奈良。西の京に行く


秋篠寺・西大寺・唐招提寺・薬師寺と西の京にあるお寺を散策した。



 奈良に来ている。橿原神宮駅前のホテルから西の京まで電車で移動し、秋篠寺→西大寺
→唐招提寺→薬師寺と回る予定だ。まずは大和西大寺駅に降りて秋篠寺に向かう。   

ホテルの窓から橿原神宮駅と畝傍山が見える。 朝の駅は電車の出入りが多い。見てると楽しい。

 秋篠寺は奈良時代末期に光仁天皇の勅願により平城宮に建てられた寺院で本堂は国宝に
指定されている。大和西大寺駅からタクシーに乗って来たら正面の南門ではなくて側面の
東門に着いた。東門から入り、十三社に手を合わせ、庭園の道を進む。緑の苔に覆われた
美しい庭園だ。朝早かったので人も少なく静かに庭園を鑑賞できた。         

秋篠寺は東門から入った。誰もいない静かな境内だった。 綺麗に掃除された道が清々しい。玉砂利を踏む音が気持ちいい。


十三社に手を合わせる。散った紅葉がなんと美しい絨毯に。 緑の苔があまりに美しい庭園に感嘆の声が出てしまった。


玉砂利を踏みながら歩く苔の庭園。いや素晴らしい。 様々な樹木も目を楽しませてくれ、鳥のさえずりも聞こえる。


それにしても素晴らしい苔だった。 受付奥に姿を現したのは大元堂。秘仏の明王像が安置されている。

 庭園の奥の受付で入場料を払い、目の前の本堂に向かう。本堂には多くの仏像が安置さ
れているが一番会いたかったのは技芸天だった。絵を描く事も芸の一つと考えれば、技芸
天に手を合わせるのも真剣になる。                        
 技芸天は大自在天の髪際から化生せられた天女で、衆生の吉祥と芸能を主宰し諸技諸芸
の祈願を受納し給うと説かれている。現在では我が国唯一の技芸天像となっており、古く
より美術家文芸家の間で広く讃仰者を集めている。その柔らかな姿と優しい顔を見ている
だけで時間を忘れた。                              

本堂には様々な仏像が安置されている。 中の写真は撮れないので、出て大元堂の写真を撮る。


これが技芸天。写真は撮れないのでパンフレットの写真から。 こちらも同じ写真。素晴らしい仏像でした。

 秋篠寺の苔の庭園は本当に素晴らしかった。万両の赤い実が緑の苔に映える。クチナシ
のオレンジ色の実が青空に映える。静かで奥ゆかしく素晴らしい庭園だった。     

本堂の出入り口。歴史を感じる木材。 苔庭に万両の赤い実が美しい。


カミさんも写真を撮っている。 クチナシの木があった。オレンジ色の身が熟していた。

 秋篠寺から西大寺へは歴史散策の道を歩いて行く。民家や畑の中を歩く細い道で、多く
の人々が歩いて様々な寺院を見学する道になっている。途中で何度も大勢の団体とすれ違
った。西大寺まで歩いて約四十分の道のり。途中の踏切を渡るときに電車が通過した。関
東では見たことのない車両の色が新鮮だった。                   

西大寺への途中の道にあった踏切。 通り抜ける電車が珍しい色で面白かった。

 西大寺では伽藍の大きさと仏像の取り合わせが様々で面白かった。中でも目を引いたの
は愛染堂の愛染明王坐像だった。小さいが精巧な木像で、その素晴らしさに目を奪われて
しまった。四隅を護る四天王像も素晴らしかった。仏像の素晴らしさは大きさではないこ
とを実感した。                                 

西大寺の南門から入る。 本堂で受付をすませる。四ヶ所入場の四角いチケット。


本堂も見所がいっぱいだった。 東塔の跡地。室町時代の焼失したもの。


多くの仏像が収蔵されている建物。 西大寺の案内図。最後に見てどうしようというのか・・・


写真を撮るカミさん。 西大寺の出口。大和西大寺駅はすぐ近くにある。

 大和西大寺駅の駅中ショップが素晴らしかった。活気にあふれ、飲食店も充実していて
展望デッキもある造り。展望デッキでは三方向から駅に到着する電車が見られ、鉄道ファ
ンとしては楽しい場所だった。駅中ショップでハムカツを買い、食べながら電車を上から
眺めるのは楽しかった。駅の中でありながら、こうして楽しく時間を過ごせる工夫が至る
所で作られていた。こういう駅が東京にも欲しいと思った。             

大和西大寺駅の駅中ショップはとても楽しい場所だった。 花屋さんの店頭が華やかで楽しい。


小包装の花がとても綺麗で楽しい売り場だ。 駅のデッキでハムカツを食べながら電車を見ていた。


これは急行電車。これには乗らない。 これは各駅停車の電車。これに乗る。

 大和西大寺駅から近鉄西の京駅に向かう。田園の中を走る電車は空いていてゆっくり座
ることができた。電車はのどかな景色を車窓に映しながらゆっくり西の京駅に停まった。
 駅を出たところに薬師寺の案内看板が建っていたが、まず行きたいのが唐招提寺なので
そのまま駅前の道を左へと曲がって歩く。古い築地塀が続く趣は古都奈良ではのもの。 

薬師寺の案内看板。 唐招提寺への道。趣のある古都の道だった。


バス停の看板。唐招提寺・南門の前。 南大門を入ってゆく。

 唐招提寺は天平宝字三年に唐の高僧鑑真大和上によって創建された。五度の失敗に屈す
ることなく失明してまで日本への渡海を成功させ、日本に戒律を伝えた鑑真和上。   
 唐招提寺で一番見たかった場所は「戒壇」だった。鑑真和上の坐像は非公開なので見ら
れず、和上が作ったこの戒壇こそが唐招提寺の象徴だと思ったからだ。初めてみた戒壇は
ジャワ島のボロブドゥール遺跡の基壇に似ていた。ここで聖武天皇が授戒を受けたのだと
思うと身が引き締まる思いがした。多くの観光客は金堂と講堂に集中していて、戒壇を見
る人は少ない。もったいないことだ。                       

立派な金堂が遠くに見える。 世界遺産の石碑。


十二月だというのに紅葉がまだ残っていた。 鮮やかな紅葉が目を奪った。


紅葉の前でポーズを取って見た。 金堂に入る。中は撮影できない。


金堂から戒壇に向かう道が見える。 講堂をのぞいてみる。


見たかった戒壇への道を歩く。 これが戒壇。日本初の戒律の聖地。


講堂を見る。素晴らしい仏像に感動した。 講堂の外観。

 薬師寺に入って、食堂(じきどう)で修学旅行の生徒相手に話す僧侶の講話が面白かっ
た。下手な落語家よりも話が面白く生徒たちの爆笑を誘っていた。          

薬師寺には駅の方向からなので興楽門からの入場となる。 世界遺産の石碑。


受付に行く通路に綺麗なススキが生えていた。 食堂(じきどう)での僧の講話がとても楽しいものだった。

 千三百年前に造られたとは思えない仏像と建物に驚き、時空を超えた奈良の力に気付か
された。金堂も講堂も真新しく、古さは微塵も感じさせないのだが、この寺域は天武天皇
の時代からこの場所で人々の安寧を祈って来た。すごい場所であり、すごい寺であり、す
ごい仏像群なのだ。持統天皇がこの場所を歩いていたのだなどと思いたかったのだが、工
事の作業音や修学旅行生徒たちの喧騒で想像の翼は羽ばたいてくれない。少し残念なこと
だが、人けのない早朝にでもくれば別の空気を味わえるのかもしれない。       

金堂に入る。素晴らしい仏像に囲まれた。 大講堂で御朱印をいただくカミさん。


ピカピカの大講堂。素晴らしい建物だ。 東塔の威容。工事がまだ続いている。


西塔は古く黒いまま。歴史を感じる。 南大門と西塔。門から見上げる塔の姿が美しい。


東塔は美しい。松の姿も美しい。 カミさんが「いえーい」とポーズをとる。


大講堂の美しい姿。 近鉄西の京駅にて帰りの電車を待つ。

 疲れた足を電車で伸ばし、ゆっくり座って橿原まで帰った。ホテルで休憩して時間を潰
し、カミさんの友人を待つ。大阪の友人植田さんがやって来た。挨拶して地下の食事処に
向かう。このホテルは大きくていくつもの食事処がある。今回は和食限定ということで、
このお店にした。                                

ホテルの売店でお土産を物色する。 カミさんの友人、植田さん。大阪から会いに来てくれた。


万葉御膳を三人で頼む。豪華な夕食。 地酒三種類の飲み比べ。


どれもうまい酒だった。 ゆっくり食べるからと植田さん。


カミさんも楽しそう。 ツーショットもいいものだ。植田さんありがとう。

 三人とも頼んだのは同じメニューで、万葉御膳だった。十二種類の小鉢に揚げ物・小鉢
・蓋物・食事が付くという豪華なメニューだ。私はそれに加えて三種のお酒・飲み比べセ
ットを注文した。奈良の地酒三種類の飲み比べだ。久しぶりに会う友人とカミさんの話が
弾み、楽しい夕食だった。大阪からわざわざ出かけてくれた植田さんに感謝したい。とて
も充実した良い一日だった。                           


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