戸隠神社五社巡り


戸隠神社五社巡りの素晴らしい旅



 10月10日朝7時、車で家を出て戸隠に向かう。良い天気の朝だった。所沢インターから
関越高速に乗る。日曜日の朝という事もあり、渋滞を心配していたのだが、高坂で多少の
渋滞があった以外は順調な車の流れだった。                    
 上里SAで休憩し、朝食を食べる。ここで食べるのは地粉のうどんで、噛み応えのある旨
いうどんだ。休憩後は再び高速に乗り、上信越道へと向かう。青空を楽しみながらゆっく
りと走り9時半に須坂長野東インターに到着した。                 

 下道は走ったことがないのでナビをセットする。ナビの示す道路をひたすら走る。途中
で急に狭くなったりして不安になるが、ナビの指示する通りに走る。多分、この道は二度
と走ることはないだろうなあ・・などと考えながら走る。山道に入り「バードライン」の
標識を確認してホッとする。間違いなく車は戸隠に向かっている。          
 素晴らしい景色を堪能しながらのドライブ。バードラインから戸隠道へ・・素晴らしい
景色が続いている。沿道に急に蕎麦屋が多くなり、戸隠に入ったことが分かった。   

駐車場横のオオモミジが赤く色づいていた。 空は気持ちいい青空。戸隠は気分良く迎えてくれた。

 宝光社の手前で鏡池の看板を発見。混雑期で一方通行になっているらしいので、その道
に入る。細い山道をくねくねと走る。少し心配になった頃、急に建物と駐車場が現れた。
駐車場は無料で、歩いて鏡池を目指す。百メートルほど歩くと西岳(2052m)を屏風
のように従えた鏡池が現れた。なんと素晴らしい光景か・・これぞ観光地だ。     
 湖畔まで歩くと湖面に映る西岳の姿が素晴らしい。風が止むと水鏡に映る逆さ西岳が一
枚の絵画のようだ。鏡池の名前の由来がよく分かる。湖畔の紅葉が写り込むのは今の時期
ならではの美しさだ。湖畔に座り込んでしばし自然の名画に酔う。          

鏡池の周囲を案内する看板が立っている。 これが鏡池。素晴らしい景観が目の前に広がっている。


鏡池の左側はこんな感じ。 右側にはこんな風景が広がっている。絶景だ。


青空と湖。湖畔の白樺までまるで絵のような風景。 景色に見入るカミさんの後ろ姿も絵の一部になっている。


湖面には風のさざ波があるが、風が止むとこんな景色になる。 鏡池の名前の由来がよく分かる。

 鏡池の周遊コースを歩く。一周1300メートルの整備された歩道だ。静かで沢山の木
々と紅葉を楽しめる歩道だ。コナラ、ミズナラ、朴木、トチノキ・・赤く色づくオオモミ
ジ、ヤマブドウのツルも赤い葉を付けている。木々の間から見える鏡池には沢山の水鳥が
泳いでいる。一周して芝生の丘で一休み。周囲には同じように座って池を見る人が沢山い
た。まるでスーラの「グランドジャット島の日曜日の午後」の絵のようだった。    
 湖畔に建っている「鏡池どんぐりハウス」で買い物を兼ねた休憩をする。トチのチップ
スが珍しくて購入。鏡池周辺の自然を写した写真がたくさん掛かっていた。      

鏡池を周回する歩道を歩く。珍しいシダがあった。 見上げると木々の間から青空が見える。


紅葉と青空がきれいだ。 歩きやすい道だったのでカミさんも楽しそうだった。


反対側から見る池もきれいな景色だ。 カミさんも歩く、歩く。


青空と湖面が美しい。 鴨が驚いたように泳いで逃げる。


細くなった道が森の中を縫うように進む。 見上げると木と空が美しい。


大きなカツラの木が立っていた。 湿った場所では木道が出来ているので靴は濡れない。


鏡池周辺の道路地図看板があった。 芝生で休んでもう一度鏡池の景色を眺める。


青空がきれいだった。 どんぐりハウスでトイレを借り、お土産を買う。

 鏡池から一方通行の山道を走って36号に戻る。交差点にある蕎麦屋「そばの実」の駐
車場が満車で入れない。戸隠蕎麦を食べたかったので街中へと走る。すぐに戸隠神社・中
社(チュウシャ)が現れたので駐車場に車を止めて参拝する。            
 中社祭神の天八意思兼命(あめのやごころおもいかねのみこと)は、天照大神が岩戸に
籠った際に、岩戸を開く方法を考えたという神様。学業成就、商売繁盛、開運、家内安全
の神様として信仰を集めている。                         

中社の鳥居。駐車場がいっぱいで車を止めるのに困った。 中社の拝殿。素晴らしい境内が広がっていた。


境内に御神木が立っていた。素晴らしい巨木だ。 列に並んで参拝する。神聖な空気が漂う。

 境内に素晴らしい杉の巨木があり「ご神木」の立て札が建っている。立て札には700
年の杉と書かれていた。参拝者がたくさんいて参拝の列に並ぶ。玉砂利の音だけの境内が
神聖さを感じさせてくれる。こうして並んでいるだけで何かの気配を感じる。     
 参拝を済ませ、背後の山から流れ落ちる清浄の滝を見学する。戸隠は清冽な水の街でも
あり、戸隠蕎麦の味はこの水あってのものなのだという。静かに流れ落ちる滝の音が体を
清めてくれるようだった。                            

700年の巨木が御神木。なんという存在感か。 拝殿裏に流れ落ちている清浄の滝。水音がいい。

 門前町を走り、大きな看板に引き寄せられるように車を止めたのが戸隠蕎麦「山田屋」
だった。店内は半分がお土産売り場になっていて座席もたくさんある大きな蕎麦屋さんだ
った。注文したのはもちろんザル蕎麦で野菜天ぷら付き。濃いめのタレで食べる戸隠蕎麦
は実に冷たく爽やかだった。                           
 最近、蕎麦を食べる方法が変わり、まず蕎麦だけを食べ、後にタレを口に含む。こうす
ると蕎麦の味と香りが際立つ。上品な香りの蕎麦が実に美味しかった。天ぷらもサクサク
で大満足のお昼だった。お土産売り場で「戸隠・雪中酒」を購入した。        

大きな戸隠蕎麦の暖簾が期待を高めてくれる。 広い店内は満席。さすがに戸隠蕎麦の名店だ。


戸隠蕎麦を食べる。さすがに美味い。天ぷらも美味い。 蕎麦ザルも美しい。これは根曲竹で作った蕎麦ザルだ。

 午後一時、お腹いっぱいになったところで、少し下に走って「宝光社」に参拝する。こ
こは正面の階段がまっすぐに長く高いので有名な神社だ。回り道もあるのだが、270段
の階段をまっすぐに登る。これが本当にきつかった。後ろから来る若者に負けまいと頑張
ったのだが、登り終えた時は腿がプルプルだった。年寄りの冷や水とはこの事だ。   
 宝光社のご祭神は天表春命(あめのうわはるのみこと)といい、中社祭神の御子神様で
、開拓・学問技芸・裁縫の神、安産の神、女性や子供の守り神として信仰を集めている。
 巨大な杉並木から見上げる青空が印象的だった。それにしても階段が凄かった。   

この鳥居から上はズウッッッッと上に登る階段がある。 宝光社の由来を書いてある看板。


狛犬が睥睨する階段を登る。 こちらは右側の狛犬。


この階段を休憩なしで登る。おじさんの意地が炸裂。 汗びっしょりで登った階段の先にこの社殿があった。


神社の由来を書いた看板。 社殿には珍しい幕が印象的だった。


上から見下ろす階段。なんと急な階段だったか。 見上げた杉の間に見える青空が明るい。

 宝光社の参拝を終えて、火之御子社に回る。ここは駐車場がなく、道路脇に車を止めて
カミさんだけが参拝した。実は中社で御朱印を頂いており、後からの参拝となった次第。
 ご祭神は天鈿女命(あめのうずめのみこと)で、舞楽芸能の神、縁結びの神、火防の神
として信仰されているとのこと。狭い場所だが、せめて駐車場くらいは作って欲しいもの
だと思った。                                  

神社の境内にある手水が苔できれいだった。 戸隠高原スキー場はススキの野原だった。

 参拝を終えたところで時間が2時半、まだホテルのチェックインには時間があるので、
ホテルの場所を確認しに行く。今晩泊まるホテルは「戸隠高原ホテル」で、スキー場の近
くにあるらしい。戸隠高原スキー場にそのホテルがあった。秋のスキー場はススキの原で
物寂しい風景だったが、ホテルは真っ白で綺麗だった。場所を確認できたので街に戻り、
「戸隠民族館」に向かう。ここには昔からの民族を紹介する建物と戸隠忍者を紹介する忍
者館がある。忍者館は大勢の学生がキャーキャー言いながら騒いでいた。       
 民族館で民芸品の写真を撮りまくる。特に竹ザルなどの竹製品が多く、興味深かった。
ここの竹は真竹や孟宗竹ではなく根曲竹を使っているのが特徴だ。昼に食べた蕎麦のザル
も根曲竹を使った竹ザルだった。昔から生活の道具を根曲竹で作ってきたことがよくわか
る展示だった。忍者屋敷の忍者の武器展示も面白かった。              

時間潰しの民族館見学。 オオモミジがきれいに紅葉していた。


わら履の豊富さは雪国ならではのもの。 気になっていた根曲竹を使った竹細工。これはザル。


カゴの種類や大きさも豊富。全部が根曲竹製だ。 様々な竹製品。皆根曲竹でできている。


竹製のすいのう。懐かしいものだ。 カゴもズラリと並んでいた。


忍者館の展示を見る。これは武器の数々。 刀もいろいろ並んでいた。


本物を見たのは初めてかも・・手裏剣。 テレビで見ていた鎖鎌。本物なのか??

 午後4時、戸隠高原ホテルにチェックイン。すぐにお風呂で温まる。温泉ではないが大
浴場を独り占めしてゆっくりと疲れた体をほぐす。部屋は二階で、廊下から西岳や戸隠岳
が正面に見える素晴らしい景色だ。                        
 夕食は食堂で食べる。私たちの他に三組のお客様。離れた席でコロナ感染対策も万全に
してあった。料理は普通だったが、お酒の利き酒セットが良かった。三種の地酒の他に赤
ワインや焼酎などが次々に一口ずつ出されて味わわせてもらった。地元のお酒に自信を持
っていて色々勧めてくれたのが嬉しかった。ここで、今日買った「雪中酒」が純米酒だっ
たことに気づいた。買いたかったのは「純米吟醸」だったので、明日もう一度買いに行こ
うと決めた。部屋のWIHIが不調で、廊下でネット観戦したC大阪戦が1:0で負けてしま
った。馬鹿野郎と落ち込んだ夜だった。                      

戸隠高原ホテルの夕食。 食堂で感染対策をしっかりいての夕食。


肉は炙って頂く。スタッフがお手伝い。 注文したお酒。


飲み比べを頼んだら次から次に出てきて・・ 最後は赤ワインや焼酎まで出てきた。大満足なり。

 朝の景色は素晴らしかった。西岳と戸隠山(1904m)が屏風のように目の前に朝日
を受けて聳え立っている。神々しい景色だ。                    
 朝食は無しで、今日は奥社に参拝するだけなのでゆっくりとチェックアウトする。他の
お客様は既に朝早く出かけたらしい。山歩きをする人は朝が早いので当然のことだ。  
 車で5分、山を降りて奥社の駐車場へ行く。車はまだ少ない。大鳥居をくぐり、ゆっく
りと参道を歩く。紅葉し始めたオオモミジの赤が目に鮮やかだ。           

廊下からの朝の景色。雄大な山々が目の前に広がる。 ホテルの窓から写真を一枚。


奥社入り口。大きな鳥居をくぐって参道へ。 鳥居の先は原始の森が広がる長い長い参道がある。

 この参道は実に素晴らしい森の中だった。巨大なミズナラがそこここにあり、朴木やカ
エデが彩りを添える。神域で誰も入らずに千年以上の月日が育てた大自然がそこに広がっ
ている。見たこともない巨木が普通に立っているので距離感が狂うほどだ。森林インスト
ラクターの目になって見ると、これほど豊かな森はない。そしてとにかく奥が深い。  
 長い長い参道の周辺は全て手付かずの森なのだから実に魅力的だ。素晴らしい参道がず
っと続いていて少しこの先が心配になってきた。1キロほど歩いたところに茅葺で真っ赤
な隋神門が現れ、少し安心した。隋神門の屋根にはおびただしい草木が生えている。  

豊かな森の参道をひたすら歩く。 参道にあった狛犬。


趣のある赤い隋神門。茅葺き屋根には草木がいっぱい。 隋神門の先は戸隠神社の代名詞にもなっている巨大な杉並木。

 隋神門を越えてからがこの参道の見どころ。400年を超える巨大杉並木の始まりだ。
テレビやポスターなどに登場する戸隠を代表する景色。巨杉の並木を徐々に高度を上げる
参道が伸びる。あるものは少し斜めに、あるものは二本が重なるように、あるものはドー
ムのように、巨大な杉が連なり、日差しが斜めに差し込む。確かに「何かがいる気配」が
濃厚になってきた。                               
 そして杉並木が終えたところからは急な石段が現れた。巨石を削った石段は高さ低さも
取り取りで山の自然に逆らわない分、とても歩きにくい石段になっている。最後にこんな
石段があるなんて考えていなかったので、最後で大汗をかいてしまった。これはお年寄り
や小さい子には苦難の道になるはずだ。知らないでハイヒールなどで来た人も大変だった
と思う。2キロの参道を歩き終え、石の鳥居が見えた時はホッとした。        

奥社の狛犬。出雲型のお尻を高く上げたタイプ。 まずは手前の九頭龍社に参拝する。

 まずは九頭龍神社に参拝する。ご祭神は九頭龍大神(くずりゅうのおおかみ)で、心願
成就の特別な信仰を集め、また古来より水の神、雨乞いの神、虫歯の神、縁結びの神とし
て信仰されている。神社の狛犬が出雲型のお尻を高く上げた形だったのが印象的だった。
 奥社は白いコンクリート建てになっていて、趣はないが気配は濃厚だ。ご祭神は天手力
雄命(あめのたぢからおのみこと)で、開運、心願成就、五穀豊熟、スポーツ必勝などの
ご神徳が全国に広宣され多くの崇敬者が登拝している。               
 覆いかぶさるような山は紅葉が始まっていて吹き下ろす風も秋の風だ。もう少し月が進
むとここは深い雪に閉ざされる。修験と信仰の山は厳しい冬が人を鍛える。歴史を遡ると
、ここがいかに貴重な聖地で、繁栄していたかが分かる。現代の我々はその残照をかすか
に覗くことしか出来ない。その残照はかすかではあるが明らかに濃厚な気配となってここ
に漂っている。パワースポットと簡単に言うが、実感するには知識も必要だ。信仰の力が
どれほど大きく、どれほど深かったか。奥社の佇まいや参道の見事さ・厳しさがそれを教
えてくれる。                                  

やっと到着した奥社に参拝する。 建物はコンクリート製だが、存在感は凄い。何かいる・・


参拝を終えて階段下から見上げる奥社の拝殿。 上から迫ってくる山は神聖な修験の聖地。


大勢の登拝者に並んで御朱印をいただくカミさん。 途中の洞穴にあった、何やら謂れのありそうな石仏。

 たっぷりと奥社の佇まいを味わい、休憩してから下山する。途中で乳母車の赤ちゃんを
連れた親子に会ったが、どうやって最後の石段を登るのか心配になった。杉並木は素晴ら
しく、隋神門は美しく、参道脇の並木は豊かだった。2キロの参道を降り終えたところで
カメラのバッテリーが切れた。残念ながらここからは写真がない。          

巨大な杉が並ぶ並木道を下る。 400年守られてきた杉並木が信仰の深さを思わせる。


杉並木を下から見上げる。何という景色か・・・ 1キロ下って隋神門に到着した。


歴史を感じる隋神門。素晴らしい趣。 太古の森に囲まれた参道。景色を見てるだけで幸せになる。

 奥社から門前町の山田屋に走り、純米吟醸・雪中酒を買う。これで宿題は終わった。車
は36号を信濃町インターへとひた走る。長野からよりも信濃町からの方が戸隠は全然近
いことがこのドライブで分かった。1時間ほどで信濃町に到着し、インター近くの「道の
駅しなの」の直売場に入る。直売場「いさっさ」で野菜や果物を買う。カミさんが買いた
いと言っていた「ナガノパープル」があったので良かった。現地値段は東京より随分安い
らしい。                                    

 信濃町インターから1区間走って妙高高原インターに行く。ここから車で10分走って、
「苗名の湯」に向かう。何度か来たことのある温泉で、カミさんが「温泉に入って帰りた
い」との希望を叶える為だった。苗名の湯は観光会館の二階にある温泉で、窓から見える
景色が良い。ぬる目の温泉にゆっくり入り、体を温めて休む。風呂上がりのコーラが美味
かったこと。高原の風がススキをなびかせ、秋の気配が濃くなった妙高高原を後にした。
 ここからは上信越道から関越高速へとひた走り、所沢インターに着いたのが午後3時。
戸隠神社五社巡りの旅が終わった。                        


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