那須ホームリバー


ホームリバーの源流を求めて



かつてホームリバーとして通った那須の渓流がある。いつも中流域での釣りで満足して
しまい、最上流がどうなっているか知らなかった。今回思い立って上流での釣りをしよ
うと朝早く家を出た。朝3時に出発し、釣り場近くのセブンイレブンで日釣り券を購入
し、車止めに到着したのが6時だった。すでに先行車が1台、宇都宮ナンバーの車だ。
山菜取りはこの時間には来ないだろうからたぶん釣りだろう。でも今日は先行者を気に
せず上流へ向かう。                              

目指す上流は遙か彼方。中流域の水量が少ない。 ふた抱えもある栃の巨木。このような木があちこちに立っている。

この川には上流まで橋が5つある。普段は3つ目の橋から入るのだが、今日は最後の橋
まで歩く。廃道になった林道脇には残雪が残っている。木々の緑は下流から上流にかけ
て徐々に薄くなり、5つ目の橋の付近では芽生えたばかりにはっていた。目的の橋に着
いたのは8時過ぎ。2時間歩いたことになる。すっかり汗をかいてしまった。さっそく
レベルラインの仕掛けを準備し川に入る。ここまで来ると水が少ない。       

期待にワクワクしながら釣り始めるも、なかなか当たりが無い。ここぞというポイント
でも魚は出なかった。上流に釣り上がり、最上流がどうなっているのかを知る事も今回
の目的なので、さほど気にせず釣り上がる。やっと魚が出たのは10時ころだった。明
るい瀬の開きで16センチほどの岩魚が釣れた。でもサビなのか魚体がやけに黒い。腹
は川の色と同じで黄色い岩魚だ。まだ時期が早いのだろう。            

上流の河原には残雪が残っていた。 第1号のイワナ。黒い魚体で腹が黄色いニッコウイワナ。


またイワナが釣れた。後方は残雪の河原。 ここまで来るとイワナしかいないのか?またイワナだった。

その後、深めの瀬で2尾を追加し、気分を良くして更に上流に向かう。南の風が追い風
となり毛鉤釣りには素晴らしい条件が揃った。メイフライがハッチし始めて、魚の反応
が俄然良くなった。上流なので空間が狭く、その点だけがやっかいだったが、気分良い
釣りが出来た。昼過ぎて上流の二股まで釣り上がって釣果が7尾、バラしたのが5尾、
毛鉤を見に来た魚多数という結果だった。残雪があちこちに残っている最上流で小さい
淵の前で食べるお握りは最高の味だった。                    

小さな淵の底には大きな魚の影がゆらりと・・ここで休憩。 今日は全て白のパラシュートで釣りました。


なかなかいいサイズのイワナが釣れました。 上流の流れが細くなってきた川。

二股から先は流れが急に細くなり、当たりが無くなった。左岸に道跡が見えたので、そ
こで脱渓した。コゴミやタラの芽を摘み、帰り道にヤブレガサを摘みながら山道を下っ
ていった。芽生えたばかりの燃えるようなブナの新緑を見上げながら、気持ちの良い春
の山下りだった。そのまま林道に出て下りながら淵をのぞき込むと魚の影が見える。流
れの緩やかな場所でユラユラと漂う魚に思わず竿を出したくなって川に入る。毛鉤を振
るが魚は見向きもしない。淵の底に沈んだままだ。                

脱渓した場所に生えていたコゴミ。 同じく斜面に生えていたタラノキの芽。


林道から見上げた山はブナの新緑が燃えるようだった。 黄色に萌えるブナの新緑が鮮やかだった。

昼過ぎから雪代が入ったためか虫のハッチが無くなっていた。風も強くなっていた。そ
の後も下りながら何度か好ポイントだけ竿を出したがまったく反応は無かった。こんな
いい釣り日和なのに魚が釣れた時間は10時から12時までの2時間だけだった。この
時期の毛鉤釣りはこんなものなのかもしれない。それにしても一日13時間・・よく歩
いたものだ。温泉で温まって帰ろう。                      

下流の渓相。新緑がずいぶん上流に比べて濃い。 山から頂いてきた山菜。コゴミ、タラの芽、ヤブレガサ。