。野外活動の場合の雨天の過ご
し方にはどんなものがあるだろうか。雨宿りする場所の確保やルートの短縮はもちろ
んのこと健康管理まで含めた難しい判断を迫られることになりそうだ。
森林インストラクターとして観察会を実施すると、行動のすべてを自分で判断しなく
てはならなくなる。イベント時の天気予報は大切だ。そして、現場で予測し判断する
ことはそれ以上に大変で重要なことだと実感した勉強会だった。