歴史の町全州(韓国)


韓国の全州(ジョンジュ)は李氏朝鮮発祥の地であり、味の町でもある。



9月26日(水)韓国の全州(ジョンジュ)に来ている。サッカーの応援なのだが、こ
こジョンジュは李氏朝鮮王朝発祥の地という歴史の町でもある。半日ほど時間が空いた
ので、歴史散歩をしてみた。ホテルの周辺に韓屋(ハノック)という韓国伝統の町並み
が残されており、そこを巡る小道が雰囲気のある朝の散歩コースとなった。韓国には杉
やヒノキが無く、昔から建物は松材で基本構造が出来ている。その為屋根が真っ直ぐに
ならず、木の曲りを上手く利用した曲線で構成された屋根が見事な伝統家屋となってい
る。杉や桧の直線で構成される日本の町並みとは基本的に醸し出す風景が違う。   

韓国伝統家屋の門が素晴らしい。後ろに見えるが泊まったホテル。 路地の散策が面白い。両側は普通に生活している家が続く。


屋根のカーブが独特で味がある。 土壁に瓦を埋め込んで模様を作っている。

土の壁や瓦を埋め込んだ壁などの小道を歩いていると、日本とは違う雰囲気の伝統を感
じる。重厚な瓦屋根が重なり、太い柱の韓屋(ハノック)がじつに趣深い。この伝統家
屋での宿泊体験や料理体験、伝統の踊り体験などのコースがあると案内書には書いてあ
った。時間が許せば参加してみたいが、半日しかないのでそれは出来ない相談だ。  

韓屋(ハノック)という呼び名の伝統家屋が続く路地。 伝統を残す観光地として、バス停も門になっている。

ホテルから離れて梧木台(オモクテ)に向かう。ここは李氏朝鮮の祖イ・ソンゲが南原
黄山で倭寇を撃退した後、自分の祖先が住んでいたこの場所で戦勝を祝う宴会を催した
場所とのこと。見晴らしの良い高台にあり、周辺を見下ろしながらの宴会はさぞ気持ち
の良いものだった事だろう。楼閣に登り扁額の数々を見ながら昔の宴会を思ってみたが
実感は湧かなかった。周囲の樹木が大きくなって眺望が制限されているためかもしれな
い。眼下に広がる瓦屋根の町並みは昔のままのようにも見えるが、その時代ではどうだ
ったんだろうか。                               

梧木台(オモクテ)は高台にあり、市内が見下ろせる。 楼閣には多くの扁額が掛けられており自由に見ることが出来る。

同行した二人と朝食に向かう。今日は秋夕(チュソク)の最終日で有名な店は休んでい
るようだ。ホテルで営業を確認したコンナムルクッパの有名店に向かう。歩いて10分
ほどの場所にその店はあった。朝9時だというのに店内は人でいっぱい。次から次へと
客がやってくる。茫然と立っていたら女主人が早く席に着けという。片付けていないテ
ーブルでも人が立ったらすぐに座ってよいのだそうだ。頼んだのはもちろん看板メニュ
ーのコンナムルクッパ。他のメニューはあったのかどうか??・・みんな同じ物を頼ん
でいる。コンナムルというのは豆もやしの事。豆もやし雑炊といったところか。   

梧木台(オモクテ)の出口で記念写真を撮る。 コンナムルクッパを食べる。

すぐに出てきたコンナムルクッパを食べる。付け合わせが5品くらいあって量も多い。
キムチなどはすぐにお代わりが出てくる。コンナムルもご飯も空くとすぐにお代わりが
出てくるので最後は断るのが大変だった。さっぱりした辛さの上品なスープと豆もやし
が良く合う。じつに美味しい1品だった。満腹になって大満足で店を出た。元気な女主
人のテキパキした采配が見事だった。お店の名前は「ウェンイ・チブ」。商標登録して
あるらしい。この人気ぶりなら確かに繁盛店なのだと思う。            

見かけはそうでもないが、味は美味しい。 活気のある店でした。お店の前で記念写真を撮った。

腹ごなしに市内の観光名所を歩いて廻ることにした。まず向かったのが「豊南門(プン
ナムムン)」ここは王都の南を守護する門で、秀吉が攻め込んだ慶長の役の時に消失し
たが1767年に修復されたもの。パンフレットによると宝物第308号に指定されて
いるらしいが、市民の興味は薄いようで荒れた印象が強かった。きちんと管理されてい
るとは思えないような汚れや損傷が痛々しかった。鳳凰の絵も汚れが目立つし、階段や
手すりも雨ざらしで傷んでいた。観光史跡というにはちょっともの寂しかった。   

全州紙の店でサンプルを見る。日本でいう和紙の店。 豊南門を写真に納める。石垣の組み方が独特だった。


楼閣の上に大砲が置いてあった。 豊南門の天井に描いてあった鳳凰の絵。かなり傷んでいた。

ほど近くの慶基殿(キョンギジョン)に向かった。ここは李氏朝鮮王朝の太祖であるイ
・ソンゲの遺影を奉安するため、太宗(テジョン)10年(1410年)に創建された
建物だ。広い境内は静かで市民の憩いの場所になっているようだ。史跡に指定されてい
るようだが、公園といった趣が強い。特に見るものも無いのでぐるりと一回りすれば終
わり。まあ史跡とか観光地というよりも公園なんだと思う。            

伝統茶の店。素晴らしい店内でゆったりと時間を過ごした。 ちょっと疲れていたので「ゆず茶」を頂いた。

歩き疲れたのでキョンギジョンからほど近い伝統茶の店に入って休むことにした。この
店がじつに素晴らしい店だった。店内の内装や小物、テーブルや座布団に至るまで素晴
らしいセンスの店で、お願いして店内の写真を撮らせてもらった。お茶は韓国の伝統茶
の「ゆず茶」を頂いた。広い空間と落ち着いた雰囲気、ソウルでもこれほどの店は無い
と思う。すっかりくつろいでのんびりしてしまった。               

お茶やさんとレストランの外観。良い店でした。 全州ビビンバの付け合わせ。これだけでお腹一杯になる。

お昼過ぎになってしまったので、隣のレストランで全州ビビンバを食べることにした。
ここも人気店のようで空いた席にすぐ座らないと怪訝な目をされる。噂に聞いた全州ビ
ビンバにはたくさんの付け合わせが付いていて、ビビンバが出てくる前にお腹が一杯に
なってしまうようだった。ビビンバは暖かい真鍮の器に盛られて出てきた。彩りが鮮や
かで10種類以上の具がきれいに並び、さすがに王朝の味というのもうなずけた。これ
をスプーンで混ぜて食べる。日本で食べたビビンバとはひと味もふた味も違う美味しさ
で感動ものだった。付け合わせのナムルもそれぞれ美味しかった。         

全州ビビンバはひと味違う美味しさでした。大満足。 もう一度慶基殿(キョンギジョン)の前を通って帰る。

ホテルに戻る途中で農楽をやっていた。笛や太鼓や笛の音が軽やかに舞う舞い人と相ま
って韓国情緒を醸し出していた。全州は歴史の町であり、料理の町であり、韓紙の町で
あり、人情の町でもある。短い時間だったがじつに濃密な時間を過ごしたような気がす
る。機会があったらまた来てみたいものだ。                   

広場で農楽をやっていた。カラフルな衣装が風に舞う。 昔の学校。



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