新緑の日光へ行く


新緑の日光で社寺参拝して中禅寺温泉に泊まり、足尾銅山へ



 5月13日と14日の二日間、新緑の日光を旅してきた。             
 カミさんの御朱印集めの一環で、まずは宇都宮市内中央にある二荒山神社(ふたあらや
まじんじゃ)に向かう。日光東照宮の横にある日光二荒山神社(ふたらさんじんじゃ)と
は別の神社で、下野国(しもつけのくに)一宮となっている由緒正しい神社だ。県庁の隣
という市街中心部にあるので駐車場の入り口がわからずウロウロしてしまった。    
 駐車場から入るので大鳥居は通らずいきなり境内に入ってしまった。長い階段を見下ろ
すと大鳥居が下に見え、その先には宇都宮市街のビル群が広がっていた。参拝者が多く、
市民から愛されている神社だとわかる。                      

宇都宮明神・二荒山神社(ふたあらやまじんじゃ)の門を入る。 市民から崇敬を受ける神社の拝殿。


三門から大鳥居を見下ろす。背後に広がる宇都宮市街。 たくましい狛犬。勇壮な姿だ。

 ご祭神は崇神天皇の皇子、豊城入彦命(とよきいりひこのみこと)で、四道将軍として
下毛野君・上毛野君の始祖となった。もとは宇都宮明神といい、源頼朝の崇敬を受け、の
ちに宇都宮氏の庇護を受けた。社殿は戊辰戦争の戦火で焼けてしまい、明治10年に再建
されたもの。                                  
 神妙に参拝し、御朱印をいただく。奉納された真剣が三振り展示されていて目を奪われ
た。真剣は魔を払うと言われているが、その輝きは見るものを魅了する。       

 宇都宮市内から日光を目指す。新緑が輝く高速道路を走るのは実に気持ちいい。制限速
度でゆっくり景色を見ながら走る。ブンブンと抜いてゆく車は何を急いでいるのだろうか
。この鮮やかな緑を楽しまないなんてもったいないことだ。雄大な男体山の上には雲がか
かっている。                                  
 神橋の信号を右折し、川沿いの道を上流に走る。鮮やかな赤いお堂が目に止まったので
車を停める。石畳の小道があり、「歴史探索の道」と表示があった。建物は重要文化財の
開山堂で、裏に勝道上人のお墓があると書いてあった。               

赤いヤマツツジの花がきれいだった。 開山堂と観音堂の朱色が鮮やかだった。


観音堂には大量の香車の駒が奉納されていた。 日光を開山した勝道上人のお墓。

 裏にまわって驚いた。勝道上人のお墓はあったのだが、その奥の崖に異様な光景を見て
しまった。崩れた崖下に岩の仏様が6体並んで佇んでいる。その下半身が土に埋もれた状
態で・・・。異様な光景に吸い寄せられるように近づいて案内の看板を見る。「仏岩」と
書かれた看板にその由来が書かれていた。地震で崩れ、そのまま埋まってしまったという
仏様。石仏の周辺には大小の小石の塚が作られていて、賽の河原のような雰囲気。異様さ
はその全体が醸し出している光景だった。石仏一体ごとに手を合わせ、丁寧に参拝を済ま
せ塚に小石を積み上げる。後ろ髪を引かれるような気分で仏岩を後にした。      

仏岩が見えた時のゾワッとした気持ちは何と表現したら・・ 下半身が土に埋もれた石仏が6体。これは一体どうして・・


カミさんも写真を撮りまくる。 上品なお顔の仏様。梵天か帝釈天か。


太い杉の横で記念写真。 カミさんも。

 ここからは徒歩で石畳の道を登る。途中から「滝尾道」の標識石があり、滝尾神社への
道と知る。よく踏み込まれた丸い石畳はまるで熊野古道のような雰囲気を作り出している
。信仰の道、巡礼の道でもあったのだろう。ツルツルになった石畳の歩道だ。     

滝尾道の表示石柱。長い時代を感じさせる。 北野神社に参拝する。

 途中に北野神社があったので参拝する。学問の神様に文章の上達を記念してのお参りだ
った。さてさて学問の神様は、このだらしない文章に乗り移って素晴らしい文章に変えて
くれる・・だろうか。ご霊験やいかに。                      

北野神社横にあった石仏三体。 写真を撮るカミさん。

 周辺の杉の巨木が素晴らしい。樹齢五百年以上のものが多いと看板に書いてあった。東
照宮の前に本殿があったのが瀧野神社の場所らしい。だからこそのこの道なのだ。遠い昔
人々はこの道を通って滝尾神社に通っていたのだ。今は日本人よりも外国人の方が多いと
思われるような古道で、多くの外国人とすれ違った。にぎやかな日光とは別の静寂の世界
がここにあった。                                

熊野古道のような石畳。 歩いているところを後ろから撮られた。


太い杉の横でパチリ。この古道には巨大な杉並木がある。 石段も風情がある。信仰の道だ。

 小一時間歩いて疲れが出るくらいになって、やっと滝尾神社に到着した。神社横に川が
流れ、綺麗な滝がある。あの滝が命名の由来なのだろう。拝殿は一から順番に八箇所ある
らしい。順番通りに回るため、滝の見学は後にして長い階段を登る。         
 滝尾神社は日光二荒山神社の別宮。本宮・新宮とともに日光三社権現の一つ。日光女峰
山の女神・田心姫命(たごころひめのみこと)を祀っている。            

やっと到着した滝尾神社の看板。 見上げると神社の階段が上に続いている。


運試しの鳥居。鳥居上の穴に小石を投げ、通ると願いが叶う。 境内にも石畳の道が続く。

 三門で一礼し、拝殿の前に進む。人が少ないのでゆっくりと参拝できるのが嬉しい。三
本のご神木、女峰山への遥拝、稲荷神社の参拝、酒の泉、子宝の石などをぐるりと回って
参拝し、境内の空気を楽しむ。静寂な境内を守るように杉の巨木が林立し、すごい景色を
作っている。あまりにも杉が太すぎて人間の縮尺とのバランスがおかしく見える。思わず
写真を撮りまくる。                               

拝殿に参拝する。 鳥居は女峰山への遥拝所。御神木の巨大な杉が三本立つ。


巨大な杉の前で記念写真。人間がゴミのようだ。 神社入り口の滝を見学参拝。

 境内を出て階段を下り、滝を見学する。綺麗な水で口を濯ぎ、滝の写真を撮る。神社の
外に出ると車止めのところに小さい神社があった。柱の表示を見ると、ここが滝尾高徳水
神社だった。早速参拝し、鈴を鳴らして手を合わせる。この小さな神社にも御朱印がある
。滝尾神社周辺の御朱印は日光二荒山神社の社務所でいただくことができる。     

滝の写真を撮るカミさん。 滝尾高徳水神社に参拝する。

 下り坂は石畳の道ではなく、舗装された車道を歩く。山の緑が鮮やかでミズキの白い花
やウワミズザクラの白い花が綺麗だった。タニウツギの白い花はむせ返るような香りを運
んでくる。この時期の山は緑と白い花のコントラストがいい。薫風に葉ずれのざわめきを
聞き、歩きながら全身で緑を楽しむ。                       

 車に戻って東照宮の駐車場に向かう。駐車場代は六百円、出るときに支払うスタイル。
階段近くに車を停め、東照宮の境内に入る。宝物殿の綺麗なトイレを借り、お腹が空いて
いたので一番近くの店「きしの」に入って昼にする。ここは前回も使ったところで、湯葉
そばや湯葉うどんが売りだ。湯葉うどんセットを頼み、席に着く。席は窓際で庭が見え、
つくばいの苔とモミジの緑が綺麗だった。                     
 カミさんは湯葉そばを頼んだ。時間が遅かったので席も空いていて快適な食事を楽しん
だ。湯葉うどんセットのご飯に乗っていた唐辛子味噌がピリリと旨かった。      

「きしの」の庭。つくばいの緑が美しい。 遅いお昼に湯葉うどんセットを食べる。


カミさんは湯葉そばを食べる。 二荒山神社への参道を歩く。ヤマツツジの赤がきれいだ。

 参道の緑を楽しみながらゆっくりと歩く。ヤマツツジの赤が逆光に映えて美しい。今回
の目的地はこの上の日光二荒山神社なので、東照宮には寄らない。二荒山神社の鳥居で一
礼し、参道を登る。外国人の一団がミツマタの花を見ながらなにやら説明を受けている。
日光は本当に外国人が多い。                           
 二荒山神社に参拝し、すぐに隣の神苑に向かう。この神苑が今回の旅の目的地だった。
まずは日枝神社に参拝する。ここは健康の守護神なので丁寧に膝の安寧を祈願する。次は
朋友神社(みともじんじゃ)に参拝。ここは知恵の神様。日光大黒殿に参拝し、巨大な奉
納真剣「太郎丸」に驚愕する。大黒殿は大黒様をまつってあり、様々な大黒様がひしめい
ていた。                                    

大鳥居の前で団体客が多い。 神苑に入るとコウヤマキの御神木が迎えてくれた。

 樹齢千年の高野槙があった。巨木は老境に入っているのか樹勢が弱い。千年も生きてい
ればこその風格に思わず手を合わせる。神の泉には滝尾神社から「酒の泉」が引かれてい
て飲めるようになっていた。この水で酒を醸すと素晴らしい酒になると言われている。奉
納されている酒の薦樽は全てこの水を最初に使って酒を醸しているそうだ。      

巨大な杉の御神木。 朋友神社(みともじんじゃ)に参拝。


酒の泉の水を飲む。柔らかく美味しい水だった。 三種類の水がここに引かれている。

 二荒山大神は山を模した遥拝所で遥拝。若子神社(じゃっこじんじゃ)も、方角に向け
て作られた遥拝所での遥拝となった。巨大な御神木の胎内くぐりとか高天原の模型など見
所がたくさんあったのだが、後半は小学生の見学者がうるさく走り回るのと一緒になって
しまい、なんとも神聖な雰囲気ゼロの参拝となってしまった。仕方ないことだろうが、神
苑で子供を走り回らせるのはどうかと思う。境内のシロヤシオが満開でその美しさに救わ
れた気持ちになった。まあ、こんなこともある。                  

二荒山大神の遥拝所。 若子(じゃっこ)神社の遥拝所。


二荒山神社の三門。 拝殿は大きい。


シロヤシオの花が境内に咲いていた。 上品な花で、見ていて飽きない。

 車に戻り、駐車場を出て一路中禅寺湖を目指す。鮮やかな緑を楽しみながらの快適なド
ライブだった。途中のいろは坂は登るにつれて緑が薄くなり、最後には緑ではなく山桜が
咲いている景色になった。標高差がすごい。ロープウェイ乗り場の駐車場に車を停めて外
に出たら寒くてびっくりした。日光に来ると色々な季節を味わうことができる。    
 中禅寺湖の周辺を車で走る。釣りをしている人が多いのに驚いた。この寒い中。湖に腰
まで立ち込んで竿を振っているルアーマンが多かった。大物が釣れるという中禅寺湖なら
ではの光景だ。                                 

東照宮から入ってくる二荒山神社の鳥居。 いろは坂を登りロープウェイ乗り場の標識。まるで冬景色。

 今日の宿は湖畔のホテル「湖上苑」。中禅寺温泉の宿で、元は某国の大使館別荘だった
という宿。こぢんまりした宿で、全部屋が湖に面している。部屋に入ると窓一面の中禅寺
湖。素晴らしい景色に思わず声が出てしまった。簡素な室内だがこの景色だけで十分だ。
 早速、宿自慢の温泉に入る。白濁した硫黄泉は天気によって色が変わるという天然温泉
。温度も快適で風に打たれながら露天風呂を満喫した。湖の岸辺に釣り人がいて、ダブル
ハンドでフライロッドを振っている。その動きを見ながら露天風呂で硫黄泉を楽しむ。な
んと贅沢なことか。素晴らしい時間だった。                    

ホテルの窓からは中禅寺湖が見える。 シンプルな部屋だが二人ならこれで十分だ。

 夕食はサービスのビールで始まった。五点盛りの前菜に合わせるのは、利き酒三種類セ
ット。三種の上等の生酒で少しずつ前菜を味わう。酒によって変わる料理の味、この利き
酒セットは素晴らしかった。ゆっくりと会話を楽しみながら、湖畔の景色が暮色に変化す
る時間を楽しむ。湖畔の宿ならではの贅沢な時間だった。              
 宿自慢は揚げニジマスのオレンジソース和え。絶品の味に大満足。オムレツもサーロイ
ンステーキも絶品で大満足の夕飯。二時間くらいかけてゆっくり楽しんだらもう満腹で動
けない。部屋に帰って寝るだけだった。                      

夕食の前菜。五種類の料理はお酒によく合う。 風呂上がりのビールも美味しい。


黄昏時の湖を見ながらの夕食。 利き酒セット。生酒三種類を飲み比べる。


宿の自慢料理。揚げニジマスのオレンジソース和え。旨し。 利き酒セット第二弾。合計六種類の酒を味わった。


ステーキが柔らかくて旨かった。 カミさんも大満足。満腹で苦しいくらい。

 朝の露天風呂は湯が鮮やかな緑色に変わっていてびっくりした。快適なお風呂で眺める
湖の景色は素晴らしいものだった。フライロッドを振る釣り師がいてその動きを目で追っ
ていた。トンビが鳴き、上空を旋回している。鳥たちは元気に飛び回ってる。ツバメやヒ
ヨドリの姿が見える。一人で露天風呂を独占。誰もこない一時間、温泉を楽しんだ。  
 朝食は私が和食、神さんは洋食を注文した。別々に提供してくれるという贅沢さ。あり
がたいことだ。品数も多く、普通に食べるだけで満腹になってしまった。リピーターの客
も多いのがよくわかる良い宿だった。サービスにも景色にも温泉にも料理にも大満足。 
 食事の間に湖畔の釣り師が大きな魚を釣った。それも二匹も・・・「釣れるんだねえ」
とカミさんと顔を見合わせた。目の前で魚を釣り上げるところを見られるなんて、良い目
の保養ができた。                                

窓から釣りをしている人が見える。 窓からの景色。


朝食は私が和食でカミさんは洋食を頼んだ。 量が多くて食べきれないカミさん。助けて食べる。


食堂からの景色。 外にデッキがあり、そこに出て写真を撮る。


中禅寺湖。 観光船が沖を通って行く。

 ホテルをチェックアウトして車はいろは坂を下る。ミツバツツジの群落が素晴らしい景
観を作っている岩山や、下るにつれて緑が濃くなる変化を楽しんだ。カーブが連続する山
道は運転するのが楽しい。フィットはよく走ってくれる。              
 今日の目的地は足尾銅山。日光から足尾に抜けられる道があると気づいたのは昨日のこ
とだった。その道路標識の案内で山道に向かう。山越えの道は緑の街道、長いトンネル、
渓谷沿いの素晴らしい道。渓流釣りに行きたくなる景色満載だった。         

足尾銅山観光の入り口。 待合室にあった鉱夫の人形。リアルに作られていてギョッとした。

 足尾銅山観光の駐車場に車を停め、坑内見学のチケットを買う。トロッコの発車時間ま
で待合室で資料の勉強をする。鉱石展示などもあり、面白かった。          
 トロッコは電気気動車が牽引して坑道入り口までゆっくり走る。ゴトゴトとゆっくり走
るのがトロッコらしくていい感じ。坑道入り口で気動車を切り離し、トロッコだけで坑道
に侵入する。通洞坑は平らなので気動車は必要ない。暗い坑道に転々とライトが点いてい
る。通洞坑内で作業する人々をこうして運搬したのだと感慨深い。ここ足尾銅山は昭和四
十八年に閉山した。秩父鉱山と同じ年に鉱山としての役割を終えた。だから設備も採掘方
法も秩父鉱山と同じだと思う。そんな視線で眺めると足尾銅山は宝の山だ。      

鉱石も展示されていた。これは黄鉄鉱の塊。 これは方解石。大きな結晶の塊だ。

 トロッコ終点で全員降ろされて、ここからは歩いて構内の見学ルートをたどる。ルート
沿いに江戸時代から昭和までの作業再現展示がマネキンを使って作られている。シーンご
とに説明のナレーションが聞けるボタンがある。本物の坑内を歩きながら流れる水が異常
に多いことが気になった。水が出ることを出水というが、昔の坑内では大きな事故に繋が
ったという。確かにこれだけの水が一気に出たら事故になるはずだ。         
 マネキンはどれもよく出来ていた。特に江戸時代のものは、当時の服装や道具がリアル
で怖いようだった。灯りのない真っ暗な世界で鉱石を掘る作業がどれだけ過酷なものだっ
たか、想像することも出来ない。どれもリアルな鉱山の世界だった。歩道の途中、天井に
青銅が浮き出ている場所があり、孔雀石のような青緑が綺麗だった。         

入り口に展示されていた坑道の説明図。 江戸時代の坑内作業をマネキン展示。リアルだ。


セットウとタガネで鉱石を掘る。 坑内で箱車を押す鉱夫。


暗い坑内で掘ることはどれだけ大変だったことか。 ハシゴを登って移動する。丸太で作ったハシゴがリアル。


こちらのハシゴは一本丸太を削っただけのもの。これが多かった。 狭い坑道を鉱石を背負って地上に運ぶ。大変な仕事だ。


桶で溜まった水を排水する。 これは近代の坑内。鑿岩機を使って鉱石を掘っている。


青い銅鉱石が露出した岩盤天井。 手押しのトロッコ。トロッコには1トンの鉱石が入る。


休憩所のマネキン。 支柱を立てている坑夫。

 出口の資料館では映画が上映されていた。昭和時代の足尾銅山でどのような作業が行わ
れていたかを案内するもので、貴重な写真がたくさん使われていて、画面を撮影するのに
忙しかった。                                  
 上映が終わって出たところにゲージの実物が展示されていてその存在感に圧倒された。
このゲージで地下二百メートルまで降りたり、トロッコを持ち上げたりしていたのだ。資
料館には採鉱から精錬までの流れや鉱石の展示などもあり、楽しかった。       
 資料館の外に出ると、実物の削岩機で振動を体験できるコーナーや江戸時代の精錬作業
模型などが展示されていたが、目を引いたのが鉱山ミニチュア展示。これが素晴らしかっ
た。ミニチュアながら精巧な作りで3センチくらいの鉱夫のヘッドランプが点灯するなど
のリアルさ。作業の様子を蟻の巣のように横から見せているのでとても全体の流れがわか
りやすかった。ダイナマイトの爆破シーンや、削岩機で削った鉱石を運搬する様子などが
リアルに展示されていた。ボタンを押すと動くものもあり、子供でも楽しめる展示になっ
ていた。                                    

坑内エレベーターとも呼ばれるゲージが展示してあった。 映画の場面。鉱石の積み込みをしている。


斜行坑内インクライン。出口付近の写真。 銅の製錬風景。足尾銅山には精練所があった。


ノルウエー製の気動車。坑内で活躍した。 足尾銅山で産出した孔雀石。


紫水晶の結晶。 黄鉄鉱の結晶。


銅のインゴッド。重さがこれで20キロ、持ち上がらない。 製錬用の銅、アノード版。上の左右に電極をつけ、電気製錬する。


展示室の様子。 展示室右側。


足尾銅山で採掘された鉱石。 鉱石サンプル。

 展示の最後は江戸時代の貨幣鋳造の様子をミニチュアで何場面も作った解説展示。作業
の様子や当時の貨幣作りの様子がよくわかった。最後の紙幣・硬貨の展示は照明が悪くて
、柄が全く見えないというおそまつさ。まあ、興味がないものだったから良かったが、こ
れを見たかった人には最悪の展示だと思う。こういう所に意識がいかないと閑古鳥が鳴く
場所になりそう。実際に見ている人も少なかったようだ。出口の売店もひどかった。駐車
場に帰るのに売店を通らなければならず、仕方なく通るのだが、店がひどい。買いたいも
のゼロ、埃をかぶったような商品ばかりなのに、呼び込みだけ声が大きい。まるで韓国の
観光地のようだった。観光ではなく、純粋に鉱山跡地が見たかっただけなのだが、この様
子では観光客も少なくなるのだろう。                       

外に展示してあるトロッコ。 江戸時代、鉱石を手選作業をしている砕女(かなめ)。


江戸時代の製錬風景。三日三晩火を焚き続けた。 ミニチュアの銅山案内。ゲージの巻き上げ機械を運転。


クラッシャーからホッパーに落とすところ。 河鹿鉱床の説明模型。わかりやすい。


模型の全体。良くできている。見ていて楽しい。 通洞口の入り口。ここからトロッコで入る。

 鉱山観光を出て通洞駅に向かう。わたらせ渓谷鉄道の駅だ。その昔、秩父鉱山の技師が
秩父からこの駅に降り立ち、研修をしたという記事を読んだことがある。その降り立った
駅がこの駅だった。秩父鉱山の技師達は足尾銅山の規模の大きさに驚き、鉱山街の規模の
大きさに驚いていた。負けるものかという気持ちになったと買いてあった。昭和の初め頃
、この場所はまさに時代の最先端だった。日本の最先端があった。そう考えながら今の駅
舎を見る。感慨深いものがある。                         
 足尾の町は静かに退潮し、廃屋が草木に覆われ、小さな町になってきた。そこここに鉱
山の残滓を残しながら、山に還つつある町になっている。道の左右に鉱山の香りを眺めな
がら帰路に着いた。                               

この山の中に1200キロもの坑道が掘られている。 わたらせ渓谷鉄道の通洞口駅。足尾銅山の中心。

 今日はこのまま高速を使わずに下道で自宅まで帰る。途中の道の駅を見ながら帰る下道
の旅も楽しいものだ。                              


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