05北海道OLM:3日目


世界自然遺産に登録目前の知床でパラダイスの釣りをした。



第3日目(くもり後晴れ11〜15度):知床→モセカルベツ川          

全員が揃って釣りが出来るのは今日だけなので、知床にオショロコマ釣りに出かけた。
西別川では釣果が芳しくない事もあり、気分転換を兼ねて北海道ならではの釣りを堪能
しようというものだ。例年は参加しない私も今回は参加することにしていたので、あら
かじめテンカラ仕掛け一式を準備して楽しみにしていた。2台の車に分乗して宿を出発
し、世界自然遺産認定間近の知床に向かう。途中で中標津の釣具屋さんに立ち寄り、ヒ
グマ対策の爆竹を買う。その店のルアーコーナーに何と「虫コーナー」なるものを発見
し、一同大騒ぎになった。蜂、蝉、カメムシ、コガネムシ、トンボ、イナゴ、サンショ
ウウオもどき等々がリアルなルアーになって並んでいた。kazuyaさんが「セミ」購入
。じつに北海道ならではの釣り具だ。                      

標津町に入りオホーツク海が視界に飛び込んできた。国後島は雲に霞んで見えない。車
は一路知床に向かって走る。途中の「忠類川」でkazuyaさんが叫び声を上げた。フライ
フィッシャーにとって「忠類川」は唯一サーモンフィッシングが出来る川として有名で
、その川を目の当たりにして思わず声が出たようだ。でも、秋にサーモンフィッシング
をするには6月までに申し込まなくてはならないので今年の申し込みはすでに終わって
いる。車は羅臼の町に入った。最後のコンビニで昼食を買い、モセカルベツ川を目指す
。洋上のガスも晴れてきて国後島がはっきり見えるようになってきた。       

モセカルベツ川の林道には羆の糞が鎮座していた。ソロリとその横を通り、堰堤横の広
場に車を停め、さっそく爆竹を鳴らしてから釣り支度に着替える。藪の高橋さんがじつ
に速い。あっという間に川に降りて竿を振っている。見ている間に1尾、2尾とオショ
ロコマが宙に舞っている。魚影は濃いようだ。西さんが続き、安達さんは下流に入る。
私も続いて川に入る。藪の高橋さんはすでに上の堰堤に向かっている。さあ、オショロ
コマとご対面だ。目の前の淵にカディスで第1投、すぐにアタックがあるが空振り。思
ったよりも素早い反応なので驚く。2投目のアタックは確実に掛けて、手元に運ぶ。 

またたくまにオショロコマを釣り上げる藪の高橋さん。 kazuyaさんもそれに続く。


西さんは対岸で立て続けにオショロコマを上げている。 私も負けじと急いで竿を出す。


この堰堤で全員が竿を出す。それでも釣れるのだから凄い。 kazuyaさんが釣ったオショロコマ。


仁王立ちしてオショロコマを釣る藪の高橋さん。 よく見るとオショロコマは実に奇麗な魚だ。

オショロコマはじつに美しい魚だ。濃い緑色のグラデーションボディに散りばめられた
輝く朱点はまるで宝石のようだ。オレンジ色の腹部は鮮やかな花のようで、ヒレの白線
は制服の袖のよう。じっくり見ると本当に奇麗な魚なのに・・・こうも簡単に釣れてし
まうと、その価値も減っていくようだ。釣り味の簡単さに加えて味も良くないという話
だが、まだ食べた事はないので分からない。保護すべき対象にならないよう祈りたい。

上流に向かった4人を見送り、堰堤の淵に山男魚さんと二人で残った私は下の淵に下り
、その淵で何匹釣れるか試してみた。オショロコマに混じって20センチほどのニジマ
スが釣れた。釣っては下の川に放し、釣っては放しを繰り返すこと40尾を数えて、や
っている事のむなしさに気づいて止めた。オショロコマの釣った数を数えるのは無意味
だ。堰堤の淵に戻り、大きなオショロコマを釣る事に専念する。毛鉤を替えたりしなが
ら24センチ、25センチと納得のサイズを釣ることが出来た。淵の中央で定位してい
る大物を何とか釣ろうと頑張ったのだが、一度バラしてしまった魚なのでダメだった。

山男魚さんとのんびり話しながら毛鉤を振るのも楽しかった。こんな釣りがあったんだ
なあ・・という不思議な時間だった。おそらく知床以外では絶対に考えられない釣りだ
ろう。知床でも場所によってはオショロコマが釣れなくなっていると聞いた。ここも時
間の問題で釣れなくなるのかもしれない。いつまでもこんな環境が残って欲しいものだ
としみじみと思っていた。日差しが出て暖かくなり、河原で座り込んで竿を振っていた
。眠くなるような時間が続いていたが、突然上流で爆竹の音がした。どうやら上流組が
帰ってきたようだ。                              

藪の高橋さん、西さん、安達さん、3人並んで釣っている。 知床の川は緑が深い。爆竹を鳴らしながら遡行する。


安達さんと西さん。 大きなフキの陰からオショロコマを狙う。


安達さんと西さん。どんどん奥へ行く。 北海道に来て今日初めて青空を見た。


二段堰堤が見えた。この奥はヒグマの領域。 知床の光が降り注ぐ二段堰堤。


二段堰堤前で記念の写真を撮る西さん。 生態系保護のお願いを書いた看板が立っている。

藪の高橋さん、kazuyaさん、安達さん、西さんの顔が見えた。みんな笑っている。ず
いぶんと楽しい釣りが出来たようだ。3時を回る時間になっていたので、そのまま釣り
を終わらせて帰り支度をする。釣り人のパラダイスを後にして羅臼の道の駅を目指す。

車に戻って着替える。 宿に帰って宴会が始まった。