紀伊半島一周・高野山から吉野山へ


高野山奥の院を参拝してから吉野山へと走る。



 朝6時から宿坊の勤行に参加した。雪が降っている朝の本堂は本当に寒かった。ストー
ブはあるのだが、ストーブの周りは外国人に占領されて近づけない。寒さに耐える勤行、
これも修行のひとつだとあきらめる。勤行が終わり、みんなで眺める雪で真っ白になった
庭が美しかった。白い庭を眺めながら入れ立てのコーヒーが飲めたのは嬉しかった。  

朝起きたら雪景色だった。 寒い勤行を終えて雪の庭を観賞する。


とにかく寒かった。参加者もブルブル。 そんな中、廊下に正座して庭を観賞するカミさん。


兵の屋根にも雪が積もり、美しい風景になった。 本堂内はストーブが焚かれて暖かい。


雪の庭を見ながら歩き回る。 こちらもきれいな庭。


この部屋でコーヒーを頂いた。 福智院のお札を頂いた。家内安全と心願成就を祈るもの。

 朝食は部屋で精進料理。簡素だがおいしい精進料理は、お坊さんではなくて調理師さん
が作っているとのこと。ひとつひとつを味わって食べる。自然に感謝の気持ちがわいてく
るから不思議なものだ。                             
 9時にチェックアウトして奥の院の参拝に向かう。駐車場のレガシィが雪に埋まってい
た。雪を払い落としてエンジンをかける。寒かったので一発で掛かるかしんぱいしていた
のだが、一発でかかったのでホッとした。寒い日にバッテリーが上がることもあるので、
心配だったが杞憂だった。レガシィは本当によく走ってくれる。車で奥の院へと向かう。
道路脇の駐車場に車を停め、歩いて一の橋口へと向かう。              

朝食も部屋で精進料理。 寒かったけどおいしい精進料理だった。


福智院も雪に飾られていた。 高野山は寒いとあらためて思った。

 雪が残った奥の院は寒かった。杉の巨木が林立する墓所には戦国武将の墓から歴代将軍
、戦没者、政治家、企業家などなどの墓が所狭しと並んでいる。巨木に囲まれた聖地は時
間と歴史がないまぜになった不思議な空間だった。                 
 今も弘法大師が住んでいるという燈籠堂は厳粛な中で護摩が焚かれていた。護摩木を求
め、心願成就の願いを記入する。明日の朝に焚きあげていただけるとのこと。1200年
続くという歴史が目の前でも展開していることの不思議さと自然さに驚かされる。   

奥の院の参拝は一の橋口から入る。 伊達家の墓所。


加賀前田家墓所。 この巨木が林になってどこまでも続く。


薩摩島津家墓所。 どなたの像かわからないが、ヨーダに似ていたので…


徳川吉宗墓所。 空師が巨木の枝打ちをやっていた。管理も命がけだ。


どこまでも続く墓所の道。 杉の根元にも小さな仏様がいらっしゃる。


空気を楽しみながらの参拝。 弘法大師が腰掛けた石という伝説の場所。


火の入った燈籠が並ぶ。厳粛な道。 中の橋は雪で真っ白だった。


巨杉が並ぶ参道にて。 杉林の大きさがわかるカミさん。


休憩所で暖を取る。 燈籠の道。


化粧が上手になるという化粧地蔵。口紅を塗って参拝。 日射しが差し込んできた。これだけで暖かく感じる。


巨杉の道を歩く。 石田三成墓所。


きれいな観音像が立っていた。 一の橋出口にて。これにて奥の院参拝終了。

 何だかいろいろ考えさせられた奥の院参拝を終え、一路吉野山を目指す。途中のかじか
ドライブインで「柿の葉寿司」を求め、おでんの牛すじを一本食べる。肉を食べて高野山
から下りてきた事を体に実感させる。燈籠堂で手にすり込んだお香の香りが消えない。高
野山の香りを身にまとったままのドライブになった。                

かじかドライブイン。かじかは魚じゃなくてカエルの方だった。 一土産物コーナーは金山寺味噌などが並ぶ。


名物は「柿の葉ずし」と大きな看板が出ている。 柿の葉ずしの値段表。サバより椎茸の方が高い!


真っ黒い汁に浸かったおでんを発見。 牛すじ一本100円なり。高野山から下りてすぐこれを食べる。


山を下って町に下りて来た。 高野山に向かう南海電車と交差する。

 昼になったので、途中のローソンで休憩がてら柿の葉寿司を食べる。鯖と椎茸を3個ず
つで700円。柔らかい酢飯がおいしかった。柿の葉の香りは特になく、防腐効果を求めて
のものなのだと知る。あちこちに柿の葉寿司の看板があるので、名店で食べたらさぞ旨い
ものなのだろう。目の前に流れるのは吉野川。鮎の釣れる名川だ。いよいよ吉野山が近く
なってきた。                                  

ドライブインで買った「柿の葉ずし」を開く。 これがサバ。柔らかくて旨い。


これが椎茸。食べてみて椎茸の方がサバより高いことがわかった。 外が寒かったので車の中で食べている。


目の前は吉野川。この上流にはアマゴやイワナがいる。 寒くなければ川べりで柿の葉ずしを食べたかった。

 吉野山に到着したが、駐車場がなくて困った。道は細く車がすれ違うことも難しい。上
へ上へと走ったらいつもまにか奥千本の看板まで来てしまった。これは来すぎたと細い道
を引き返し、前千本の駐車場に車を停めて、歩いて金峯山寺に向かう。        
 吉野は基本的に歩く観光地だ。見渡す山々は桜で埋まっている。残念ながらまだ桜は咲
いていないが、咲いた姿を想像しながら歩く。これはこれで楽しい。桜の季節はさぞ見事
だろうが、この細い道に何十万人もの人が押しかける事を考えるとぞっとする。絶対車で
来ない方がいい。一生に一度でいいから吉野の桜を見てみたいと思っていたが、こうして
現地に来てみると、車は使えないし宿は少ないしでいろいろ考えてしまった。     

吉野山の地図を見て、勉強する。 道ばたのお地蔵様に参拝。


坂道を歩く。周りはぜんぶヤマザクラ。 猿引坂の石碑。遠景もぜんぶヤマザクラ。


蔵王権現のポスターを見て、満開の吉野山を想像する。 この山全部ヤマザクラ。満開の時はさぞやと思う。


結界の橋。 桜ならぬ桃の花が咲いていた。


土産物屋が並ぶ狭い参道。 蔵王権現への鳥居がある。ここをくぐって参拝へ。


金峯山寺の仁王門は現在工事中。 網の向こうに仁王様。すごい迫力だ。

 金峯山寺の蔵王堂は圧巻のお堂だった。残念ながら蔵王権現のお姿は拝観できなかった
が、堂内の様々な仏像が時代を感じさせてくれた。また、巨大な柱に手を触れるだけでも
歴史を感じる事ができた。役行者(えんのぎょうじゃ)が開祖という修験の聖地。南北朝
時代には南朝の御所だった場所。後醍醐天皇の怨念を静めている場所。豊臣秀吉と利休の
花見の宴。などなど想像するのも難しい歴史がここにある。             
 そんな場所に普通に生活している人がいて、明るい土産物屋のおばちゃんがいる。観光
地として見るのか、歴史の生きた教科書として見るのか……じつに奥が深い。     

金峯山寺蔵王堂の前に立つ。やっとここに来る事ができた。 役行者像。金峯山寺の開祖と言われている。


堂内の柱が素晴らしかった。写真は小さなお堂。 外の柱も存在感がものすごい。触っていると時空を超える。


ご朱印を頂いて外に出る。 金峯山寺・蔵王堂……素晴らしい場所だった。


陽気なおばちゃんの声に誘われてお土産物を買う。 吉野葛とお漬け物を買った。奈良漬けは旨そうだった。

 今日は吉野温泉元湯に宿泊する。さすがに疲れが溜まっているので、ぬるめの温泉にゆ
っくり浸かって疲れをほぐす予定。周りに何もない一軒家なので、夕食もここで食べるこ
とにした。さてどんな夕食になるか楽しみだ。                   
 下千本の七曲がりを下って温泉谷に入る。この奥に宿がある。道がわかりにくかったが
問題なく宿に到着してチェックイン。若い当主がいろいろ説明してくれた。      
 すぐに温泉に入る。どうやら貸し切りのようだった。温泉は吉野の隠し湯と呼ばれてい
る赤みを帯びた鉄炭酸泉でぬるめの湯が掛け流しになっている。ぬるめなの湯なので時間
をかけてゆっくりと暖まる。温泉を独占する贅沢な時間だ。             

今日の宿「吉野温泉元湯」に到着。 歴史を感じさせる玄関。


シンプルで落ち着いた部屋。 窓の外にはヤマザクラがいっぱい。ここも桜の季節はすごいぞ。


貸し切り状態だったので写真を撮る。 ぬるめの温泉でゆっくりと暖まる。

 夕食は食事処で食べる。食事処は島崎藤村が滞在した部屋とのこと。古い屏風に時代を
感じる。残念だったのは部屋が寒くて、料理を味わうのに気持ちが行かなかったこと。浴
衣だったのでフスマを開け閉めするごとに寒い風が入ってきて冷える。椅子の上にあぐら
をかいて何とか寒さをしのぐ。こんな状態だから暖かい料理はみなおいしかった。   
 それにしてもおいしいのだが量が多くて食べきれない。お腹は満腹状態、苦しくなって
しまった。やはり旅館の夕食を食べるのは無理なようだ。こんなにおいしいのに、最後は
ご飯を遠慮するありさま。じつに申し訳なく困ったことだ。             

夕飯は食事処で食べる。これが前菜。 イワナの塩焼き。


足元が寒く、椅子の上に正座しているカミさん。 椅子の上にあぐらをかいて酒を飲む。八咫烏という酒が旨かった。


鯉とキクラゲを醤油のジュレで食べる。 こうやって全部混ぜて食べる。じつに美味。


炊き合わせは素材の味がくっきりと出てじつに旨かった。 部屋は島崎藤村が宿泊したという由緒ある部屋だった。


天ぷらはひとくちサイズ。 吉野葛が入ったツルツルのうどん。温かさが嬉しかった。


茶碗蒸し。 牛鍋。


お腹いっぱいでご飯は半分にしてもらった。 デザートはカミさんに食べてもらった。



旅いろいろトップへ戻る
kurooの部屋トップへ戻る