会津鶴ヶ城と桜


鶴ヶ城の桜と会津の精神を見に行く。



 4月12日朝7時に家を出て会津に向かった。会津鶴ヶ城の桜を見るためだ。鶴ヶ城は
戊辰戦争や白虎隊のあれこれで思い入れのある場所だ。桜にかこつけて会津藩士の生き様
を勉強しようという気持ちもあった。東北道から磐越自動車道へと走り、会津若松インタ
ーで降りる。途中、雪をかぶった磐梯山の美しい姿が望めたのは嬉しかった。     

 会津若松の市内を走る。鶴ヶ城への道はナビに頼るまでもなくすぐにわかった。インタ
ーを降りて走る間もあちこちの満開の桜が目を楽しませてくれた。鶴ヶ城の駐車場は空い
ていてあっけないくらいだった。心配していたのが嘘のように人が少ない。      

駐車場から桜が満開でテンションが上がる。 何かの石碑があったが、桜しか目に入らない。


ここが鶴ヶ城の入り口。思ったより人が少ない。 お堀に映える満開の桜。

 ゆっくり桜を鑑賞しながら鶴ヶ城へと向かう。ちょうど桜が満開で三の丸口からの入城
となった。お堀を越えると二の丸跡への石組みが素晴らしい。朱塗りの廊下橋が見えて来
た。満開の桜と朱塗りの橋がよく似合う。写真を撮りまくる。            

石垣が素晴らしい。 ここを曲がると二の丸跡の石垣。


ひときわ目立つ一本の桜。満開の花びらが散っている。 こんもりと満開の桜。お堀に映える。


朱塗りの「廊下橋」が見えて来た。美しい橋だ。 反対側のお堀にも映える桜が美しい。


「廊下橋」に近づく。有事には簡単に撤去できる仕組み。 中学生の団体が出て来た。修学旅行だろうか。


桜の遠景に雪山が・・飯豊山脈だろうか。 天守閣が見えた。いきなりテンションが上がる。


堀の土手と水・桜のコントラストが素晴らしい。 青空と桜とお堀。お城の桜は美しい。


枡形石垣と天守閣。赤い欄干が美しい。 土手に落ちる桜の影が美しい。


天守閣が近づいて来た。素晴らしい。 この近さで見上げる天守閣は迫力がある。

 ちょうど満開の桜が散り始める時で、最高の桜を堪能することができた。お城と桜はよ
く似合う。青空の下、満開の桜と風に流れる花びらの中を歩く爽快さ。お堀の水には花筏
が浮かび、土手の桜を映している。素晴らしい石垣と桜のコントラストも美しい。   
 人が思ったより少なく、ベンチも空いていてどこでも腰を下ろして休めた。どこのベン
チからも桜とお城が見渡せる。素晴らしい空間だった。               

受付を済ませて入り口から見上げる天守閣。 入り口でこれから天守閣に入る洋子さん。

 天守閣は五層で、様々な展示物がある。その歴史は悲劇の歴史で、戊辰戦争以降の展示
に思わず足が止まる。ここに来た目的の一つが会津戦争の内容を現地で知るためだった。

天守閣第三層から幕末の動乱と会津の展示が始まる。 白虎隊少年隊士の肖像画の前で立ち尽くす。


会津戦争でズタズタになった鶴ヶ城の写真。 飯島八重の写真と解説。

 会津の歴史は悲しい。松平容保が京都守護職に任ぜられて以来、歴史の大波に翻弄され
続けた。戊辰戦争から明治維新へと大きく流れが変わる中で、忠義に殉じた武士たちの生
き様は様々な形で語り継がれている。白虎隊隊士の絵が並んでいる。その前に立ち尽くし
年齢の数字を目で追い、自分だったらどうであったかと自問する。桜も青空も消えて、自
分と向き合う時間が過ぎてゆく。                         

 なぜ会津は最後まで抵抗したのか。他の道はなかったのか。書物で読んだ内容を思い返
しながら鶴ヶ城の展示物を見る。会津戦争の解説で全て西軍と書いてあるのが印象的だっ
た。新政府軍でも官軍でもなく西軍とだけ書かれている。会津の人にしてみればあれは単
なる西軍なのだ。勝てば官軍とはここから来た訳だからと納得した。         
 街のあちこちに「会津っ子宣言」の標語が掲げられている。その最後の一言が会津を表
しているのではないかと思った。「ならぬものはなりません」・・・この一言があればこ
そ会津であり、この一言に殉じた人々だったのではないか。今の時代、この言葉を発して
殉じる人がどれだけいるだろうか。日本人の心の中に美しいものがあるとすれば、会津の
人々の心情はその一つであり、それゆえに会津への思いが続くのだと思う。      

天守閣の上から見下ろす満開の桜。 遠くに磐梯山が見える。素晴らしい山容はさすがに宝の山。


城内の稲荷神社が見下ろせる。 本丸御殿跡地は芝生の広場になっている。

 天守閣から満開の桜を見下ろすのは初めての経験だった。まるで桜の海に浮かんでいる
ような気分になった。周囲の山々も解説が書いてあってよく理解できた。会津が本当に山
に囲まれていることがわかる。あそこが飯盛山か・・あの向こうの山から大砲でお城が撃
たれたわけだ・・などと理解できた。桜の景色と会津戦争の悲惨さが全く違う思いを掻き
立てる。ここでこんな感情に支配されるとは思わなかった。現場の実感がすごい。   

南走長屋が南方向に伸びている。 広場の桜を上から見下ろす。


天守閣を堪能する洋子さん。 満開の桜を上から見下ろす素晴らしさ。

 天守閣から降りてお城を一周する。本丸御殿があった場所は平らになっていて建物を想
像することが難しい。一角に茶室「麟閣」があるのでそこに立ち寄って抹茶をいただく。
茶室は実際に使われているようで手入れが素晴らしかった。この佇まいとお城の景色が素
晴らしい。緋毛氈に座って抹茶をいただいているとどこからか桜の花びらが待ってくる。
この風情がたまらない。和菓子も美味しく、ゆっくりした時間が過ぎていった。    

南走長屋の先端にある櫓。 鉄門。会津戦争時ここで松平容保が指揮をとっていた。


鉄門をでてところが撮影スポット。桜とお城と洋子さん。 同じ場所でポーズをとってみるが、決まらない。


桜に映える天守閣。 会津戦争時、1日に1200発も砲弾を撃ち込まれた。


桜の花びらが風に舞い、なんとも言えない風情が。 こうして見上げる天守閣は最高だ。


桜とお城で記念写真。 門の内側に回り、反対側から天守閣を見上げる。


茶室「麟閣」。素朴な造りだが品がある。 清潔感あふれる手水場。苔がいい。


苔の庭が静寂を演出。桜の花びらが風に舞う。 赤い緋毛氈に座り、抹茶と和菓子をいただく。

 ゆっくり休んだのでお城の外郭を一周する。北出丸から西出丸まで歩き、城内に戻る。
一休みしてそろそろ3時頃になるので駐車場へと歩を進める。高校生の一団が楽しそうに
はしゃいでいるのが面白かった。お城にいる間ずっと花吹雪が舞っていた。時折強い風に
煽られて砂塵が舞うこともあったが、おおむね穏やかな1日だった。桜とお城はよく似合
うし美しい。舞う花吹雪も美しい。本当にいい時期に来られて良かった。       

茶室の入り口には濃い色のしだれ桜が咲いていた。 石垣上に登り、橋を見下ろす。


石垣から見下ろすお堀と桜もなかなかのコントラスト。 桜と天守閣。石垣から見るとこんな風に見える。


手前に茶室「麟閣」が見え、奥に天守閣が見える桜の海。 天守閣を見ながら歩く洋子さん。


満開の桜の海に浮かぶ天守閣。 本丸御殿跡から見上げる天守閣。桜のない角度。


外に出て北出丸から西出丸まで歩く。 少し歩き疲れて来た。


西出丸から本丸に向かう。 本丸公園で休憩。桜の花びらが舞っている。


本丸から出て廊下橋に向かう。 朱色が青空と桜に映える。


橋とお堀と桜が美しい。 桜とお堀のコントラストが素晴らしい。


一本だけで立っている満開の桜の風情がいい。 日陰になった桜とお堀もいい感じ。


桜の大木がひっそりとあり、その存在感に圧倒される。 飯島八重の銅像が立っている場所は駐車場横の公園。

 車に戻り、東山温泉を目指す。宿は「庄助の宿・たきのゆ」東山温泉の一番手前にある
宿だ。車を別の場所にある駐車場に停めてチェックイン。部屋は渓流に面していて、対岸
の能舞台がはっきりと見える。能舞台横のヤマザクラが美しい。           

宿に到着。部屋に落ち着くと疲れがどっと出る。 食事は部屋食。早い時間に全部が並べられた。


窓から見ると横の渓流が素晴らしい。 対岸の崖に能舞台が設置されてライトアップされていた。

 温泉はさらりとした温泉で、小原庄助さんが浸かったお湯と言われている。当時の石風
呂が展示されていて興味深かった。料理は部屋食。コロナ対策で料理は一斉に一回で出さ
れる。お酒は冷蔵庫のものを自分で選んで飲む。コロナ禍のホテルは様々な対策をしてい
る。客もそれに合わせて自らを律しなくてはならない。               

外が暗くなって来た。いい風情だ。 食事を始める。自分のタイミングでゆっくり食べる。


品数が多くて全部を食べるのがしんどい。 蕎麦はさすがに時間が経つとまずい。


温泉が良かったので大満足。 会津のお酒で大満足。


朝は食事なし。対岸のヤマザクラが清々しい。 渓流の音がいい。

 13日近くの観光施設「武家屋敷」に行く。会津藩最後の家老・西郷頼母の屋敷を再現
したもので、数々のテレビドラマの撮影なども行われたらしい。綾瀬はるか主演の「八重
の桜」もここで撮影された。屋敷の中を散策するが、それぞれの部屋に置いてある道具類
に目を奪われる。武具などより収納用品や台所用品の写真を撮りまくった。      
 第二資料館にあった西郷一族二十一人自刃の間では思わず足が止まり、その凄惨さに目
を奪われた。会津の武家に生まれた女子の生き様がそこに展示されていた。      

宿のすぐ近くにあった「武家屋敷」に入る。 ここも桜が満開だった。


姿三四郎のモデル西郷四郎は西郷頼母の養子だった。 忠実に再現された屋内。


玄関横の武器庫。槍の種類がすごい。 興味深そうに見て回る。


謁見の間に置かれた人形がリアルだった。 覗き込む洋子さん。


会津ダルマ。 満開の桜と洋子さん。


秩父宮妃は会津出身で松平容保の縁者だった。知らなかった。 桜の下でポーズ。帽子とマスクで誰だかわからない。

 お昼を食べて休憩し、飯盛山へ向かう。山の上まで動く歩道が設置されていて、それを
使う。二人で500円なり。山の上に続く長く高い階段を見上げると流石にそこを登ろう
とは言えない。                                 
 飯盛山は全体が墓所になっていて、白虎隊自刃の場も墓所の一箇所に小さく祀られてい
た。山頂には広場と隊士の墓があり、神聖な空気に満ちていた。ここでも隊士一人一人の
年齢に目が行く。中には14歳と刻まれたものもあり、戦死の文字に頭が下がった。日本
人同士の争いだったのだと今更ながら人間の残酷さを認識した。飯盛山は墓所なので写真
は撮らなかった。                                

飯盛山に登る動く歩道。ありがたい。 白虎隊隊士がここから鶴ヶ城の煙を見た。

 最後に石部桜を見に行った。公園の駐車場から歩いて10分。畑の真ん中に巨大な桜が
自生し満開の花を咲かせていた。解説文によると江戸時代から有名な桜で、飯盛山のさざ
え堂と石部桜を結ぶ道があり、観光名所だったと絵図に描かれていた。        

畑の中にポツンと巨大な桜が咲いている。 江戸時代からの観光名所だったと書いてある。


静かな静かな畑の中の記念写真。 突然雨が降って来た。急いで車に逃げ帰る。

 畑の真ん中にこんな巨大な桜がある。不思議な感覚だったが見上げているうちに雨が降
り出し、見学もそこそこに慌てて帰る始末だった。カミさんは傘を持っていたので無事だ
ったが、私は傘を持たずに行ったのでびしょ濡れになってしまった。最後が春の雨だった
のも印象的な会津の桜旅だった。                         


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